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哲学的キャリア論のススメ13~キャリアにおける「問題」の捉え方~

「働く、生きるを、HAPPYに」をビジョンに掲げる株式会社ミライフで、キャリアデザイナー兼事業企画として働いている菅野(かんの)による「哲学的キャリア論」、第13回です!

「転職活動における不安のメカニズムと向き合い方」について考えてみた第12回はこちらをご覧ください!
※内容はどこから読んでも大丈夫ですのでご安心ください。

なお、このnoteでは「哲学的」という言葉をとても広い意味で使っています。

もう少しちゃんとした哲学の話が知りたいよ!という方は、Voicyで配信しているこちらの番組をお聞きいただけると嬉しいです。

https://voicy.jp/channel/4661

それでは、さっそく始めていきましょう!


「問題」って解決するだけのもの?

突然ですが、「問題」という言葉を目にしたとき、どんな気持ちになるでしょうか?

おそらく、多くの人が「解決すべきもの」「乗り越えるべきもの」「できれば起きないでほしいもの」「避けたいもの」など、ネガティブな感覚になるのではないでしょうか。

ですが、この「問題」の捉え方を少し変えるだけで、私たちのキャリアや人生に新たな可能性が開けるかもしれません。

そこで今回は、「問題」に対する2つの異なるアプローチについて考えてみましょう。

それは「問題を解決する」と「問題をきっかけにする」というスタンスです。

「問題を解決する」スタンス

多くの人にとって、これが「問題」に対する基本的な姿勢でしょう。

特に日本の教育システムでは、「問題」とはテストや試験を通じて「正しい解答を導き出すもの」という認識が強いはず。

ビジネスの世界でも、問題が発生すれば基本的には、出来るだけ早く解決することが求められますよね。

例えば、もし仕事のプロジェクトにおいて問題が発生した場合、「迅速に解決できる」人が賞賛されますし、求められるはずです。

このアプローチは明らかに重要ですし、多くの場面で効果的です。

しかし、キャリアを含む人生の重要な局面では、この「解決」一辺倒のアプローチだけでは不十分な場合があるんです。

「問題をきっかけにする」スタンス

それでは続いて、「問題をきっかけにする」というスタンスを見ていきましょう。

例えば「自分の親と仲たがいしている」という問題を抱えている場合、「親子の縁を切り、関係性を無くしてしまう」というのは、もちろん一つの解決策ではあります。

しかし、それが最適か?と言われると、少し考えてしまうというか、何となく「それは最後の手段だよなあ」という印象もあるのではないでしょうか。

ここで重要なのは、「親と子の関係性を結び直し、仲たがいという問題自体を乗り越える」という方向性です。

つまるところ、この「問題をきっかけにする」スタンスというのは、問題を単に「解決すべきもの」として捉えるのではなく、「新たな可能性や成長の機会」として見る姿勢です。

この親子関係問題の例においては、お互いの関係性を見直し、より深い理解と絆を築く機会とすることが「問題をきっかけにする」スタンスだと言えるでしょう。

キャリアにおける「問題」の捉え方

改めてキャリアの文脈で考えると、この2つのスタンスは密接に関連していることが分かります。

ミライフ調べですが、7割近い人がキャリア面談や転職相談に来られる場合、現職に大なり小なり不満を持っておられます

その不満には「給与」「人間関係」「成長実感の不足」など色々な種類がありますが、それを問題として捉えた場合、「解決のスタンス」のみだととりあえず転職して

・給与を上げましょう
・いい人がいるところで働きましょう
・成長できる仕事をしましょう

となりがちです。

これももちろん一つの大切なアプローチですが、どこか短絡的というか「それで本当に問題が解決できるんだっけ?」という気がしないでしょうか。

それもそのはず、キャリア単なる「仕事」ではなく「人生&仕事」であることを忘れてはいけません

だからこそ、キャリアの問題を考える場合には「きっかけのスタンス」も同時に持つことが重要なのです。

例えば、いまの状況において「給与」に不満があり、問題を抱えているとします。

その際、ただ「給与に不満があり、解決したい」と捉えるのではなく、「なぜこれまでの自分は不満に感じていなかったのに、いまの自分は不満に感じているのだろう?」という問いに変換することが重要です。

これを「問題」として掴み直すことで、「給与以外の何が同時に変わったから、不満という感情を自分は感じているんだろう?」といった様々な気づきが生まれてきます。

このように、問題を「きっかけ」として捉えることで、自己理解の深まりや新しい視点の発見など、キャリアデザインにおいても大きな進展が期待できます。

ちなみに「きっかけのスタンス」だけしかないと、「自己理解は深まった気がするけど、それで、いま自分が感じている大変さ・苦しさはどうしたらいいのさ?」となりがちです。

なので、キャリアにおいては「解決のスタンス」と「きっかけのスタンス」をバランスよく持つことが重要、と言えるかと思います。

「コーチング的視点」の重要性

このように「問題をきっかけにする」スタンスは、いわゆる「コーチング的な視点」と言えるでしょう。

問題に向き合った際に「解決」や「正解を出すこと」に焦点をあてながらも、問題の背景にある自分自身の価値観や欲求、環境との相互作用を深く掘り下げていく

こうしたバランス感を持つことが、「人生+仕事」であるキャリアに対して、より建設的に向き合うことにつながるはずです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

「問題」に直面することは人生においてなかなか避けられないものですが、キャリアにおける「問題」を「単なる障害物」と捉えてしまうことは、「解決のスタンス」だけで「問題」に向き合うことにつながってしまいます。

「問題をきっかけにする」スタンスも織り交ぜて、この2つのアプローチをバランスよく活用することで、キャリアの問題は新たな可能性への入り口となり得るのです。

もしいま、あなたが何らかの「問題」に直面しているとしたら、それを単に「解決すべきもの」として捉えるのではなく、「自分の何かを変えるきっかけ」として捉え直してみてはいかがでしょうか。

そうすることで、あなたのキャリアに新たな視点が生まれ、これまでとは異なる景色が見えてくるかもしれません。

とはいえ、なかなか一人でバランスよく、自分のキャリアの問題に向き合うというのも難しいものですので「こうした問題に、両方のスタンスをもって一緒に向き合ってほしい」という方がいましたら、ぜひ気軽にこちらのフォームからご連絡いただけたら嬉しいです。

それでは次回も、どうぞよろしくお願いいたします!

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