勇気を出したあの一枚
私が初めて買ったのは、Aqua Timezの「カルペ・ディエム」です。
中学生の頃、テレビでアニメ映画「ブレイブ・ストーリー」を見たんですね。途中、主題歌でAqua Timezの代表曲「決意の朝に」が流れた途端、一耳惚れ。急激にAqua Timezに興味を持ったんです。
ネットをあさっていく内にたどり着いたのが、このアルバムに収録されている「カルペ・ディエム」という曲。
聞き終わった私は、愕然としていました。
穏やかなピアノの前奏で、目の前の世界が一気に変わる。
静かなメロディで、歌詞の中の「僕」が歩いている姿が浮かんでくる。
そんな世界で、2番目のサビの歌詞がすごく響いたんです。
今日のうちならば 変わらないもの
探して見つけられるかもしれないけど
百年経ったら 今いる僕ら
お互いに 生きてたことさえ忘れられてしまう
この歌詞すごくないですか……
ここまで優しく、哀しさをもって諸行無常を表すことができたのは、ボーカルの太志さんの才能だと思うんです(太志さんはAqua Timezのほとんどの曲を作詞されてます)。
この世はずっと変わらないものはないし、人もずっとは生きられない。
悲しく終わるかに思えたこの歌詞は、最後「それでも、」と切り出します。
旅が終わるとき 記憶のすべてを失う それがルールでも
1日だけ、10秒だけでいい 許されるのなら
私は あなたの涙を 乾かす風になりたい
みんないつか消えていくのか、というある意味むなしさを感じても、ラストで人とのつながりの温かさを見せてくれる。
(みんないつか別れるんだから、人との結びつきなんか)というすさんだ気持ちを受け入れてくれ、さらには(それでも人を愛するって、いいな)と思わせてくれるんです。
これをずっと聞いていたい。
そう思って、当時親からもらっていたお小遣いをなんとか貯め、近くのブックオフで中古品を探して買いました。
見つけた時はすごく嬉しかったし、わくわくしたなあ……。
今では本もCDも、本当に欲しかったら作者さんへの応援のつもりで新品のものをためらいなく買いますが、
あの頃は使えるお金は限られていた分、なんとか安く買えないかな……と思っていましたね(笑)
買ったアルバムは、それから何回も再生したあげく、初めて自分専用のミュージックプレーヤーに真っ先にデータを移しました。
今でもスマホに移して聞きつつ、CD自体も大切に置いています。
初めて買ったCDは、今や私のお守りのような存在です。
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