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400字で分かる落語「丑の刻参り」1

「う」の28:丑の刻参り(うしのこくまいり):その1
【粗筋】 神主が、藁人形に灸を据えている丑の刻参りを見付けて、訳を尋ねると、「私の呪う相手は糠屋(ぬかや)でございます」
【成立】 安永2(1773)年『座笑産』の「神木」。「糠に釘」で効き目がないという落ち。「藁人形」と同じなのであまり演じられない。天明2(1782)年『好文木』の「丑のとき参り」では、竹の釘でやっているので尋ねると、相手は屋根ふきだというもの。瓦を葺く職人で、下ごしらえの板を竹釘で打った。
 丑の刻参りの正しいスタイルは、白い着物、ざんばら髪、顔に白粉、歯は鉄漿(おはぐろ)、濃い口紅を付ける。頭に金輪を付けて蝋燭3本を立て、胸に鏡を掛け、口に櫛をくわえ、歯の高い下駄を履く。藁人形は市販の物でもいいが、藁の中に相手の髪の毛を入れなければならない。丑の刻に御神木に五寸釘で打ち込む。これを七日間続けて、中に織り込んだ髪の毛が切れると、帰り道に大きな黒い牛が寝そべっているので、恐れずに乗り越えて帰ることが出来れば、相手はきっと死ぬ。途中で誰かに見られたり、最後に牛が現れなければ、丑の刻参りは失敗。失敗すると呪いは自分に返ってくるので、確実に早死にする。ぜひお試しあれ。

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