未知と既知

未知を自覚することは難しい。暗闇の中から暗闇を認知することなんて出来ない。僕らは既知の範囲を広げることでそこから連想される"未知"の存在を初めて知る。
暗闇に1本、ロウソクを立てる。ロウソクを中心に光の球ができる。光の球ができると同時に、暗闇の表面層がある程度のデータを伴って顕在化する。僕らはこの表層を眺めて暗闇の広さを何となく把握してみる。同じようにロウソクをひとつ、またひとつと立てていく。立てるごとに僕が視ることができる暗闇の表層が増えていく。増えれば増えるほど、想起される暗闇の規模は膨大なものとなる。勉強というものは、既知を広げるだけでなく、"未知"を広げることだ。
かの古代ギリシャの哲学者であるソクラテスは、デルフォイの神託をきっかけに不知の自覚の重要性を説くようになったと言われている。これが顕著に現れているのが「問答法」だ。問答法は相手の意見の矛盾を導くものであり、自分の知識から新たに未知の事実を認識させることが出来るという、まさに無知を自覚させる手段であった。
無知の自覚は知的探究心を刺激したり、己の未熟さを痛感させてくれる。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」とはよく言ったもので、教養の深い人ほど、教養という宇宙のそこはかとない大きさに気付くことが出来る。勉強とは、まだ見ぬ宇宙を目指すための、壮大な冒険なのかもしれない。そう捉えれば、今やっていることは必然的に報われていく行為だと思える。勉強はいついかなる時も偉大だ。


そういえば僕は、無知を知り、疑問を抱くことの有意を説く歌を知っている。

浮かぶ浮かぶ
疑問たちよ
どんなことを
今知りたいのか
全て全て
教えてくれ
無視できない
向上心だ

そう……

ナゼー/日向坂46だ

やはり日向坂46は天下を取るに相応しいアイドルグループなのだ。哲学まで説いてくれるアイドルなんてそうそういない。みんなも是非チェックしてみてはどうだろうか━━━━

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