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【DIVA 第3話】ゲームデザインが異質でハマり過ぎって話

こんにちは。竜崎果恵(かのえ)です。
DIVAと私の話、第3話です。前回も結構な反響をいただけてもはや驚いています。前回の「【DIVA 第2話】UGCってゲームのコンセプトが素敵だよねって話」を未読の方はぜひこちらも読んでみてください。


半年経つと外側の世界が見たくなる。

2011年の夏ごろ、DIVAACをプレイしてから半年ほど経っていました。リズムゲームがそもそも得意でない上に経験もほぼないので、熱量と物量でカバーしてEXTREMEのパーフェクトはおおよそ半分くらいまでの進捗でした。

この頃になると地元のゲーセン友達とも交流が深くなり、そろそろ他のゲーセンはどうなんだろう、と興味が出てきました。
聞いてみると「隣町のゲーセンはホームよりも1台多いよ!」「毎月大会やってるよ!」「上手い人しかいないよ!!」という話を聞き、ほな行ってみようか…と、初めての”遠征”(移動時間は20分もない)を決めました。でも一人だと怖いので、友達が一緒に付き添ってくれました。感謝。

上手い人しかいないと噂の隣町のゲーセン(当時)

気分は”初めて練習試合で他校に行った時の中学生”です。店の前に立つと、そもそも箱自体が広くて(3フロア)、大きいガンダムの頭があって、各ゲームコーナーが全部広くて圧倒されてました。普段ずっと小さな箱のゲーセンでやっていたので、なんだかすごい強豪校みたいに見える現象が起きてました。ゲームやり込む前はゲーセンの広さとか気にしなかったのにw

なんでコーラなのかわからない、待ち椅子のベンチ(当時)

DIVAコーナーに着くと、またビビりました。まず、晒しモニターがめちゃくちゃ大きいんです。ホームの23インチ程度のモニターに比べ、こちらは両手を広げたくらいの大きさ。待機列も小さな椅子に2人掛けではなく、コカコーラの長いベンチが2台。10人は座れるじゃん…。ここに部活の顧問がいたら「ビビんな!」って怒られてたと思います。

プレイヤー層が厚く、刺激的だった遠征

結論として、ものすごく刺激的な遠征になりました。常に10人以上の方がいて、時間帯によって入れ替わりたくさんの人とお話しました。ホームとの違いで気づいたのは平均的なプレイヤーレベルが高いこと。全国ランキングで上位に入っている人が数人いただけでなく、ボカロ好きで~って言ってる人でもかなり上手い(EXTREMEの9割パーフェクト取ってるレベル)のがほとんど…。

Pマークが並んでる選曲画面に憧れた(自分のですみません)

そのなかで気になったのがカードネーム(CN)でした。@○○とか、頭に【××】とか。それがDIVAACのチームということをここで知りました。チームなんてもんがあんのか!なんだチームって!ってリアクションだった気がします。

コラム:2011年当時のDIVAチーム

ところで、この2011年というのはDIVAACにとって大きなユーザー主催イベントが始まった年でした。5月に前哨戦が開催され、初回から100人以上の参加者を誇ったDIVAAC史上最大規模のユーザー大会です。

mixiチーム対抗戦のコミュニティページ

この大会以降チーム文化が急速に浸透・発展して、地域発信やモジュール好きの集いなど様々なチームが生まれていきます。当時の有名どころといえば、地域チームは千葉県の「@ちば」、岡山県の「@OHK」、埼玉県を中心に東日本エリアで拡大した「人外レンジャー」、愛知県の「鉄猫」。また、キャラやモジュールファンの集いでは「鏡音一家」「☆亜北会☆」「【華】」など様々でした。

このチーム対抗戦の話は後々触れようと思うので、古参の方々は楽しみにしていてください。

サークル的チームの要因はゲームデザインからなのではって話

言わずもがな趣味を深めるためにコミュニティは結構重要で、今ではDiscordのチャンネルやXのコミュニティに加入したり、地域の○○教室に参加したりと様々な択があります。そのなかで自分の趣味のレベルやコミュニティの雰囲気で選ぶ、という感じだと思います。
2011年当時は、そもそもSNS自体が成熟していなかったので、選択肢といえば基本mixiで、Twitterはまだ振興勢力でした。

