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【DIVA 第2話】UGCってゲームのコンセプトが素敵だよねって話
こんにちは。竜崎果恵(かのえ)です。
私とDIVAの話、第2話です。前回の記事、たくさんの方に読んでいただけてとても嬉しいです。まだお読みでない方はぜひ「【DIVA 第1話】「初音ミク-Project DIVA-」ってゲームを語ります。」から読んでみてください。
最初はパーフェクトを埋めたいだけだった
アーケード版のDIVAをプレイするようになって最初に驚いたのは、PSPとのプレイ感覚が全く違うことでした。
それはそうで、慣れ親しんだPSコントローラーひし形のボタン配置から、アーケード版は横一列のボタン配置で、指じゃなく手でボタンを押す仕様なので、全くの別物。
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まずはボタン配置を覚えるところからのスタートで、ボタンとボタンの間を押そうとして指先を痛める…とかよくありました。
それから、アーケード特有の「同時押し」。PSPにはなかったもので、ボタン配置を覚えていない状態で挑むのは難儀しました。ワールドイズマインのラスサビ前、「当然ですだって私は」の部分なんて最初は宇宙猫みたいな顔で見てました。
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地元のゲーセンにはいろんなスタイルの人がいた
頑張ってパーフェクトを埋めよう!と張り切るなか、私がプレイしていたゲームセンターは常連さんが多く、よくプレイヤー同士でお話されていました。稼働初期で全国的にプレイヤーが多い時代だったので、3~4人以上の待ち時間があるのは当たり前でした。
2台筐体があり、1台は待機列にプレイ画面が見えるいわゆる「晒しモニター」が取り付けられていて、人のプレイを見ながら自然に会話が発生する…そんな環境でした。コロナ後の今では信じられませんが、下の画像の小さな椅子に2人掛けしながら待ってたんですよ。
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ある常連さんに話かけていただいたことをきっかけに、私も輪の中に入れてもらったのですが、何人もいる常連さんそれぞれ楽しみ方が違っていて、「色んなプレイスタイルがあるんだ」と驚いた記憶があります。
私が通っていたゲームセンターには、私を含めて6パターンの人がいました。
フラっと立ち寄ってサクッと遊ぶ人(または他のゲームもやってる)
パーフェクト埋めをしている人
パーフェクト埋めは終わっていて、達成率を詰めている人
色んなモジュールで曲のPVを楽しんでいる人
晒しモニターに映るリンちゃんを一眼レフで撮影する人
スコアアタックで全国ランキング上位を目指す人
一眼レフニキに皆で「モニターにローアングルしても何も見えないよ」なんて談笑しながら、ここの常連は仲良いけれど干渉し過ぎもせず、居心地がいいなと感じていました。お互いがお互いの好きを共有する社交場みたいな、そんな雰囲気がDIVAコーナーにあったように思います。
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振り返って思うDIVAの”初音ミク”的ゲームコンセプト
ところで、UGCという言葉をご存知でしょうか。サラッと第1話でも触れましたが「ユーザー生成コンテンツ(User Generated Content)」のことで、DIVAもボカロPが作成した楽曲をベースに制作されたゲームなのでこれに該当します。
(DIVAAC稼働初期、「初のUGCゲーム」的な宣伝文句があった気がします)
初音ミクをはじめとするボーカロイド文化は、今日に至るまで日本の「創作文化」の代名詞と言えると思っています。2011年に発表されたGoogle Chrome JAPANのCMは象徴的な例です。
初音ミクが与えたインパクトは音楽を中心にイラスト・踊ってみた・歌ってみた・漫画・アニメ等の様々なエンターテインメントに波及しています。
今までは各領域ごとに断絶されていた文化圏(点)がボーカロイドを起点として横串が刺され(線)、繫がり連鎖していく(円)。そんな懐の深さがVOCALOID文化にはあると思っています。まさにTell your world。
2011年以降になると、DIVAを活用した創作活動も活発になっていったように思います。DIVAを取り巻くサービスのなかで「創作」を感じられるものといえば、DIVA.netと連携した「フォトコンテスト」がありますが、それ以上に個人的に衝撃を受けたのは、家庭用DIVAでユーザーが作成したPVがアーケード版の追加楽曲に採用される「AC版PV応募」です。
おったまげた「嘘つきベティ」
何より衝撃を受けたのは、2011年9月の追加楽曲「噓つきベティ」の応募PV。自分もプレイしていた「2nd」で作成したエディットPVで、初めて見たときはあんぐり開いた口が塞がらなかったです。改めてコイツを見てくれ。
この時にはもうすっかりゲーセンのDIVAにハマっていたわけですが、より深く好きになる大きなきっかけでした。エディットってやってみるとわかるんですが、めちゃくちゃ難しいんですよね。そんななかで曲の雰囲気だけでなくてストーリー性があり、歌詞に合わせたキャラクターの動きもあり、カメラワークもわっけわかんなくてもう美しい。美しいです。
噓つきベティ以外に追加された「さぁ、どっち?」「イヤイヤ星人」「Equation*++」「数多の舞」もすべてが応募PVで、それぞれ素晴らしい作品でした。
エンタメ性の高いプレイ動画も誕生
さらに、プレイ動画も様々なものが投稿されるようになります。当時の競技プレイヤーにはおなじみで、多くのプレイヤーがDIVAのスコアアタックに関心を寄せるきっかけになったのが橋尭めがさんの「【DIVA Arcade】Ex鬼畜√を全曲倒す旅」。第1作品目は2012年2月の投稿でした。
プレイが上手いのはもちろんなんですけど、何より編集が面白い。エンターテインメントとしてのクオリティがすごく高かったです。
さらに「ランカーでもこんな苦労するんだ…」みたいなコメントが付いたり、断絶されがちな競技プレイヤーと非競技プレイヤーの架け橋にもなった動画でした。
橋尭めがさんは現在イラストレーターとして活躍しています。当時はこの動画だけでなく様々なプレイヤーの手元解説をしたり、DIVAACの同人誌を作成するなど幅広く創作活動を行っていました。
もともとVOCALOIDを使って楽曲提供をしていたクリエイターがプレイヤーになることも、プレイヤーが自身のプレイした内容を活用してクリエイターに転じることも、どちらもあったのがDIVAの魅力だなと思っています。
それこそがUGCであるDIVAのコンセプトなのでは?…と振り返ると思うわけです。ゲームが色んな想像力の起点になるってすごくロマンがあって、初音ミクがそのままゲームになった、みたいな感動があるなぁ。
プレイ開始から半年、外の世界も見てみたくなった
こうしてリズムゲームとしてだけではなく、ボカロ文化にもハマっていくと、最寄りのゲーセン以外にもどんな人がいるんだろうとか、どんなワクワクすることがあるんだろうみたいな興味にも転じて、各分野のすごい人に会ってみたい!という気持ちが大きくなりました。
その一方で、自分はこのゲームをどう頑張りたいか…と考えたときに最も関心が高かったのがスコアアタックでした。地元のゲーセンには「Last Night, Good Night」で全国一位を取ったことがある!というプレイヤーがいて、「す、、、すげェ!!!」って憧憬の眼差しを向けていた当時の自分。好きな曲のランカーって特別感あったんですよね。
そんな状態から、外の世界も見てみたいということで、隣町の栄えたゲーセンに行ってみることに。そこで改めて自分のプレイスタイルが決まるわけですが、またその話は次回以降に取っておこうと思います。
では、またの機会に。
前回:【DIVA 第1話】「初音ミク-Project DIVA-」ってゲームを語ります。
次回:【DIVA 第3話】ゲームデザインが異質でハマり過ぎって話