日本人のランニングシューズ
2023年、初投稿となります。本年もどうぞよろしくお願い致します。
2023年の箱根駅伝も終わりましたが、画面からでも選手の息づかいが伝わってくるようで本当に感動をいただきました。ありがとうございました。
箱根駅伝はシューズメーカーにとっても檜舞台、しのぎを削っている場所でもあります。ドラマ陸王は記憶に新しいところですが、箱根駅伝はまさにリアル陸王の世界で各メーカーも固唾をのんでレースを見守ります。
ランニングシューズを制する者(メーカー)はスポーツ業界を制す
走ることはスポーツの基本でもあり世界的なトップメーカーは巨額の開発費を惜しみなく投入するといわれています。車のF1同様、競い合うことでイノベーションにつながりシューズは進化してきました。
マラソンシューズ
古代まで遡ればアスリートはサンダルを紐で固定して履いていたようです。近代、1910年頃になるとボストンマラソンでは革のシューズが使用されいました。
その頃、日本では足袋の底にゴムを貼りつけた金栗足袋が誕生し、1936年のベルリンオリンピックの金メダリスト孫基禎選手は、新聞の取材に対し「外国にはこんな指の股のついたのなんかないでしょうな、ハハハー」と笑ったとの記事が残っています。
その後、1950年代に入るとアシックスは従来のゴム底に比べて軽量で衝撃吸収にすぐれたラバースポンジを開発、1960年代に入ると当時マラソン大会では足にマメができるのは当然、という既成概念を打破すべく靴内の空気が循環するシステムを開発します。
近年までマラソンシューズは軽さとクッション性を兼ね備えた薄底が主流でしたが、NIKEは2017年にスピードに特化した反発性が強い厚底シューズを開発し現在に至ります。
厚底シューズの功罪
2017年以降、世界でも日本でもスピード化が進みその要因にシューズの変革が上げられています。ただ、厚底シューズの使用選手は股関節の故障が2.3倍に増えたとの報道もあります。
詳しいメカニクスはこちらで説明されています。
厚底シューズに対して箱根に出場する大学もそれぞれ対策をしているようで、トレーナーがインナーマッスルだけでなくスクワットなどでアウターマッスルのトレーニングを増やしたり、厚底での走り込みは制限したりと工夫を凝らしているようです。
スポーツ選手は用具のイノベーションでその対応力が常に求めれられます。例えば野球ではボールやバット、禁止にはなりましたが水泳の水着、スピードスケートのスラップスケート、ランナーもシューズに対応して自分の力を引き出すことが常に求められています。
自分に合った走り方とシューズの選択
2023年の箱根では例年に比べてNIKE一択状態ではなくなっていました。選手個々に自分に合ったシューズの選択肢が増えてきたことはとても良い傾向にあるのだろうと思います。
ドラマ陸王はミッドフット走行を体得したい茂木選手(竹内涼真)とマラソン足袋“陸王”に社運を掛けた宮沢社長(役所広司)のドラマでしたが、フォアフット走法、ミッドフット走行が効率的なことは分かっていますが正しいフォームを体得するのは難しいといわれています。
また、骨格が完成していない10代のランナーが自身の力以上にスピードが出てしまう厚底を常に使うのは故障の原因になるおそれもありますので、自分に適した走法を優先に体に合ったシューズを選択する必要があります。
NIKEは2013年からランニングシューズのプロジェクトがスタートして、トップランナーのキプチョゲ選手らと開発をすすめ2017年に厚底シューズが登場してからトップランナーは挙ってNIKEを履くようになりました。
しかし、個人的にはF1でもそうですが日本メーカー、日本選手にも頑張ってもらい世界を何とか驚かせて欲しいと思っています。
最後になりますが、日本には飛脚が履いていた草鞋という履物がありますが、これを現代風にアレンジした徳島県で企画製造されているRUNSUNワラーチがあります。
サンダルを自作する方もいるようですが、耐久性や怪我のリスクを考えると私は購入した方が良いと思います。これを履いて走ることは地面を的確にとらえ最適なフォームが体得しやすいといわれています。