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#013 苦手意識は無知の始まり

一ページ読んでみて スラスラ読めそうにないなと思った本がある

何が問題なのか考えてみる まず言葉使いに違和感を覚えたこと 横文字など見慣れない単語が多く内容が読み取りにくいことが挙げられた

次になぜその問題が生じるかを考えると 自分の経験や知識不足が大きな要因であることに気付く 見慣れない単語や言葉遣い、表現に戸惑うのは自分自身の問題だと言える

そこで 普段ならスラスラ読めそうにないと感じた時点で挫折してしまう本も 自分の世界を広げられるかもしれないと思って読み進めることにした

多少時間はかかったもののなんとか諦めずに読み終えた

知らない言葉の意味をところどころ調べながらだったり 筆者が時々使う例え表現に馴染みがなくせっかく例えてくれているのに想像できないままだったりもして 思うように内容を掴み切ることができなかったのだが 無知な自分にもいくつか響くものがあったことは確かだった


苦手だから と切り捨てたりすることは実に簡単なことだ

それでも一度その言葉を飲み込んで向き合ってみると 案外そこから得られるものもあって 苦手だと決めつけて遠ざけなくてよかったなと思った

これはこの本の内容から得たものよりもひょっとしたら大きくて大切なことかもしれない

複雑な今の社会を生きていく上で 無理しない 自分が嫌だと思うことに労力や時間を費やす必要はない などどよく言われる

これにはもちろん同感なのだが わたしが今回諦めずに読んだ本の中で筆者が言っていた「多様性は面倒だけど、無知を減らすからいい」という彼女の考えも全くその通りだと思ったのだ

世界というのは自分の知らない物事に溢れていて 自分の心許すままの空間だけで生きていると 恐ろしいほど周りが見えないのだ 苦手なものごとを目をつむったり距離を置くことでやり過ごすことと 多様性を受け入れることはまるで違う 

例えば新聞の読み方を考えてみよう わたしは番組表や4コマ漫画くらいしか見なかったり ニュース記事も見出しで気になったものだけさらっと読むくらいで終わったりすることがある

難しいとか興味ない、苦手という理由で最初から目を通さないでいると 社会で起きていることのほんの一部分しか知り得ない 

これにより社会の出来事だけでなく 様々な言葉や表現さえも取りこぼしてしまう可能性がある 

このようにして自分のテリトリーだけで生活していたわたしは 自分が興味のない分野に対する苦手意識を増していく一方で 出会ったことのないタイプのものや人に対する最初のほんの少しの違和感だけで そのさきで得られるかもしれない学びのチャンスをいくつも逃してしまっていたかもしれないと気がついた


人は自分の経験や体験を通して物事をはかるので わたしもこの本を読み始めたときには おそらく筆者の等身大の文章に違和感を覚えてしまったのだろう この本は筆者が気取らず自身の言葉でしたためたものだ その等身大の言葉はわたしがこれまで読んできた数少ない本の中からは感じ取ることのなかったものだったから


しかしこれを読み切り 彼女の言葉の中から学び得たものがあったことは わたしの無知の扉を少しだけ押し動かすことができたように思う


困難な状況や自分が望まないことの中からもきっと何か学ぶことがある

自ら困難を探しにいく必要はないけれど 最初のほんの少しの違和感くらいなら自分を知らない世界に連れていくつもりで踏み込んでみてもいいのではないだろうか


もちろんそれは「無理のない程度で」



*『ぼくはイエローで、ホワイトで ちょっとブルー』 ブレイディみかこ著

息子さんとの会話から「多様性」について多くのことを教えてくださる素晴らしい本です 一見大きく難しそうなテーマを日常らしい表現で届けてくださっています



Anker FM↓


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