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400字で分かる落語:「あたま山」1

55:あたま山(あたまやま):全3回の1
【粗筋】 吝兵衛さん、その名の通りのケチで、さくらんぼの種を捨てるのはもったいないと飲み込んだら、頭から木が生えて花が咲いた。「愛宕山」ならぬ「頭山」と呼ばれ、町中の人が花見に来る。吝兵衛さん、やかましさに耐えられず、木を抜いてしまった。この穴に水が溜まると、雨水がたまったのを捨てるなんてもったいない……「お玉が池」ならぬ「頭が池」と呼ばれ、釣りに来る人が多くなり、夜釣りまでされるとやかましくて寝る暇もない。とうとう耐えられず、吝兵衛さん死を決意して、「南無阿弥陀仏」とその池にドボーン。
【成立】 『徒然草』の「榎木僧正」は、庭の木で「榎木僧正」と呼ばれるのが嫌で、木を切る。今度は「切りくひの僧正」と呼ばれ、掘り取ってしまうと、水が溜まって「堀池僧正」と呼ばれる……僧正という地位にありながら、人からどう思われるかを気にする俗な考えが面白い。兼好さんの一つのパターンである。

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