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400字で分かる落語「姥捨て山」

「う」の71:姥捨て山
【粗筋】 信濃で、お殿様の父親が70歳で痴呆症になってさあ大変、誰でも70歳になったら島送りにするというお触れを出した。清六という孝行者、母親を山に隠そうとするが、息子が戻るのに枝を折って道を教えるという工夫をしているので、連れ帰って家に隠した。これが露見して捕らえらえると、「年を取ると迷惑になるだけじゃ」という殿様に反論、母親が殿様の出す謎々に答えることになった。
「父親蛙はケロケロ、母蛙はケロッケロケロと鳴く。子供は何と鳴く」
「子供はオタマジャクシだから鳴きません」
「白、黒、茶色、それにブチの四匹の犬がキャンキャン泣いているが、飼い主が静かにと言うと1匹だけ鳴き止んだ。どの色の犬か」
「黒犬です。黒と犬という字を合わせると黙るという字になります」
「優しい武将、意地悪な武将、短気な武将。槍投げで勝ったのは誰か」
「優しい武将です。思いやり(重い槍)を持っています」
 殿様が驚くと、体を鍛え知恵を働かせると親子の会話も弾むという。心を曇らせぬのが大事だと諭す。「心を曇らせぬ……それでこそ母親のかがみじゃ」
【成立】 姥捨て山伝説をもとにした菊池寛の『うばすて山』を春風亭小朝が落語にした。上方の桂文雀も演じている。小説の謎解きは、古典の通り、灰で縄をなう、勾玉の中に糸を通す、見た目が同じ親子の馬でどちらが親かを当てろ問題。一応答えを記しておくと、柔らかい藁縄を板の上で焼く、出口に砂糖を置いて、蟻に糸を付けて通させる、餌を用意すると親は先に子供に食べさせる、というもの。

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