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暮らしをセンタク!道東・中標津発、とみおかクリーニングの挑戦〈善玉菌を探す旅 #5〉

創業72年目、北海道東部の中標津町に本社を置くとみおかクリーニング。人口約2万4千人の酪農の町において「人と環境に優しいクリーニング店」として信頼を得ながら、2012年からクリーニング+雑貨販売併設店を全道に展開。
現在は中標津町と旭川市に各3店舗、札幌市に2店舗を構えています。さらにオリジナルのランドリーグッズや環境負荷の少ない洗濯洗剤、ヘアケア製品まで、多彩な商品開発が注目されています。

2017年から「きえ〜る」も店頭で販売。クリーニングに留まらない!サスティナブルなセンタクライフとは?環境大善との共通点とは?とみおかクリーニングを運営する株式会社ハッピーツリーのブランド推進グループ・ブランドマネージャーの小石川良美さんにお話を伺いました。

小石川良美さん
小樽市出身。2009年、ハッピーツリー&カンパニー(ハッピーツリーの前身)入社。布団クリーニングのECショップ店長を振り出しに、とみおかクリーニングのブランディング、商品開発などに携わる。木彫り熊好きが高じて、木彫り教室に通っているとか。

あれ?中標津の会社なの!??

——とみおかクリーニングさん(以下、とみおかさん)といえば「世界一かわいいクリーニング店」を目指すとして知られていますが、窪之内さんは、どんなきっかけで出合ったのでしょうか。

窪之内さん 環境大善に入社してすぐ札幌出張があって、とみおかさんの札幌Apia店をたまたま見つけたんです。「あれ?中標津の会社じゃなかったっけ?え!?雑貨も売ってる!」とびっくり。もうそこから気になりまくり!
木村石鹸もいち早く置いてあったし、商品のラインナップも店舗デザインも素晴らしかった。アポを取るしかない!と直接お電話して、「きえ〜る」の取り引きが始まりました。そのときに対応していただいたのが小石川さん。富岡裕喜社長にもお会いして、すっかりファンになっちゃいました。それが5年前です。

——とみおかさんのブランディングからどんな影響を受けましたか?

窪之内さん まず中標津が拠点で、フランチャイズでホワイト急便もやりながら、なぜこんなふうに素敵に生まれ変わったのか。好奇心がわきました。
富岡社長も私と同じく先代からの事業承継者ですが、小石川さんというブランドマネージャーがいて、デザイナーもいて、組織づくりや店舗運営に関して2017年の時点で今の若い世代がやっているような手法を先取りしていたんですよね。これは波長が合いそうだと直感しました。

とみおかクリーニング LIFE LAB. 札幌APIA店
とみおかクリーニングの店舗でも販売されている環境大善の「きえ〜る」シリーズ

——逆に小石川さんから見た環境大善は、どんな印象でしょう。

小石川さん 私たちは工場を持たず、コンセプトに合わせたデザインを施して発信していますが、環境大善さんは素材自体をゼロから生み出している「ザ・SDGs」な企業だと思っています。うらやましいです。

窪之内さん とみおかさんのショップでは「きえ〜る」のストーリーが伝わりやすいように陳列されているので、ありがたいです。他店でも、とみおか・環境大善・木村石鹸を一緒に取り扱ってくださるところが多い。

中標津町のとみおかクリーニング本店

——札幌や旭川といった都市部に出店しながらも、中標津が拠点であることはアピールし続けていますね。

小石川さん 東京の企業だと思われることもあるのですが、おしゃれな店舗やサイトをつくりつつも、中標津らしさにはこだわり続けたいです。
食品会社だったら「メイド・イン・北海道」がよいPRになると思いますが弊社では、まず「道東の中標津町って知っていますか?人より牛が多い町なんです」という自己紹介から、真面目にクリーニングやライフスタイルを提案するギャップが魅力のひとつだと思っています。

窪之内さん 実は中標津は道東の各都市へのアクセスもよくて、空港もあるし、個性的な商店も増えている。魅力的な町なんですよね。

流れ流れてブランディングディレクター

——小石川さんは、どのようなきっかけで入社されたのですか?

小石川さん 気になっていた古着とリサイクルのチェーン店が北海道に初出店すると聞いて、当時そのフランチャイズをしていたハッピーツリー&カンパニー(ハッピーツリーの前身)に履歴書を送ったのですが、そこでは採用されず、とみおかの布団クリーニングのECショップの担当になったんです。札幌を拠点に道内外のお客様の窓口をしていました。

——布団クリーニングで道外からのお客様もいたとは!?

