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【物語の現場021】相棒・島田竜之進が育った身延(写真)

「狩野岑信」の第九章で、主人公・狩野吉之助の御前試合の相手として登場し、第十一章で氏名と身の上が明かされるイケメン剣士・島田竜之進。

 この後、吉之助の相棒として活躍する竜之進は、父親の謹慎場所であった甲斐の身延で育ちました。

 身延は、富士川の東西両側に連なる山々に挟まれた細長い土地。観光資源としては、日蓮宗の古刹・久遠寺、身延山の自然や下部温泉が挙がるでしょう。近年では某アニメの聖地として話題に。

 そして、歴史ファンにとっては、さらなる魅力も。

 この地は、永く、武田家の一門・穴山氏の領地でした。武田二十四将にも列せられる重臣中の重臣でありながら、武田家滅亡の決定打となる寝返りを行った、あの穴山信君(梅雪)の穴山氏です。
 また、黒川金山と並んで武田信玄の富国強兵策を支えた湯之奥金山がありました。この金山は、「信玄の隠し金山」とも呼ばれています。

 そんなこんなで、実は、この物語の出発地として、身延を考えていた時期もありました。

 写真は、静岡と甲府の間を走る特急ふじかわの車窓から(山梨県南巨摩郡身延町、2022.4.21撮影)。

 島田竜之進という若者は、不遇な中にも、両親の愛情を一身に受け、そして、この身延の豊かな自然に包まれて、すくすくと育ったのです。