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たまちゃんはいつも、「叶えるひと」。

まずはじめに、たまちゃんとは、私の元同僚であり、今はフリーランスの編集者であり、洞爺湖にある「たまたま書店」の店主でもあり、そんな具合に肩書き的なものはもう少しあるのだけど、とにかくずっと私の、親愛なる人です。

いつかたまちゃんがくれた手紙に、「一体何がこんなにも、私たちを近づけたのでしょうね」と書いてありました。確かに、わからないのです。きっかけは確かに、同じ会社で、同じく編集者として働いていたこと。単純にいえば「先輩と後輩」だった私たちですが、私はたまちゃんをあまり後輩として見ていなかったし、「仕事仲間」という単語では、いつも何かが少しだけ、足りないように思うのです。

だってそうじゃなければ、こんな風にして文章を書いたりしないでしょう。もう5回目なんです。ある夏、取材の帰りに「今度、たまちゃんについて800字くらいで文章書くよ」と言ってから5年間、1年に1度のペースでたまちゃんについて書いています。毎日のように顔を合わせていた頃も、指で数えられるくらいしか会っていない年でも、ずっとです。

ただ夏に書くのは、初めて(あるいは久しぶり)かもしれません。この前、久しぶりに一緒に然別湖へ行ったとき、「noteのサムネにして良いですよ」といくつか写真を撮らせてくれたので、書きたくなってしまいました。

いつもの場所でお茶をしました。わざわざ、雨降りの中で。

「たまちゃんがあのとき言ってたこと、こういうことなんだなって、後になってわかることがあるよ」。

たまちゃんと出会ってから時折、こんな話をしてきました。たとえば、の先がいつもすぐ答えられずにいたのだけど、今なら、言葉にできるかもしれません。

この頃のたまちゃんは、いつにも増して目まぐるしい日々を送っているように見えます。冬に会ったときは、洞爺の古民家であらゆる意味でハードに暮らしながらも「今が充分」というような顔をしていたはずが、夏に会ってみたら札幌支部をつくり、出張の合間に引っ越しをしていて。なんだかゴリゴリ生きている。「今は、がんばりたいんですよ」と言って、私の家のちゃぶ台で急にカタカタPC作業を始めたりする。あの冬から春にかけて、移り変わるものがあったんだなぁと見ていて思う。

少し自分の話になるのだけど、ここ数日の私もなんだかゴリゴリ働いていて。「やりたいことはやりたい。つくたいものはつくりたいし、行きたい場所には行きたい。そのために、ちゃんと自分で舵をとりたい」。こんなにもはっきりそんな気持ちを抱いたのは初めてで、ちょっとだけびっくりしています。

そんながんばりたいモードに入ったときに浮かんできたのは、少し前に、私の家でカタカタ作業していたたまちゃんの姿でした。「後になってわかることがあるよ」が、これまでで一番早いスパンでやって来ました。

わかる=同じではありません。たぶん、たまちゃんが見ているのは「叶えたい未来」で、私が見ているのは「明後日の足もと」あたりのことです。それでも、お互いの気持ちを円にしたら、きっと真ん中のほうに重なる部分がある。いつでも応援しているけれど、今とても健やかな気持ちで「がんばりたいね」と言えるような気がします。

華奢な腕で、いつも重たいカメラを持っている。

いつしかたまちゃんについて、「見せたい世界を見せられるひと」と書きました。それは、たまちゃんが撮る写真や書く言葉を見て、ずっと思っていること。

今はそれに加えて、「叶えるひと」だと思っています。たまちゃん自身のことに留まらず、周りのひとの夢や願いにまで心を向けて、たまちゃんらしい方法で、叶えようとしているように見えるんです。そんなひとが近くにいるって、なんて誇らしいんでしょう。いつもいつでも尊敬しているし、何よりたまちゃん自身をずっとずっと信じています。

然別湖からの帰り道、たまちゃんが言ってくれたこと。3年前の夏、豊頃の海からの帰り道に言ってくれたことと同じで。たまちゃんは覚えていないかもしれないし、あれから随分いろいろな気持ちがあったけど、やっと言えます。私が今ここにいるのは、「ここにいる自分が好きだから」です。ここに辿り着くまでのあれこれを、一緒に受け止めてくれて、本当にありがとう。

ちょっと温度の高い文章になってしまったかもしれないけれど、たまたま、「がんばりたいモード」が揃った今なら、こんな風に書いてもいいのかなぁと思ってこのままにしてみます。熱かったら、冷まして読んでね。

この日私たちは、「然別湖まで行けば晴れているのでは」と前向きな予感に身を任せ、結局雨の湖畔でお茶をして、(主にたまちゃんが)びしょびしょになりながら森を歩きました。雨に濡れながら「でっかくなりたいなぁ」と森を仰いでいたたまちゃんは、いつまでも私の親愛なるひと。私の服を貸して、一度出発してから絶対に忘れてはいけないポーチを取りに戻ってきて、帰っていきました。そしてまた来月、またうちに泊まりに来ます。

お土産のチーズとさくらんぼで朝ごはん。

たまちゃんの大好きなパセリを、いっぱいとっておこう。水に差して台所に置いておいたら、朝チーズと合わせてむしゃむしゃ食べていた。かっこよさも、愛らしさも、すべてひっくるめてたまちゃんのことが大好きです。 またゆくゆく、どちらかががんばれないターンに入っても、湖畔でお茶して、回復しようね。

親愛なるたまちゃんへ、30歳おめでとうの気持ちを込めて。いつもより少し長い、インターネットのお手紙でした。

これまでのお手紙たちも、ここに置いておきます。

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