ゲームコミュニティでは、自分のレベルに合うコミュニティが選択される傾向が多いです(「初心者歓迎!」「大会上位狙い」など)。理屈っぽくなっちゃいますが、噛み砕くために用語を使って整理します。

ゲームユーザーはマーケティング上プレイ頻度別に「ヘビーユーザー」「ミドルユーザー」「ライトユーザー」に分類され、またプレイ頻度とは別にゲームのファン(グッズ購入やイベント参加に積極的な層)を「ロイヤルユーザー」に分類します。
一般的にゲームの「ヘビーユーザー」と「ライトユーザー」はプレイヤー心理的に対極構造になりやすく、直接的なコミュニケーションが難しい場合が多くなります。

一方、DIVAはリズムゲームではあるものの、ゲームそのものとしては「初音ミク」が中心に置かれるようにデザインされています。ゲーム画面は「太鼓の達人」や「BEATMANIA」等と比べると、リズムゲームとしての見た目よりもPVに視覚的な注意を引きやすい構造です。

時に譜面がPVデザインの一部になることも…

余談ですが、DIVAACの「譜面デザイン」はACUTEのEXTREMEが美しすぎると思ってます。これ、×=青=KAITO、□=ピンク=ルカさん、△=緑=ミクさんが表現されていて、歌詞に合わせて譜面配置されてるんですよね…譜面作ったSEGAのスタッフ、わかり手すぎる。

話を戻して、ゲーム画面以外にもデモ画面にボカロ人気曲ランキングが映ったり、DIVA.net(ユーザーアカウント管理が可能なWebサービス)と連動したPV撮影モードを活用する「フォトコンテスト」が開催されるなども踏まえると、「これはボカロたちを愛でるゲームでもあるよ」というメッセージが込められているように思います。

そうなると、プレイヤーはリズムゲームの習熟度だけでなく「ボカロが好きかどうか」という軸でもプレイヤーの習熟度を測ることができるようになり、コミュニティ形成基準が多元的になります。

こうしたゲームデザインによる特異性から、2011年期におけるDIVAACのチームはリズムゲームの習熟度に関わらず「地域性」や「キャラクター」などのシンプルな共通項で集団を作りやすく、急速に発展していったのではないかと思っています。どちらかというと、当時のチームは「目的を共有する集団」というより「サークル」的なニュアンスが強く、ロイヤルユーザーを中心に「ガチ勢」と「エンジョイ勢」が(良くも悪くも)触れ合う機会が多くなりやすかった、そう捉えています。

ともあれ、単なるリズムゲームに留まらず、ボカロファンも取り込むことができるこのデザインはリズムゲームとしてはとても挑戦的なもののファン心理的にはドハマりしていたんじゃないかなと思っています。

外の世界を見て改めて感じた自分の思い

上手な人、ボカロが好きな人、様々な人たちと触れ合う機会になって、チームという存在も知って、なんだかDIVAのちょっと深いところを知れた気持ちになった遠征でした。

そこで出会った人で一番「カッコいい!」と思ったのが「EXTREMEのスコアラー」さんで、まだEXTREMEを半分くらししかパーフェクトを取れていない自分にとってはとても遠く、でも輝いて見えました。

上手なプレイヤーって手元が美しいんですよね。。。雪音くんはひそかな私の”推し”です。

当時はまだ”興味がある”くらいだったスコアアタックに、この遠征を機に本気でチャレンジしてみよう。そう心に決めて、地元のゲーセンに通っていた人たちと「チーム対抗戦で優勝する」を目標にチームを立てることになります。

私とDIVAの本当の深い付き合いはここから始まり、活動の主戦場が地元から全国ランキングに移っていくのですが、その話は次回以降にさせていただきます。

では、またの機会に。


前回:【DIVA 第2話】UGCってゲームのコンセプトが素敵だよねって話

次回:【DIVA 第4話】ゲームの外側にも大きく影響受けるよねって話

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