小石川さん はい。ネットで受け付けをして、お客様に中標津の工場へ布団を送ってもらう。北海道のきれいなお水で洗うという付加価値もあって、人気でしたね。お客様とは受注から発送まで何回かやりとりするうちに、愛が生まれるというか(笑)、ファンがすごく増えました。忙しかったです!
でも送料の値上がり問題のため、会社としてふとんクリーニングから一気に雑貨販売へと舵を切る流れになりました。寂しさはありましたね……。

中標津のクリーニング工場

窪之内さん ふとんの丸洗いは一般家庭だとひと苦労。ニッチなマーケットを見つける富岡社長はすごい。

——小石川さん自身も、まったく予想外の展開ですよね。はじめは古着・リサイクル店志望だったのに、布団クリーニングのECサイトを任されて、その後は雑貨販売や商品開発に携わって……同じ会社にいながらにして転職しているような。

小石川さん いろいろ引き出しが増えました(笑)。中標津の東武店が雑誌に紹介されたのを機に、広く知られるようになって2015年は町外に出店ラッシュ。3店舗オープンしました。
従来どおりのクリーニング店ではなく、ブランディングや物販に力を入れようという社長の狙いがあったんです。

まずは、洗剤を売ってみよう

——オリジナル商品を開発するきっかけは?

小石川さん はじめはランドリーグッズとしてワイヤーバスケットなどを仕入れて販売していたのですが、メーカー欠品が何回かあったため、自分たちでつくったほうが早いということで商品開発をするようになりました。
2015年に町外出店の第1号として東神楽町アルティモール店がオープンして、それに合わせて開発したのが、ミルク缶入り洗剤。もともと私たちがクリーニング工場で使っていた洗剤だったんです。
良さはじゅうぶん知っているけれど、そのままだとそれほど売れない。そこで思いついたのがミルク缶。中標津町は酪農のマチだしイイね!って。

——もともと自分たちが納得して使っていたものを中標津らしい形でブランディングする流れが素敵です。

小石川さん 洗浄力の高さはプロ仕様なので当然ですが、環境や衣類への負荷が少なく、そのバランスがとてもよかったので家庭用にもおすすめできるんです。
お客様がミルク缶の珍しさひかれて買ってくださった後、「すごく良かった!詰め替え用が欲しい」とのご要望が出た流れで詰め替え用もつくって、今は人気商品。お客様の声が力になっています。

窪之内さん 「きえ〜る」もそうですが、商品が成熟してくるとお客様が使い方をアレンジし出すんです。そのヒアリングをきっかけに商品開発につながることもある。自社ショップを持つと、そういうメリットがありますよね。

無香料製品が伸びるわけ

小石川さん 今の売れ行きナンバーワンは、洗剤に消臭成分を加えた「詰め替え用洗剤プラス」という商品です。従来品より値段は高いですが、部屋干し臭を気にされる方によく売れます。汗をかく夏も好調です。

窪之内さん そういうお客様の層が環境大善との共通点。ちなみに、無香料の柔軟剤はありますか?

小石川さん あります!基本的には衣類に香りを残したくない、柔軟剤の香りが苦手という方がいらっしゃいますから、ご要望をもとに開発をしました。

——「善玉菌を探す旅#3」で登場した「きえ〜る」達人の近藤さんも、化学的な香料が苦手だから柔軟剤を入れないと言っていました。洗剤も無香料を探すのが大変で、消去法で選んでいるそうです。

窪之内さん 敏感な人はそこに気付いちゃうんですよね。無香料の分野はこれから伸びると思います。最近は「きえ〜る」の販売店さんに出向くと「無香料製品はアロマやお香と相性がいい」という声を聞きます。
いやなにおいは消した上で、付けたい香りを自分で選択する。コロナ禍以降、おうち時間が長くなったのに伴い、そういう需要も増えているのかな。

小石川さん 柔軟剤に関しては香料無添加にこだわりました。オリジナル洗濯洗剤「フラワー」も、精油のため衣類に残らないようにしています。
意外な需要といえば、高級タオルのメーカーさんから「うちのタオルは柔軟剤を使いたくないタイプなので、とみおかの洗剤を使いたい」というご相談もありました。確かに柔軟剤を入れると吸水性は下がるので、柔軟剤を使用せずとも柔らかく仕上がる弊社の洗剤は、タオルと相性がいいですね。

