アルバム制作裏話~04 : I'll sing for you~
「あの日と同じバス停で
I listen your songs」
あのときの胸の糸の滞りが解かれる瞬間を思い出しながら、
この曲を書いていた。
この曲を作ったのは、2021年11月。
活動の幅を広げるべく、ラジオ番組にレギュラー出演したり、
ミスコンテストに出たり、モデル活動をしたり。
そういった、【挑戦】ということに重きをおいて過ごしていた時期だった。
この曲を作ろうと思ったきっかけは、
ある一つの失敗だった。
当時、ローカルのラジオ番組で、レギュラーメンバーとして、ラジオ出演をひたすらしていた。
ディレクターは、私に【挑戦】をさせてくれた。
2021年の私は、ある程度【ライブ活動】というものに慣れ、オリジナル楽曲も2曲ほどリリースした頃。
丁度、スタートダッシュが終わり、地固めをしなきゃいけない時期だと感じていた。
そのときディレクターが、私に【挑戦】の機会を与えてくれたのは、
当時の私にとっては最高のチャンスだった。
自分の武器を強くするべく、【現在の自分に足りないもの】に目を向けて、補うように挑戦をしていった。
しかし、【全く目新しいものへの挑戦】というものは、
最初は失敗だらけのことの方が多い。
私は、このとき丁度大学も辞めていたし、
感覚過敏は酷くなっているし、
その中で、音楽以外の目新しいものへの挑戦を複数同時に進めている。
失敗だらけの日々で、色々なものが私に覆い被さり、
かなり心は疲弊していた。
そして、そういった連鎖の最中で、
私はラジオで失敗をしたのだ。
色んなことに挑戦をさせたがっていたディレクターは、
私に、ラジオMCを振っていた。
私の身の丈から、かなり上のハードルのものを私に与えてくれていた。
最初にやらせてもらっていたサブMCは、
何とか頭をフル回転させてギリギリ乗り越えた。
その度に、「この人なら出来そう。」という印象を、ディレクターにも周りのメンバーにも与え、
レギュラーメンバーになってから僅か3、4回目の放送で、メインのMCをすることになった。
「これを乗り越えないと、自分はシンガーとして活躍できない。」
脅迫のように自分を鼓舞していた。
周りから過度に期待をされ、
プレッシャーは絶大だった。
心の奥底では疲弊をしていたが、とりあえず乗り越えようと、
バクバクする心臓に手を当て、ストレッチをしながら本番に臨んだ…。
CMが鳴り、
音楽が流れ、
冒頭にあるお決まりの台詞を言う。
そして私は、アドリブに対応すべく、
口を開いた…。
頭が真っ白になった。
ゲストの話を広げないといけない。
自分の世界とは違う世界で生きている人の話が瞬時に理解できない。
時間通りに進めないといけない。
沈黙を作ってはならない。
色々なことがグルグルと回りだし、
どういう言葉を自分が発していたのかを忘れるほど
私の中で空白の時間が瞬時に過ぎ去った。
どうやら私は、【同時進行】というものが
とても苦手らしい。
聞きながら考える。
見ながら考える。
考えながら言葉を発する。
それが出来ないため、
次の言葉を発するまでに時間がかかるタイプだ。
尚且つ、ラジオでは、タイムキーパー的な役割も自身でしないといけない。
時計を見たときに瞬時に頭の中に取り込んで、
ラジオで話しながら、目の情報も自分の中に落とし込む必要がある。
【ラジオ】という場所は、
私の苦手なもののオンパレードだった。
今振り返っても、正直あの放送は、
【放送事故】であり、駄作であった。
この失敗は、私の中で大きな傷となり、
負の連鎖を巻き起こした。
失敗によって、ディレクターに対して
嫌な受け答えをして、レギュラーメンバーから外れた。
その後も、心の傷が暫くは癒えることなく、
自らディレクター以外の人間関係まで悪くしてしまった。
そうやって、負の連鎖を巻き起こし、
自己嫌悪になっていた数ヶ月後… 。
ラジオのメンバーの一人が連絡をくれた。
以前と変わらず、明るく声をかけてくれたのだ。
しかも、変な気遣いは感じられなかった。
嬉しかった。
あれだけラジオのメンバーに対して酷いことをしたと思っていたのに、
その人だけは相も変わらず、数ヶ月経った後も接してくれていた。
そして、その人は、
私がラジオMCで失敗したあの日も、
同じバスに乗って、励ましてくれた人だった。
その出来事が、私のインスピレーションを呼び起こした。
記憶に新しいあの日の失敗と、
以前と同じように接してくれたときの胸の解きを
そのまま芸術に昇華するようにペンを走らせた。
何かに失敗したり、幻滅されたり、
自信を失っている人に向かって歌うように。
ほんの2時間で、メロディも歌詞も、コードも完成させた。
自分の中で、心に残り続けるであろう
最高傑作が、この日誕生した。
しかし、そこからその曲は、
一時期眠りの期間に入ることになる。
