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400字で分かる落語「追い炊き」1

「お」の3:追い炊き(おいだき):その1
【粗筋】 雪の日、山中の一軒家に六部が現れて宿を乞う。飯炊きの権助が「飯の追い炊きをしなければなんねえ」と断るが、主人が自分の分を差し上げればよいと中へ引き入れる。ちょうど先祖の命日というので六部に回向を頼むが、位牌を見ると「田原藤太秀郷」とある。途端に六部の態度が変わり、(芝居掛かり)我こそは平将門の忘れ形見と名乗るや、七騎の影武者が現れる。主人も身構えた所へ、権助が飯を運んで来た。
「あれまあ、こんなに人数が増えては、追い炊きをせずばなるめえ」
【成立】 正式には「繋馬雪之陣立(つなぎうまゆきのじんだて)」という。
【蘊蓄】 平将門は関東で親類との地権争いが起こり、相手の貯め込んだ蔵を開けて施したことから、暴利を貪る役人を懲らしめてくれと頼まれるようになる。国司を追放して新天皇を名乗ったことで反逆者になった。本人は国司の印は預かっただけ、新天皇も回りがそう言っていて自分では名乗っていないと弁明した。しかし従兄の貞盛が隙を狙っているため、京へ出て弁明しなかったため討伐軍が出る。討伐軍が来る前に貞盛が田原藤太の力を借りて将門を討った。この貞盛の家系が瀬戸内海の海賊らを抑え、莫大な利益を得て清盛の全盛期の基礎となる。将門は菅原道真の子を迎え、茨城南部を他に例のない教育区域にした。地元ではこういう点が評価され、神として祀られている。

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