見出し画像

【青森県八戸市】ウミネコの街の小さな水族館 水産科学館マリエント

 北東北にある水族館といえば、大きいものであれば青森県青森市の浅虫あさむし水族館や、記事にもした秋田県男鹿おが市の男鹿水族館GAO。比較的小さなものであればこちらも以前記事にした岩手県久慈くじ市にあるもぐらんぴあなどがある。

 もぐらんぴあの記事でも触れたが、もぐらんぴあとよりも更に小さな水族館が青森県の 八戸はちのへに存在する。
 その名も水産科学館マリエント
 ウミネコの繁殖地として有名な蕪島かぶしまと目と鼻の先にあるこの建物は、規模としては小さいものの様々な魚が生体展示されており水族館としての役割も果たしている。

マリエント外観
正面から見ると幅が狭く見えるが
それなりに奥行きがある
真正面に見えるのが蕪島。
歩いて向かっても5分とかからない
マリエント横にあるのは長谷川 藤次郎という人物の銅像。
八戸の漁業の近代化に大きく貢献した人物だ

 マリエントは崖沿いに立っているらしく、駐車場から歩いてきた場合は展示スペースまで階段を上る必要がある。勿論エレベーターもあるので車椅子でも問題ないが、結構急なので冬場は転倒に注意しよう。

受付後ろにある大水槽。
ヒラメやメジナ、シマアジのほかウミガメなどが
飼育されている

 自分が訪れたのはクリスマスの時期だったこともあり、館内はクリスマス風に飾り付けられていた。

入って左手、順路通りに進むとまずあるのは
熱帯魚を中心にしたコーナー。
ドクターフィッシュことガラ・ルファも飼育されている
熱帯魚コーナーの隣は
蕪島の近隣らしいウミネコに関する展示だ。
ウミネコの巣を拡大したようなスペースには
蕪島における繁殖期のウミネコの生活についての解説が
展示されている
水槽の中もクリスマス仕様
人気のチンアナゴやニシキアナゴも飼育されている

 さて、昨年の秋ごろに少しニュースになったのだが八戸の漁港でフウライチョウチョウウオという熱帯魚が見つかった。その際に捕獲された個体がこの時は展示されていた。

右下にいるのがフウライチョウチョウウオ
捕獲当時の新聞
色合いといい形状と言い、ザ・熱帯魚という
姿をしている

 フウライチョウチョウウオの幼魚のうち一定数は海流に乗って南方から北へと渡るが、越冬はできずに死滅してしまう。その見るからに熱帯魚らしい姿も相まって、死滅回遊魚の代表的存在だ。フウライの名も、この性質からついたという説があるようだ。
 東京湾などでは暖かい時期によく見られ、東北地方でも石巻いしのまきなどでは見られるようであるが青森県の八戸で、しかも11月に生きていたということで、海流の変化や海水温の上昇が問題になっている昨今の海の変化の象徴的な存在となっていた。

 そして漁師町の水族館といえば、勿論地元で食用にされる魚たちのコーナーもある。

八戸前沖水槽。
なおこのマリエント、建物の規模が小さい中で
水槽を増やしている影響か、展示されている魚とは
無関係と思わしきパネルが水槽の裏にあるのに
水槽が邪魔で見えない箇所がちらほらある。
元々は科学館としての側面の方が大きい
施設だったのだろうか
クロソイ、ホウボウ、マアナゴ。
八食センターでもお馴染みのメンツだ。
隣の水槽にはムラサキウニやイシダイなどが
展示されていた

 さて、このマリエントの奥には「ちきゅう」情報館という展示スペースがある。
 これは海底掘削船「ちきゅう」の運用試験が八戸沖で行われた縁で設けられたスペースであり「ちきゅう」のスペックや役割、模型などはもちろんのこと深海に関する様々な解説が展示されている。

「ちきゅう」情報館。
大きさの比較対象がアスパム
(青森市にある青森で一番高い建物)なのが実に青森らしい
1/100スケールの「ちきゅう」の模型

 また「ちきゅう」を語る上で欠かせない八戸にまつわるエピソードは運用試験の時のみではない。
 東日本大震災の際に「ちきゅう」は八戸港に停泊しており、ちょうど地元の小学生たちが見学に来ていたタイミングだった。
 地震発生から津波到達までの限られた時間の中、湾内を襲うで高さ8メートルもの津波を操舵で乗り切り、見学していた小学生たちはもちろん乗員も守り切り船体の損傷も最小限に抑えた逸話は地元では有名な話で、新聞にも掲載されていた。
 この時のエピソードはJAMSTECでも掲載されている他、本にもなっておりこの本もマリエントで読むことができる。
 特にJAMSTECのページには津波到達時の「ちきゅう」の挙動が掲載されており、その壮絶さが窺える。

「ちきゅう」の他にも「ちきゅう」が探査する深海に関する展示もある。中には有人潜水船「しんかい6500」から見える光景をVRで再現したものというものもある。

熱水噴出孔のジオラマ
深海に住む生物たち。
最近話題になったセンジュナマコの絵もある
そして八戸沖の海底のパネルもある
そしてイカ漁の漁具の展示。
ここ最近は大きく漁獲量が減っているが
八戸はかつてはスルメイカ漁が盛んだった街だ。
現在もイカを使った土産物が多く、館鼻岸壁朝市の
マスコットキャラクターのイカドンのように
イカをモチーフにしたキャラクターも珍しくない
イカ釣り漁船の模型。
イカが光に集まる性質を利用するため
大量の電飾が付いているのが特徴だ
さらに進む再び魚の展示スペース。
アロワナは寄付されたものとのことだ
そしてこちらは青森県産業技術センターで開発され
現在青森県の新たな特産品として広まりつつある
青い森紅サーモン。
青森県内では他に海峡サーモンや青森サーモンを合わせた
3種類のサーモンがブランドになっている
水槽内を泳ぎ回る青い森紅サーモン達。
かつては庶民の寿司の代表のようだったサーモンだが
近年は日本国内でも養殖されることが増えており
高級店でも取り扱う店が増えてきているという
紅サーモンの後ろにもイカに関するパネルがあったが
やはり読むことはできない
そしてオオカミウオはここにもいる。
隣町の階上町で水揚げされた個体とのことだ
もぐらんぴあでも男鹿水族館GAOでも振られ続けたが
やっと顔を拝むことができたオオカミウオ。
口の中から覗く白い牙がかっこいい。
そしてこの後ろにもイカについてのパネルがあった
パネルの大部分は水槽の後ろになっていて読めないものの
模型は今でも現役だった。
こちらはイカの口部分の模型

 他にも併設されているシアターでは海の中を舞台にしたサイエンスアニメや深海生物の映像、さらには八戸市の観光紹介などかなりの種類の映像が上映されていた。
 
 小さいながらも入館料も手頃で、観光地蕪島からも程近い水産科学館。
 これからウミネコが繁殖シーズンを迎える蕪島。観光の際はこちらも訪れることをお勧めする。

八戸海上保安部に関するコーナーも
小さいながらもあった。
港町らしい、意外と見かけない展示だ

八戸市水産科学館マリエント
住所:青森県八戸市大字鮫町字下松苗場14-33
営業時間:9月~6月 9:00~17:00
     7月~8月 9:00~18:00
休館日:不定休 (サイト参照)
料金:一般 300円 シニア 150円 高校生 200円
   小中学生 100円
アクセス:JR八戸線 鮫駅から徒歩20分
備考 :団体料金・回数券あり


 当ブログはAmazonアソシエイトプログラムに参加しています。気になる商品はリンクから購入していただけると励みになります

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集