【青森県八戸市】ウミネコの街の小さな水族館 水産科学館マリエント
北東北にある水族館といえば、大きいものであれば青森県青森市の浅虫水族館や、記事にもした秋田県男鹿市の男鹿水族館GAO。比較的小さなものであればこちらも以前記事にした岩手県久慈市にあるもぐらんぴあなどがある。
もぐらんぴあの記事でも触れたが、もぐらんぴあとよりも更に小さな水族館が青森県の 八戸市に存在する。
その名も水産科学館マリエント。
ウミネコの繁殖地として有名な蕪島と目と鼻の先にあるこの建物は、規模としては小さいものの様々な魚が生体展示されており水族館としての役割も果たしている。
マリエントは崖沿いに立っているらしく、駐車場から歩いてきた場合は展示スペースまで階段を上る必要がある。勿論エレベーターもあるので車椅子でも問題ないが、結構急なので冬場は転倒に注意しよう。
自分が訪れたのはクリスマスの時期だったこともあり、館内はクリスマス風に飾り付けられていた。
さて、昨年の秋ごろに少しニュースになったのだが八戸の漁港でフウライチョウチョウウオという熱帯魚が見つかった。その際に捕獲された個体がこの時は展示されていた。
フウライチョウチョウウオの幼魚のうち一定数は海流に乗って南方から北へと渡るが、越冬はできずに死滅してしまう。その見るからに熱帯魚らしい姿も相まって、死滅回遊魚の代表的存在だ。フウライの名も、この性質からついたという説があるようだ。
東京湾などでは暖かい時期によく見られ、東北地方でも石巻などでは見られるようであるが青森県の八戸で、しかも11月に生きていたということで、海流の変化や海水温の上昇が問題になっている昨今の海の変化の象徴的な存在となっていた。
そして漁師町の水族館といえば、勿論地元で食用にされる魚たちのコーナーもある。
さて、このマリエントの奥には「ちきゅう」情報館という展示スペースがある。
これは海底掘削船「ちきゅう」の運用試験が八戸沖で行われた縁で設けられたスペースであり「ちきゅう」のスペックや役割、模型などはもちろんのこと深海に関する様々な解説が展示されている。
また「ちきゅう」を語る上で欠かせない八戸にまつわるエピソードは運用試験の時のみではない。
東日本大震災の際に「ちきゅう」は八戸港に停泊しており、ちょうど地元の小学生たちが見学に来ていたタイミングだった。
地震発生から津波到達までの限られた時間の中、湾内を襲うで高さ8メートルもの津波を操舵で乗り切り、見学していた小学生たちはもちろん乗員も守り切り船体の損傷も最小限に抑えた逸話は地元では有名な話で、新聞にも掲載されていた。
この時のエピソードはJAMSTECでも掲載されている他、本にもなっておりこの本もマリエントで読むことができる。
特にJAMSTECのページには津波到達時の「ちきゅう」の挙動が掲載されており、その壮絶さが窺える。
「ちきゅう」の他にも「ちきゅう」が探査する深海に関する展示もある。中には有人潜水船「しんかい6500」から見える光景をVRで再現したものというものもある。
他にも併設されているシアターでは海の中を舞台にしたサイエンスアニメや深海生物の映像、さらには八戸市の観光紹介などかなりの種類の映像が上映されていた。
小さいながらも入館料も手頃で、観光地蕪島からも程近い水産科学館。
これからウミネコが繁殖シーズンを迎える蕪島。観光の際はこちらも訪れることをお勧めする。
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