——無香料や消臭に特化した商品といえば、2月に発売した食器洗い用洗剤「とみおかクリーニングの食器洗い」もそうですね。

小石川さん それも取扱店さんから「料理後の手についたタマネギやニンニクなどの食材のにおいを消すような洗剤をつくってほしい」との声があったので、商品化しました。

窪之内さん もう、クリーニング店の領域を超えていますね。

「きえ〜る」とのマッチング

とみおかクリーニングのオリジナル洗剤との組み合わせがおすすめ「きえ〜る 洗濯用」

窪之内さん 洗濯の生乾きのにおいを消すのも「きえ〜る」は役立っていますか?

小石川さん はい。洗濯は、においに関するご相談も多いので、うちの洗剤と「きえ〜る」を併用してくださいと言うのは決まり文句なんです。
洗濯槽に衣類を詰め込み過ぎてしまうと、洗剤がうまく衣類にまわらず、すすぎも十分にできなくなるため雑菌臭が発生してしまいます。上限6割程度が目安ですが、そこでストップできる人は少ないですよね。

窪之内さん 洗濯って、本当に奥が深い。汚れの分解は水の力が大きいので、においが気になるなら、節水タイプのドラム型洗濯機より縦型洗濯機。

とみおかクリーニングのマスク・ふきん用せっけん

——今なら、洗濯後のマスクにも「きえ〜る」との組み合わせは良さそうです。
小石川さん 最近、マスク洗い専用の石鹸をリリースしたんです。直接口をおおうものなので、無添加にこだわりました。マスクは手洗いする人が多いので、粉ではなく固形石鹸にしました。

——これからだと、夏の洗濯のコツがあれば教えてほしいのですが。

小川さん まずは「毎日洗う」ことですね。汗のシミや、日焼け止めとか、付着した汚れをそのままにしておくと黄ばみになる。白っぽい衣類だと特にそうです。面倒でも襟、袖などの部分洗いも大事です。

クリーニング店を超えて目指すもの

——商品開発は幅広い分野にまたがっていますが、小石川さんはどういう作業割合でお仕事されているのでしょうか。

小石川さん 基本的には商品発注と販売促進です。行商隊長としてメディアで商品をPRしたり、商品開発会議はどんなときでも毎日午後5時からやっています。

窪之内さん 毎日とはすごい。

小石川さん 「クリーニング店なのにヘアケア用品やボディケア用品まで開発してどうなの?」というようなことも、かなり話し合いながら進めています。そこで今年は体のメンテナンスのためのレーベル「ライフラボ」を、別に立ち上げました。
私たちは結果的に環境に負荷をかけない世界を目指しているので、お客様にもそう選択していただけるよう、その理念に基づいた商品開発をしています。難しさはありますが、方向性を見誤らないよう、常にそれを念頭においています。

——なるほど。クリーニングに留まらない理由が見えてきました。現在のとみおかさんのキャッチコピー「ライフスタイルを、センタクしよう。」にも、その思いが込められていますね。

小石川さん 最初は「世界一かわいいクリーニング店を目指そう」から始まって、そこから「世界一イノベーティブなクリーニングを目指そう」「クリーニングをエンターテイメント化しよう」。
そもそも面倒くさいですもんね、洗濯って(笑)。だからこそ、お客様から「わあ、この商品があったら洗濯が楽しくなる」という声を聞くと、ありがたいです!

窪之内さん 今日はとみおかクリーニングさんの歴史や経営・商品企画の深い話を沢山聞くとこができ、益々ファンになってしまいました。

これからも北海道、道東本社の企業として、暮らしが快適になる商品やサービスを提供できるようお互い頑張りましょう!

ライター:中山よしこ(シリエトクノート)https://twitter.com/siretoknote

商品のご紹介

株式会社ハッピーツリー
札幌市中央区北7条西19丁目38-28
http://www.happytree.co.jp/

とみおかクリーニング
[中標津町]
工場前店/本店/東武サウスヒルズ店
[旭川市と近郊]
ALTIMALL東神楽店/イオンモール旭川駅前店/イオンモール旭川西店
[札幌市]
札幌本店(雑貨販売のみ)/LIFE LAB.(雑貨販売のみ)
革色良工店 by Tomioka Cleaning APIA店


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