小説『エミリーキャット』第73章・シレーヌ達
『奇妙なもの?』
刑事はまるで何かに取り憑かれたかのような顔つきになって頷いた。
『彼女はそれをこう呼んだんだ、
”これはあと何年も何年も遠い先の未来、ここに立ち、私と同じように孤独で深く傷ついた人がここで流した泪の”結晶”なのよ。”って、
”時を超えて、今その人と同じ場所に立つ私にその人が未来の自分の存在をここに居る私に知らせる為にたった今、これを私達に見せてくれているんだわ”って』
『それどういうことですか?一体』
『解らない、だが彼女は言ったんだ、
”私の目の前