400字で分かる落語:「あ」の33:「明烏」1
33:明烏(あけがらす):全4回の1
【粗筋】 堅物の若旦那、時次郎を観音様のお籠もりと騙して吉原へさそう。親も堅いばかりでは仕方がないと、承知の上で送り出した。茶屋のおばさんをお巫女頭だとか何とかいい加減なことを言って誤魔化したが、いよいよ郭へ上がると、若旦那の様な世間知らずでもどういう場所か気付き、帰ると泣き出してしまう。手を焼いた連れが、
「大門に男がいたでしょう。あれは入ってくる人の人相や風体を調べている。三人で入った者が一人で出ていこうとしたら、止められてしまいますから」
と騙してようやく収めた。そんなうぶな若旦那ならこちらで出たいと、浦里という花魁の方からのお見立てで相方になる。
さて、朝になって起こしに行くと、何と、若旦那は布団の中で花魁と手を握りあっていて起きて来ない。馬鹿馬鹿しくなった連れ、
「じゃあ、若旦那は置いて帰りますよ」
「帰れるもんなら帰ってごらんなさい。大門で止められてしまいますから」