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ツバメが来る家は繁栄する。
3月になるとブーメランに似た形の鳥が低く飛ぶのを見ると「春だな」と感じます。私が育った家は日本家屋で玄関に土間(家の中)があり春になるとそこにツバメが巣を作るのが日課になっていました。
家は農家とアパレルの兼用農家で商品の出荷の時は母屋まで商品の服にあふれ、そこをツバメの飛行訓練と重なるようなら飛びながらフンを落とすわ、電球にとまりほこりを落とすわで毎年この時期だけは最悪なんです。我が家の序列は人間の上にツバメ様?がいるのです。ですから出かける時も買い物も家族旅行も!!ツバメの為に玄関開けっ放しでした。
「幸せを運ぶ?ツバメ」
ツバメが来る家は縁起がいいと聞いたことってありますか?
私の父は肝臓が悪く何度も入退院を繰り返していたのですが、
亡くなる1年前の時の話です、退院の日に意識がなくなり倒れてそのまま集中治療室。「ここまでか」私たちは葬式の準備を始めたのです。田舎の葬式はふすまを全部取り払い家で行うのです。明日は葬式かも?と家の掃除をしていると妹がふと手を止めてポツンとつぶやくのです。「ツバメがエサを運んでるね」と言ったのを覚えています。そしてそれから3日後父は意識を取り戻し点滴も外れ集中治療室から一般病棟へ、そしてその年は無事に退院したのです。自宅に戻り、体力も取り戻していき気分のいい時はふらふらと散歩もするようになったのですが、医師からは余命数ヶ月とは言われていました。
そして翌年。父は14回目の入院。それが4月でした。その時はツバメはせっせとヒナにエサを運んでいました。
ツバメは1番ツバメ2番ツバメ3番ツバメとあり普通ヒナが育つのに約2~3ヶ月で育ちます。春3月に1番ツバメがやってきます。そのあと5月くらいに2番ツバメが1番が巣立った後の巣に住み着きます。(だから2番ツバメ)
3月から住み着いているツバメのヒナが大きくなり羽をバタつかせたので「そろそろ飛行訓練が始まるね」と家族で見守っていたのです。
と、次の日、そう次の日です。巣はもぬけの空。え?どうやって出ていったんだろう。まだ飛べないのに。
そうすると次には2番ツバメのカップルで入ってくるはずなのですが。
アパレル業界が1年のうちで一番忙しいのが4月で夏物が動くGW前は毎年徹夜の連続でした。この日も店頭に並ぶ商品が工場から上がってきて家族中総出で出荷の準備です。母屋も商品で埋まり天気が良かったので庭にもハンガーラックを出し出荷の準備。
ふと上を見るとツバメのカップルがあっちにもこっちにもそっちにも、いたるところに電線にとまってこっちを見ています。
我が家はツバメから見ると優良物件!買い物の時も、旅行の時も!玄関開けっぱなしなのですから。
すると1羽のツバメが我が家の玄関目指して飛んできました。すると、玄関先でUターンしていくのです。次、違うツバメも玄関目指いて飛んでくるのですが同じようにUターンしていきます。またまた別のツバメも玄関に入ろうと来るのですが、まるでそこに見えないバリケードがあるように跳ね返っていきます。あるツバメは見たことのない凄いスピードをつけて玄関に突進するのですがこれもまるで壁に追突したかのように跳ね返っていきます。「何やってんだろう」とうとう2番目ツバメは来ませんでした。そしてその年の10月に父は亡くなりました。
ツバメは知っていたのですね。
その後の我が家は父が亡くなったことで負債を抱えている会社をこれ以上続けていく理由がなく自己破産宣告をし、会社を畳み実家は売却。
我が家を買ってくれた方も当時は中国人の出稼ぎが多くその中国人の寮になっていましたが、今はそれもなく荒れ放題のあばら屋と化しています。