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哲学的キャリア論のススメ2~辞めたくなる三要素~
「働く、生きるを、HAPPYに」をビジョンに掲げる株式会社ミライフで、キャリアデザイナー兼事業企画として働いている菅野(かんの)による「哲学的キャリア論」第2回です。
「自分のあり方」を掘り下げた第1回はこちらをご覧ください!
※内容はどこから読んでも大丈夫ですのでご安心ください。
なお、このnoteでは「哲学的」という言葉をとても広い意味で使っています。
もう少しちゃんとした哲学の話が知りたいよ!という方は、Voicyで配信しているこちらの番組をお聞きいただけると嬉しいです。
それでは、さっそく始めていきましょう!
異動でも副業でもなく、「転職」が選択肢になるのはなぜ?
日々キャリア面談をさせていただく中で、色々な要望をお伺いすることがあります。
その際に「それって現職では叶えられないんですか?」とお尋ねすることがあります。
多くの人は一瞬ハッとした顔になって、色々と考え出していただけるのですが、その上で
「たしかに、現職でもできる気がします」
となるか
「いや、やっぱり転職だと思います」
となるかは、人それぞれです。
人それぞれなのですが、実はここに、「辞めたくなる三要素」が潜んでいることが多いのです。
その三要素の考え方をお伝えすると「あー、そういう風に考えるとスッキリします!」となり、キャリアに対する解像度が高まるので、今回はそのお話をしてみます。
給与だけなら「副業」でよい気もするけれど
例えば、給与をあげたいと思って面談をする方のケース。
色々と話を聞いていると、確かに給与には不満がありそうですが、それ以外では現職のことが好きなようです。
そこで「それなら、今の職場に居ながら副業をするのはダメなんですか?」と聞いてみると
「いや、確かにそれもアリなんですが、実は会社の将来性にも少し不安を感じてまして・・・」
と別の話が出てきたりします。
この場合「給与がネックで転職したいと思っていたけれど、実は会社の将来性にも不安を感じていた」ことになりますが、このやり取りをどのように捉えたらよいのでしょうか?
実はここに、「辞めたくなる三要素」が深く関わっているのです。
「辞めたくなる三要素」のカラクリ
まず、この三要素は以下のように表現できます。
①評価・報酬
②業務・仕事内容
③人・カルチャー
例えば先ほどの例でいくと、「給与」は間違いなく「①評価・報酬」ですし、「会社の将来性」は「自分の成長につながらない」という観点で「②業務・仕事内容」に紐づいていると考えられます。
ここにもし「実は上司との折り合いも悪くて」という話が出てくれば「③人・カルチャー」という観点が潜んでいたことになります。
そしてこの三要素、実は以下のようなカラクリが潜んでいます。
①~③のうち満たされていないものが
1つだと今の環境を選びがちであり、
2つだと転職を意識し始め、
3つだといますぐ転職したいと思い始める
興味深いのが、1つと2つの差です。
3つ全部満たされていない場合は「もう辞めてやる!」となりがちなのですが、1~2つの場合はやっぱり悩むのですよね。
ただ、よくよく話を聞いて、満たされていないものが「1つ」の場合は「やっぱりもう少し頑張れそう」となり、「2つ」の場合は「別の環境の方がよさそう」となりやすい。
逆にいえば、「2つ満たされていない」人も、異動や昇給などで不満が解消されれば残るし、「1つ満たされていない人」も、逆に不満が増えれば辞めたくなる。
こんなカラクリが、「辞めようかな」という気持ちの裏にはあるんです。
ちなみにこちら、学術的な論拠があるものではなく、たしかだいぶ昔に人事の先輩か仲間から聞いたものです。
しかし、実際に面談において100名近い方に聞いてほとんど外れていないので、一定の妥当性があると考えています。
もちろん、例えば「給与が半分になった」とか、「仕事が一切なくなった」など、満たされないものがあまりにも大きい場合は1つでも辞めたくなりますし、家族との関係や、体調不良など明らかに働き続けることが難しい、といった場合は、当てはまらないケースもあります。
というか、上記の場合は「できれば次の環境を探した方がよい」というアドバイスになるでしょう。
どちらかというと「今の環境を選ぶか、次の環境に行くか迷っている」という場合に、客観的に自分の状況を整理するために、この「辞めたくなる三要素」が役立つかな、と思います。
いまの大事な環境を守るために
さて、ここまでで「辞めたくなる三要素」のカラクリをお伝えしてきました。
そして実はこの「三要素」、「これからも満たされ続けるために、何を守らなければならないか?」を考える際にも役立ちます。
残念ながらこのご時世、自分の居心地の良い環境は自分で守り、維持し続けなければならないのも事実です。
例えば「報酬にはちょっと不満がある」が「仕事は面白い」し「周りもいい人ばかり」という場合、「面白い仕事をし続けられるポジション」や「いい人と働き続けられる関係性」は、頑張って維持しなければなりません。
どちらかを失ってしまうと、「満たされないもの2つ」となり、すぐに黄色信号が灯ってしまいます。
人間は基本的に変化に弱いですし、出来ることなら今いる環境で過ごし続けたいと思うもの。
そんな「辞める必要がない自分」を保ち続けるためにも、この「辞めたくなる三要素」の考え方が役立つと嬉しいな、と思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は「辞めたくなる」という事象にフォーカスして、そのカラクリをお届けしました。
もし「三要素を踏まえて、自分の状況を客観的に見てほしい!」という方がいましたら、ぜひ気軽にこちらのフォームからご連絡いただけたら嬉しいです。
それでは次回も、どうぞよろしくお願いいたします!