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中小企業にもっとチャンスを。新サービス「サクっと資金調達」が追求する、未来ある資金提供のカタチ

中小企業が気軽に資金調達できる仕組みを──
カンムは2024年6月26日(水)、「サクっと資金調達」ベータ版をリリースしました。

大きな特徴は、“将来発生する売上”を当社が債権として買い取り、企業側が資金を調達できるレベニュー・ベースド・ファイナンス(以下、RBF)を採用していること。近年、欧米を中心に広がりを見せる、新たな資金調達手段です。

新規事業立ち上げの裏には、どのような戦略や思いがあるのでしょうか。RBF事業の事業責任者 宮尾 拓と、設計・開発を手掛けるエンジニア、中嶋 大嗣に話を聞きました。

新サービス「サクっと資金調達」とは?

──はじめに「サクっと資金調達」ベータ版のサービス概要を教えてください。

宮尾:最短7営業日で資金調達できる中小企業向けのサービスです。決算書・担保・保証人などは不要で、提出いただくのは代表者様の「本人確認書類」のみ。AI審査・オンライン面談で“将来の売上買い取り”の可否が決定されるため、心理的ハードルが低く、気軽にご利用いただけるのが特長です。

公開日現在は、決済代行会社・ペイジェント社をご利用のEC事業者数千社が対象ですが、今後さらにアライアンス先を広げ、多くのお客様に提供していく予定です。

▲提出書類は「代表者本人確認資料」のみ。独自のAI審査による評価を行い精度の高い審査を実現しているため実現できる

── どのようなお客様の課題を解決しているのでしょうか。サービスの特徴について教えてください。

宮尾:企業側に資金調達したいニーズがあっても、銀行では借りるには決算書などの複数の書類提出が必要になるなど、一定のハードルを超えなければ借りられません。ましてや“すぐに!”というニーズに柔軟に応えるのは難しいものです。「サクっと資金調達」はその名の通り、手軽に資金調達をしたい企業のニーズを満たせるサービスです。

「自社のデータ分析力が活かせる」RBF事業で見えた“勝ち筋”。民法改正や市況の変化も追い風に

▲宮尾(左)と中嶋(右)。当記事はオンラインにてインタビューを実施しています。

──どのような経緯でこのサービスを着想したのですか?

宮尾:カンムには、主力サービス「バンドルカード」で独自の不正対策などの機械学習モデルを生み出した実績があります。「これまでに培ったデータ分析の知見を新規事業に応用できないか」、「BtoB領域にも広げられないか」……そんな思いをずっとあたためてきました。

調査を続けるなか、昨夏に出会ったのがRBFという新たな資金調達手段でした。このスキームを知り、さまざまな事業領域を検討する中で最も「勝ち筋がある」と考えるに至りました。

──具体的には、どのような点に勝機があると?

宮尾:日本ではまだ聞きなれないRBFですが、実は2020年の民法改正で「将来債権」としてはじめて明文化され、国内での事業参入環境が整いはじめたこと。さらに、事業化の追い風となるような状況変化もありました。

これまでは国内において、中小企業が資金を借り入れるには、銀行融資以外に選択肢はほとんどありませんでした。こうした実情を「経済活動の機会損失」と感じ、かねてより課題意識をもっていました。

一方で資金提供事業者として新規参入するには障壁が高く、さらにコロナ禍になってからは、政府主導の「ゼロゼロ融資」が市場を席巻。民間サービスが加わる余地はないに等しい状態でした。

── その後、「ゼロゼロ融資」は2022年6月末に受付が終了し、2023年7月より返済が本格化していますよね?

宮尾:そうなんです。そこで潮目ががらりと変わるだろうと。

まず、お客様目線で見ると、返済開始により事業は成長していても資金繰りに苦労する中小企業が一定数出てくると想定されました。他方、ビジネス目線で見ると、需要に対して資金の供給量が不足すると予測でき、これらの変化が事業化の追い風となりました。

「銀行融資に課題感」を持つお客様から反響。契約も決定!サービスの肝はAI審査

──「サクっと資金調達」ベータ版をリリースして数ヵ月経ちましたが、どんな反響が寄せられていますか?

