400字で分かる落語「稲穂のジュウタン」
「い」の74:稲穂のジュウタン(いなほのじゅうたん)
【粗筋】 飯を食っていると、頭がぼうっとしてくる。見ると茶碗の米が割れて発芽が始まった。たちまち稲穂が実り、それが部屋中に広がり、町へ広がり、福井県全土から日本へ……上空3万メートル上空から見ると、美しい黄金色の地球が輝いていた。お茶碗1杯分の米を蒔く、その出来た米を蒔く。6回で地球を稲穂で覆いつくしてしまう。俺はそれを50年食べ続けた。何という大メシ食らいだったのか……我に返ったおじさん、食品リストを作りロスをなくすことにした。調理した野菜は食わない。ピーマンは一切食わない……もともと嫌いだから。豚肉は一切口にしない……トンカツは例外。更には農場、食品工場を回って、不条理に扱われた食品の供養をしたり、魚の死体をバラバラにした犯人を追及したり、正義のために働く。「水戸の納豆、今行くぞ」ブルルルル……(と言いながら退場)
【成立】 三遊亭円丈の創作落語。1993年初演。おじさんの行動が無茶苦茶なのだが、多くの命の上に食文化が成り立つという根本問題を問いかけており、意外に評判がいい作品。
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