【物語の現場040】甲府城天守台から四方を眺める(写真)
「狩野岑信」の第四十八章で、吉之助は、竜之進と甲府城天守台の階段で月を見ながら酒を酌み交わします。甲府藩の場合、藩主は江戸に居っ放しで城には家臣のみ。吉之助たちは藩主名代の間部と一緒に来ているので、こんなことも出来たのかな、と。
しばらくすると間部も酒宴に参加。吉之助たちが酒宴を始めたときにはまだ薄っすら周囲の景色は見えていましたが、間部が来た時点で、ほぼ見えなくなったくらいの時間設定です。
写真は、実際の甲府城跡の天守台からの景色(山梨県甲府市丸の内、2022.4.21撮影)
北: 武田神社(旧躑躅ヶ崎館)、金峰山、甲武信ヶ岳 方面
南: 富士山、身延 方面
東: 甲斐善光寺、石和、塩山、鶏冠山(黒川金山) 方面
西: 釜無川、信玄堤、竜王、韮崎、白根三山 方面
甲府城は、幕末には官軍の東山道先鋒総督(参謀は土佐の板垣退助)に無血開城。その後廃城。現在は城跡が甲府市の公園(舞鶴城公園)として整備されています。内城のみであり、石垣以外は全て復元。しかし、いつの時代を思い浮かべるかは個人の好みとして、この四方の景色を眺めながら往時を偲ぶのは実に楽しい。