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葬送のフリーレンが欧米で一定の人気を得たのは○○観のせいだって話

ちょっと古い話なのですが、葬送のフリーレンは欧米で人気がありました。

2023年において、スパイファミリーとか鬼滅とか、呪術廻戦、進撃を抑えて人気で一位だったって話がありましたよね。

で、それがなんでかって話なんですけど、一つ気づいたことがあったので、書き記したいと思います。


葬送のフリーレンはなぜ欧米で人気を得たか?

フリーレンは何故欧米で一定の人気を得たのか?

中世から近代までのヨーロッパ文化をまぜこぜにした舞台がよかった?
トールキンに連なるファンタジーな世界観?
フリーレンの魅力?フェルンのママ味?

まあまあ、そういうのもあるでしょうけど、これ突き詰めて考えると、一つのある考えが浮かびました。

それは「欧米の人々が慣れ親しんでいる宗教観と合致した」から。

もっというと、葬送のフリーレンって、「ヨーロッパ土着のアニミズム+キリスト教を文化背景にした宗教的寓話感」みたいなものが、強く香る作品だと思うんですよね。

だから、非常に肌に馴染んだのだと思うのです。

宗教的寓話っぽい同作品

寓話っていうのは、庶民に対して、物事の倫理的良し悪しを伝える物語作品郡ですよね。
それは童話なものからシェークスピア的なものまで様々にあります。

で、葬送のフリーレンってだいたい1話〜数話完結で、一つの何らかの「倫理的寓話」になっていることが多くて、これがよく見ていくと、みごとに宗教寓話っぽいんですよね。

「失ったあとで大切なものに気づく」であるとか、「辛く当たっているようで実は愛に溢れている」とか、「年月を経て気づくことがたくさんある」とか、「人生の果てに再会できる」とか、そういうような、倫理的な、あるいは宗教的なものの見方が、セリフや物語展開の随所に散見された。

原作者は別に欧米の宗教寓話を強く意識した訳ではないでしょうが、これが、欧米人が幼少時から見聞きし、聞かされてきた、自分たちの文化を背景とした、倫理観、宗教観とマッチして、スッと理解しやすかったんじゃないかと思うんですよね。

しかも、それはジャパニメーションとして、それなりのクオリティでもって表現されていた。

魔族や悪の描き方について

そうして見ていくと、魔族っていうのも面白くて、フリーレンのいう魔族は、人を騙して貶める人の姿を真似たもので、キリスト教圏の悪魔の在り方とそっくりだったり。

じゃあ、他の作品の悪しきものどうなんだ、って見ていくと、例えば鬼滅の刃の鬼というのは「悪ではあるが事情があってそうなった」、という立て付けであり、鬼舞辻無惨ですら、最終的には絶対悪ではない扱いになっていた。進撃の巨人も、呪術廻戦も、絶対悪ではなく多面的な要素を持った敵対者なんですよね。

日本人はそっちの方が馴染みあるし、べつにおかしく感じるものではないのだけれど、実はこれも一部欧米の人にとってはそうではない。

かつて、ジブリの鈴木敏夫が、ナウシカだかもののけ姫だかをアメリカに持ち込んだ時、向こうのプロデューサーから「欧米人はこれらの作品はどれが悪だかわからないので編集させろ」というような提案があったと言っていたことがあったらしいですね。

それぐらい、欧米って正義と悪の対立構造が明確で、だからこそフリーレンは寓話的にも、対立構造的にもわかりやすかったんじゃないかな、と。

お子様でも安心して見られる作品

さらにいうと、同作は人が惨殺される展開がほぼない、というのも多くの層を取り込んだ理由だろうと予想される。

つまり、鬼滅や進撃的な、暴力的要素がなく、またトラディショナルな価値観に相対するような、突飛な設定もいことで、ある種の保守層が見ることができたというのも大きいと考えられる。

それらの馴染みある宗教的寓話に類似する側面が、作品にたまたま(?)多く存在した結果として、フリーレンというのは、欧米の視聴者から「楽しかった」「面白かった」と、多くの支持を集めたのだろうな、と。

そんなことを思いながら、僕は聖母フェルンを見ていました。

以上、フリーレンが欧米に受け入れられたもっともらしい理由でした。


フェルン絵:かのえの


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