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おかえり、ヨコハマ横浜美術館 

リニューアル工事が終わって初めての展覧会。
私にとっては初めての横浜美術館だった。
横浜に引っ越してきて一年半くらい経つがずっと工事中で待ち遠しかった。
一言でいうと素晴らしい美術館だった。
展示はかわいい縄文土器から令和の現代アートまで幅広く、私の大好きな松本峻介や横尾忠則があり、突然登場したのでものすごくテンションが上がった。
あと、初めて奈良美智さんの少女の絵を観た。ものすごい迫力だった。正面像。真剣な少女の眼差しと目が合うと、笑って誤魔化そうとしてしまう自分がいた。リアルな場でもよくやってしまう。自分が無意識に蓋をしていた内面が露呈する感じもしつつ、子供時代の眼差しを思い出させてくれる絵だと思った。光に溢れた挑戦的な瞳。素晴らしかった。

建物は、どの辺がリニューアルされたのか調べてはいないが、誰でも入りやすい公共建築だと感じた。薄いパステルなピンク色が至るところで多様され、至るところに椅子やベンチがあった。おそらく作品について感想を述べあう場として、普通に休憩する用として、とにかくたくさんの椅子が置かれていた。
あと清掃がものすごく行き届いていて新築っぽい匂いすらした。

元々の建物を設計したのは丹下健三であり、新宿にある東京都庁や東京モード学園、代々木体育館などを設計した建築家である。
近未来的といえばそうなのだが無機質で権威的。とも取れるデザインである。
(私は都庁やモード学園があることで新宿が独特の良い意味で殺伐とした引き締まった都市景観になっていて好きである)
丹下健三は外壁に御影石を多用し、東京都庁は全身御影石に覆われている。遠くから見ると灰色に見えるが、近くで見ると御影石は白と黒と灰色の混在した石であることが分かる。

横浜美術館にも御影石が外壁や内装の至るところで多様されている。しかし、都庁みたいな権威的な印象は全く受けない。むしろ積み木的なおもちゃっぽいニュアンスがする。
リニューアル前と後でそこをポップに変えたのは不明だが、御影石だらけなのに威圧感を全く感じないという都庁と全く逆の現象が発生していて面白かった。

あと美術館のサイズも大きすぎず小さすぎず丁度良いサイズなところも良かった。
東京都美術館や国立新美術館は広大で人も多く途中で疲れてしまうが、横浜美術館は祝日だったが混雑していなかった。
展示室と展示室の間にひし形の窓があり、そこから外がある程度見えるようになっているのでそれが良い息抜きになった。
そういう風にメインは展示作品なのだが、時々建築の自己主張。丹下健三の考え方が垣間見えるのが面白い。若干の迷路っぽさもある通路。
順路を示す矢印マークもともすれば見落としてしまいそうなサイズ感で、こちらに少し考えさせようとしてくるキュレーターの自己主張もありつつ、飽くまで作品が中心で、パステルなピンク色が内装に馴染んでいて、バランス良くまとまっていた。

美術館の外のスペースも広々していて気持ちよかった

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冠
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