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バレンタインが近いのでベアレンの「ドライチョコレートスタウト」を飲んでみた
この記事が投稿されている予定の日の翌週、2月14日はバレンタインデー。
この時期は各地の百貨店の催事場に世界のチョコレートが並ぶことは言うまでもなく、甘いものが苦手な人向けということでプレゼント向けの酒の販売も盛んな時期である。
まさにこの時期にぴったりのビールとしておすすめしたいビールがある。ベアレンのチョコレートスタウトである。
ベアレン醸造所は岩手県盛岡市のクラフトビールメーカーだ。岩手県内であれば大抵のスーパーにここのビールが置かれている上に盛岡市内には複数の直営レストランもあり、岩手県の人間であれば酒を飲まないという人でもご存知の方が多いと思う。
ビールそのものが国内外からの高い評価を受けていることは言うまでもなく、クラフトビールメーカーならではのフットワークで定期的に新作を出しているほか地元の他の企業とのコラボも盛んであり、岩手県釜石市に拠点を置くラグビーチームである日本製鉄釜石シーウェイブスの応援ビールや、盛岡市動物園とのコラボビールなども販売している。
以前に記事にしたものでは、一昨年期間限定で発売された「ブレッドヴァイツェン」も地元を同じくするシライシパンとのコラボでできたビールだ。
そんなベアレンでこの時期に特に大人気のビールがチョコレートスタウトシリーズである。
2025年2月現在のベアレンからは「チョコレートスタウト」、「ミルクチョコレートスタウト」、「ドライチョコレートスタウト」、「コーヒースタウト」、「チョコレートスタウトヴィンテージ」の5種類が発売されている。
ビールに詳しい方はご存知かと思うが、チョコレートスタウトのようなチョコビールはいわゆる黒ビールの一種だ。ロースト麦芽を使用することで香ばしい風味と甘みを引き出し、チョコレートを思わせる深い黒色と味わいを再現したビールである。
現在は日本国内で実に多くのチョコビールが作られているが、日本で一番最初にこのタイプのビールを作ったのはここベアレンなのだという。
チョコレートビールの名を冠したビールの中には実際にカカオニブなどを加えているものもあるが、ベアレンのチョコレートスタウトは香料やカカオなどは加えず、麦芽と麦とホップだけ (※)でチョコレートの風味を作り出している。
(※ 派生商品である「ミルクチョコレートスタウト」には乳糖、「コーヒースタウト」にはコーヒーが添加されている)
今回はこのうちドライチョコレートスタウトを購入したので、実際に飲んで味をレビューしていきたいと思う。
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チョコレートスタウトシリーズはその中でも
一際愛らしいデザイン。
この見た目だけでもうすでに贈り物にぴったりだ
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写真で缶2/3程度の量
缶のデザインとネーミングで軽めの印象があったが、かなり好みのずっしりとした味だ!
飲むと最初にロースト感の強いしっかりとした香ばしさが来て、次に微かな甘さが追ってくる。そして最後にじんわりとホップの苦味と黒ビールらしい香りが残る。ドライというだけあってロースト麦芽の苦味とホップの2つの異なる苦味を感じるが、それぞれ別のタイミングで来るためにそれぞれを十二分に楽しめる。
冷蔵庫から出したてのキンキンに冷えたものよりも、少し常温においた方がより美味く飲めるとのことだが、確かにこれはじっくりと飲んで楽しめるタイプのいかにもエールといったビールだ。
正直な話をするとチョコレートか?と言われると、チョコレートは甘味→苦味・酸味の順で来るのに対してこちらのチョコレートスタウトは苦味→甘味の順で来るので正直言われなければチョコレートっぽさは感じない。
だがドライというだけあってか、しっかりと重厚な黒ビールでありつつホップの苦味がしっかり効いていて非常に好きな味だ。これは今後もちょっといい時に飲みたい酒である。
そしてこのチョコレートスタウトの説明に気になる一文がある。なんでのこのビール、チョコレートにも合うのだという。
合わせるべき北東北のチョコレートといえばこれだろう。青森県弘前市に本社を置く菓子メーカー、ラグノオささきの「ポロショコラ」だ。
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元々は5切れ入りのものしかなかった気がするが
最近は店頭でも3切れ入りのものが多く置かれている
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濃厚さゆえに包丁でカットすると包丁につきやすいことから
すでにカットされたものが販売されているという。
また、長く伸びたフィルム皿に移しやすくするためらしい
カルディに置かれ、大ヒットしたことから一気に知名度の上がった「ポロショコラ」だが、実は青森県内のカルディに置かれていることは少なくとも自分は見た記憶がない。恐らく「ポロショコラ」を製造しているラグノオささきの店舗は (岩手県内はやや少ないが)北東北に相当の数があり普通に製造している店舗で買う方が早いためだろう。
また、実はラグノオというと元々地元青森県では丸ごと1個のリンゴをシロップ漬けにした後パイ生地で包んで焼いた豪快すぎるアップルパイ「気になるリンゴ」やそのネーミングから近年は青森県外でも知名度が高まっているフルーツソースとカスタードクリーム入りのスポンジ菓子「いのち」、スティックサイズのアップルパイ「パティシエのりんごスティック」などが定番であり、少なくともラグノオといえばポロショコラというイメージはなかったようだ。地元ではパッとしなかった者が都会で大成するという例の代表として取り上げたい。置かれた場所から離れた所で大輪の花が咲くやつもいるのだ。
そして、肝心の合わせた感想なのだがなんというか判断が難しい。
というのも、合わせたら新たな別の食い物になってしまったのだ。
どちらも一気に食べるものではなくゆっくりと味わいたいものだと思うのに、不思議なことに一緒に食べるとごくごく飲めてパクパク食べれてしまう。 ポロショコラの濃厚な甘さのおかげでチョコレートスタウトの苦味のうち特に最初に来るロースト缶のある苦味が抑えられる。
対してポロショコラの後引く濃厚さもチョコレートスタウトのホップの苦味がキレとなり、すっきりと食べられる。
美味いが不味いかで言ったら間違いなく美味いと言える組み合わせだ。フォークが進みジョッキが空になる速度が一気に上がるという意味では確かに合う食べ物かもしれない。しかし、黒ビールはじっくりと味わいながら飲みたい派からするといささか飲みやすくなりすぎる気がする。
正直に言ってしまうと、自分はフライドポテトやドライクランベリーなど苦味を邪魔しない食べ物と合わせたい。
ただ黒ビールをあまり飲み慣れていない人でもこの組み合わせなら非常に飲みやすいだろう。そういう意味では、プレゼントとしての組み合わせには非常にもってこいかもしれない。