400字で分かる落語:「朝友」2
43:朝友(あさとも):全2回の2
【一言】 死者が蘇生する話は、平安期の『今昔物語』『日本霊異記』などにもある。『和漢三才図会』巻71には文屋蘇生の逸話があるが、康秀ではなく吉員(よしかず)という人。この逸話は直接には落語「魂の入替え」の原典と思われる。
落語の「明烏」の原典という新内「明烏夢泡雪」や人情噺「明烏後正夢」、天明3(2783)年『軽口夜明烏』に、やり手婆・おかやが遊女浦里を雪の中、割り竹で折檻する「浦里雪責め」という名場面があり、そのまま取り入れられている。(「明烏」で紹介済み)
『和歌知顕抄』には、推古天皇の頃、伊勢と日向の男が共に41歳で死ぬが、伊勢の男の寿命が残っていて生き返ることになる。既に死体が失われていたので日向の男の体で生き返る。男は両方の妻と子供を養育する。これから「混乱して分からなくなる」ことを「伊勢屋日向」というのだとしている。
文屋康秀は六歌仙の一人、『古今集』に四首、『後撰集』に一首の歌がある。