何故かそれがシングルとして作られることはなく、
いつの日か、心の中の巣にしまっていたのだった…。
二年後。
2023年1月から、アルバム制作に本腰を入れ、
同時に、ショートムービーの制作も始めた。
(※ショートムービー : アルバム「律-ritsu-」をテーマに作られた短編映画)
【自律】をテーマにしたアルバム「律-ritsu-」。
このアルバムを、映像で、違う観点から、どのように表現するのかということを、
主要メンバーと話し合っていた。
話し合っているうちにヒートアップし、
【自律とは何なのか】ということのディスカッションが始まった。
人によって、その角度はそれぞれ違う。
違う視点からもらう「自律」に対する考え方を聞くのは、おもしろく、
気付いたら2駅分を往復するぐらい話していた。
そのやり取りや、考えの共有の中で、
脚本を書いてくれた滝口あゆみさんが、
このように言った。
「いいんだよって認めてくれる人がいないと、一歩を踏み出すことは出来ない」と。
大切なことを思い出させられた。
そういえば今私が音楽活動を出来ているのも、
周りから「頑張れ!」と言われたり、
そういう風に、誰かから「今の自分を認められる」という経験を通して、
今、1歩踏み出す勇気を出すことができる。
そして、あの失敗の日もそうだった。
自分に変わらず話しかけてくれたその人の行動が、
「失敗したけど、自分は自分のままでいいんだ」と思わせてくれ、
もう一度歩き出せるようになったことを思い出した。
そのように思ったとき、この曲をアルバムに入れたいと思った。
その曲の眠りを解き、心の奥にある巣から抜け出し、外に出ることを決めた。
早速編曲家に依頼し、楽器のイメージを細かく伝えた。
編曲家に作ってもらっている間も、
同時進行でショートムービー制作は進めた。
そして、脚本家兼動画編集者である、滝口あゆみさんは、
その歌の意図に共鳴してくれたのか、
テーマ曲として、
「I'll sing for you」を起用したいと言ってくれた。
そうして、ショートムービーありきで、
この曲は息を吹き返した。
(細かく映像を見てもらうと分かるが、
「I'll sing for you」にちなんで、
ショートムービーの主人公、エリが持つオーディションチラシを、
曲の歌詞の一部「伝われ、この想い」から抜粋してデザインにも起用している。)
長々と語ってしまったが、
この曲に関しては大きなフロウを経て、現在(いま)に至っている。
この曲は、意味が深いからこそ、
1度眠りの期間に入る必要があったのだと思う。
もう一度息を吹き返すために力を貯めていたんだと思う。
そして何より…。
その曲が出来たのは失敗をして間もない頃だったから、
承認欲求で歌うのではなく、
時間の経過により、本当の意味で、苦しんでいる人に向かって歌える器になったのが、
眠りの一番大きな効果だ。
きっと、数多くの人に当てはまる事例だろうし、
沢山の人が共感する内容なのではないか。
また、ショートムービーを見れば、
あなたは更にこの曲の深みが分かるだろう。
そして、アルバムの曲を1曲目からしっかり聞くと、
この曲の深さがより理解できるようになるだろう。
是非、この曲を、ショートムービーの方と合わせて楽しんで頂けると嬉しい。
いつも当たり前に横にいてくれるような大切な人がいる人。
誰か自分を認めてくれた人がいる人。
そんな人に、この曲は聞いてほしい。
あなたにとっての大事なシーンで、この曲が心の中に生きてくれていたら嬉しい。
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☄最新リリース情報☄
1st.album 「律-ritsu-」
8月12日(土)リリース!
Apple MusicやLINE MUSIC、Spotifyなど、
各音楽配信ストアで視聴可能。
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🧩最新イベント出演情報①🧩
『2023 空飛ぶランタン
諫早ファミリーフェスタ』
日時 : 9月30日(土)
場所 : 長崎県諫早市役所前広場
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🧩最新イベント出演情報②🧩
『KOSMIC神湊花火大会』
日時 : 10/28(土)
場所 : 神湊玄海横丁(福岡県宗像市)
観覧無料
14:30~ミュージックステージ予定
クラウドファンディング実施中!
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🎬ショートムービー🎬
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