400字で分かる落語:「あたま山」3
55:あたま山(あたまやま):全3回の3
ケチの枕に使うが、古今志ん生(5)は「もう半分」の枕に使った。『臍煎茶呑噺』では縫物をしてくるっと裏返し、縫い目を内側へ入れてしまうと説明、こうすれば本人が頭の池に全部入る。
林家彦六(正蔵)が「しわい屋」のマクラで同じ説明をしている。ほら男爵は、オオカミに襲われ、口の奥にこぶしを突っ込んで、内臓をつかむと手袋のように裏返してやっつけているから、不可能でないのだろう。この男爵は、弾丸がないのでサクランボの種を撃ち、数年後、頭に実を成らした鹿を仕留めている。
そのままでは短いので、枕を付けたり、中の小噺に工夫したり……頭山への花見で、貧乏長屋の連中がお茶と漬物で騒ぎ、仇討ちの茶番をしようとしたが六十六部が現れなかったり、酒を売りに来て自分で飲んで倒れていたり……そういう演出があった。寄席ではネタがかぶるので無理だろうが、独演会などではいける。
山は「愛宕山」に、池は「お玉が池」に通じて面白い.
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