宮尾:すでに数十件のお問い合わせをいただき、契約も決まっています。「ファクタリングなど簡易的な融資方法はあっても手数料が高い」というような手数料に関するお悩みや、銀行の借り入れに対して何らかの課題感をお持ちのお客様が多い印象ですね。

中には、「新商品開発やそれに伴う広告宣伝費のために資金調達を希望したが、銀行融資が下りなかった」という声も。特に不確実性の高いコストに対して、銀行の融資審査が厳しい現状が見て取れます。

── 「サクっと」感を実現するにあたってAI審査は要かと思います。開発するにあたってどのような点に一番こだわりましたか?

中嶋:お客様から見える部分に関しては、サイトの画面を簡潔にする、フォームへの入力項目を最低限にするなど、とにかく「審査までのプロセスをシンプルにする」ことにこだわりました。この部分に関してはある程度、やり切れたと思っています。

あと、これは内部的な話になるのですが、当社がお客様に資金を提供することについては、当然ですがリスクが伴うため、事業開始にあたって承認を得るハードルが高かったんです。サービス実現の第一歩である「社内への説明責任を充分に果たせるAI審査モデル」の構築にはかなり力を注ぎましたね。

──AI審査モデルはどのようにしてつくり上げたのですか? 

中嶋:構成する要素は主に2つありました。1つは、提携先であるペイジェント社経由で取得する売上データに基づくモデル。提供されたデータを利用して事前に機械学習や評価を行いました。

もう一つは、銀行の出入金データ分析モデル。こちらは外部パートナーの協力も仰ぎながらモデル化を行いました。

──開発において特に難しかった部分は?

中嶋:機械学習やデータ分析、その前段のデータ連携について難易度が高く、開発の比重もかなり大きくなりました。

基本は私ともう一人のエンジニアとで開発を進めていましたが、適宜、社内のデータアナリストや機械学習の取り組みを行っているチームに協力してもらえたのは、とても心強かったですね。

提供範囲を広げ、“将来の売上予測”の精度を高めていくことで、お客様のメリットを増やしていきたい

──ベータ版としてリリースしましたが、今後どのようにサービスをブラッシュアップさせていきたいと考えていますか?

宮尾:現在のサービス提供対象は数千社。ペイジェント社以外にも提携先を広げ、対象のお客様を広げていくことが喫緊の課題としてあります。

また、銀行の出入金記録や過去の売り上げ以外にも審査用のデータリソースを拡充し、審査モデルを高度化できればと思っています。

私たちの、審査モデルの精度が上がればお客様が負担する手数料を下げることができ、我々にとっては競合他社に対する優位性につながります。

中嶋:技術サイドとしては、特に審査に関して、人が介在する部分を徐々に減らしていきつつ、ゆくゆくはすべてを自動化にしていきたいと目論んでいます。それも手数料の引き下げにつながりますし、「気軽でスピーディな資金調達」というサービス特性がさらに高まるかと。

── 今後、目指す方向性についてもお聞かせください。

宮尾:カンムのミッションは「お金の新しい選択肢をつくる」。具体的には、銀行を中心とした金融サービスの在り方をアップデートさせていきたいと考えています。

「リスクマネーが充分に供給されていない」ことは、ここ数十年間言われ続けていることです。今回のサービスリリースでは、資金調達の選択肢を増やすことによって、中小企業の事業成長に貢献できると確信しています。

また、RBFという新しい資金提供事業への投資を、既存サービスである「Pool」で促したいとも考えています。「Pool」は“投資×決済”を1つのアプリで完結できるサービスで投資機能があるため、RBF事業で得られた利益の一部を投資家に還元していきたい。そしてゆくゆくは投資先とRBF事業の資金提供先をつなげるプラットフォーム化を構想しています。

──宮尾さん、中嶋さん、本日はありがとうございました!

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