きつねふく
【狐福】
思いがけない幸運。信じられないような幸い。「大黒殿の袋を拾ふか,―ならんと沙汰し侍る」〈浮世草子・本朝二十不孝•3〉
きつね丼は、断じて、卵でとじない派です。
先日、私は、愛して止まないお弁当「京都のきつね丼」を好き過ぎて、抑えきれない心のあまり、作っておられるメーカーの「穂久彩」さんに、次のようなメールを出してしまいました。
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こんにちは。
私は出張が多く、こちらの「京都のきつね丼」を少なくとも週に一回、ときどき二回、とても美味しくいただいております。年間少なくても50食、トータルでは200食以上はお世話になっていると思います。このお弁当はとても美味しくて、京都駅でNo. 1です。97点です。
なぜ、三点マイナスかということを、恐れながら申し上げたくメールを書きました。それは、柴漬けです。他のすべてのお料理の味付けが、いわゆる京のおばんざい、ふだん私たちが口にするとおりの味で、本当に安心して美味しくいただけるのですが、柴漬けだけは、残念ながら、そうとは言えません。赤いだけで乳酸発酵の酸味もない甘く人工的な味がする柴漬けもどきです。ご飯のしめとも、アクセントとも言えるお漬物がイメージ通りでないのはとても残念です。京都はおつけものの町のイメージもあるので、お漬物が上質であることは大事ではないでしょうか。お料理屋さんにいっても、お漬物までおいしいと「さすがやなぁ」と思うあの感じの、逆になってしまっているのがとても残念です。保存の関係上、美味しい柴漬けが難しいなら、別に柴漬けでなくてもよいと思いますし、二切れに減ってもよいので、美味しいお漬物に変更していただければ、ありがたく思います。
他の食材や味付けは、どれもみんなとても好きです。お腹が空いている時はガツガツとお丼部分からいただき、余裕のある時は、生麩やひろうすをつまみにアルコールとともにちびちび楽しんだ後に丼をしめにし、また夜遅い帰宅の時には持って帰ってチンしておうちでいただき、いつもいつもお世話になっております。これからも、貴社のきつね丼を買い続けます。この美味しさを、生徒さんにも、宣伝しますね。
以上、一きつね丼愛好家からの、勝手なお願いでした。最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも美味しいお弁当を食べさせていただけることを感謝しております。
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こちらのきつね丼を食べる度に、ほんの少し心にひっかかる違和感に耐えきれないあまりに、メールを出してしまった次第です。
不平や不満というものは、口に出してしまうと、それが解決されなくても、ある程度のカタルシスを得て、気持ちが落ち着いたりするもので、私もご多分に漏れず、思いの丈を穂久彩さまにうちあけたことで、少なからず心の平安を得ていたのですが、なんと、社長さんから、御返事を頂戴したのです。そのお返事が次のようなものです(一部固有名詞については伏せ字にしてあります)。
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菅野様
いつも弊社の「きつね丼」をご購入いただき誠にありがとうございます!
そしてとても「心あたたまるご指摘」をいただきありがとうございます。従業員一同で共有したいと思っております。
菅野様のご指摘はとても的を得ていて、正直驚いております。
お客様によっては「この漬物美味しい!」という方も多々おられるのですが、京漬物としてはほど遠い商品です。原価や保存期間の都合上使用しております。
ただこの度のコロナショックで弊社も大きなダメージを受けそれを機に「太秦弁当村」というテイクアウトのお店を作りました。
https://www.hokusai-kyoto.co.jp/takeout/index.html (ホームページです。)
コンセプトは「お弁当の小さな百貨店」です。
いろいろな京ブランドのお弁当が買えるお店となっています。
まだ計画段階ではあるのですがこのお店で「******」とコラボする可能性があります。それが実現できれば駅弁へそれを使用することももしかしたら実現できるかもしれません。
美味しいお弁当を作り続けられるよう精進いたしますので今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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株式会社 京はやし(京都太秦 穂久彩)
代表取締役 林 幸平(kohei hayashi)
京都府京都市右京区太秦北路町25-17林ビル
TEL・FAX 075-873-5810(店舗)075-873-5757
<ホームページ>
http://www.hokusai-kyoto.co.jp
<ブログ>
http://blog.hokusai-kyoto.info/
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一ユーザーの、こんなささいで個人的な感想に返信をいただき、飾らない真摯な本音をお聞かせいただき、今後の展望までお聞かせいただけるとは、なんとありがたいことでしょう。この会社を信頼して今後も「京都のきつね丼」を食べ続けていこうと、私が強く心に誓った一件でした。
穂久彩さまの「京都のきつね丼」は、京都駅の新幹線八条口(1F)を出たところの、ASTY ROADで販売されています。他にも置いていたり、新幹線構内(2F)でも売っている時がありますが、私の経験上、ASTY ROADのお店でゲットできる確率が高いです。
予備校生のみなさんには、ちょっと渋すぎるお弁当かもしれませんが、「京都のきつね丼」には、みやこびとのエスプリが詰まっています。京都の大学をめざしている皆さん、ぜひとも一度、ご賞味くださいませ。