400字で分かる落語「一文笛」
「い」の61:一文笛(いちもんぶえ)
【粗筋】 一文笛を売っているので子供が集まるが、一人だけ貧しくて買えない。掏摸の名人・秀が笛を盗んでこの子の懐に放り込むが、子供は増えを見付けるとうれしくて吹いてしまう。店の物が盗まれたのに気付いて、この子を捕まえて家に連れて行くと、家は武家だったので子供の弁韓を聞かない。子供は井戸に身を投げてしまう。これを聞いた秀は、自ら右手の親指と人差し指を切り落とす。子供は医者に見せれば助かるが、強欲で40両の金がいるという。秀はこの医者の金をすって兄貴に私、子供を助けてくれと言う。「お前、指を飛ばされて、ようこれだけの仕事が出来たな」
「兄ぃ、わて、ぎっちょやねん」
【成立】 桂米朝が昭和26(1951)年頃に作った。導入に掏摸の逸話がある。煙草入れがどうしても掏れないので、本人から買い取る。本人も隙がないと喜んで行こうとすると、その財布が掏られていた。田村西男の『文楽』にあるもので、三遊亭円生(6)もマクラに使っている。
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