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「本当だったんだ!」体験からの「本当かな?」

私は子どもの頃、大人に教わったことは無条件で信じていた。

わが子のように「なんでそうなるんだろう?」とか、いっさい考えたことがなかった。

学校の勉強に限らず、大人に「とにかくそういうもんだ」的なことを言われただけで、「そうなんだ。覚えておこう」と思った。

ただ、その先がある。

私が小学生だった時、家の庭にヘビが出た。その時、飼っていた猫とヘビが戦っていた。戦いの最中、ヘビは鎌首をもたげて立ち上がっていた。

その時私は、「本当だったんだ」と思った。

テレビやマンガでは、ヘビがよく鎌首をもたげて立ち上がっている。それを、見ていて「そういうもんだ」とは思っていた。だけど、実際に自分で見たことはなかった。だから、「本当だったんだ」と思った。

また、これも小学生の時だが、庭で猫がトカゲと戦っていた。その時、トカゲがしっぽを切って逃げた。切られたしっぽは、うねうねと動いていて、猫はそれに向かって飛びついたりしている。トカゲはその隙に逃げていった。

「トカゲは自分のしっぽを自分で切り、猫などの注意を、動き続けるしっぽに向けさせて逃げる」。話には聞いていたが、やっぱり「本当だったんだ」と思った。

30歳くらいまでの自分は「大人の言うことやテレビをうのみにする」人間だと思っていたけど、実は、自分で確認していない段階では100%信じてはいなかったのかもしれない。

そういうことは結構あって、その度に「本当だったんだ」と思った。


30歳を過ぎたくらいから、私は逆に、周りの大人が言うことに対して、「本当かな?」と思う様になった。

それはきっと、子どもの頃や若い頃、大人に言われた事の中に、「間違っていた」事が少なからず含まれていたからかもしれない。

「なんだ、昔言われたことと違うじゃん」


たとえば、私が子どもの頃、飼っていた猫にひっかかれた(今日は猫ネタばっかり)。

普段はひっかかれてもそのままにしていたのだが、その時、家に消毒液『マ〇ロン』があったので、「消毒した方がいいんだよね」と思い、まめに消毒した。消毒は痛かった。

そうしたらなんと、猫にひっかかれた傷のうち、その『消毒した傷だけ』傷あとが残ったのだ。

それ以来、私は傷を消毒するのをやめた。

大人になった今でも、その傷あとはくっきり残っている。他の、ほったらかした傷は何のあとも残っていない。


今は、ハイドロコロイドばんそうこうなる物があって、傷は

「キズは消毒して、乾かして、かさぶたを作って治すという考え方(=ドライヒーリング)」に対して、近年、自然治癒力に着目した、「キズをしっかり覆い、潤い(体液)を保ってきれいに治す」モイストヒーリングというキズケアが広まってきています。(キズパワーパッドHPより)

また、消毒に関しては、

消毒液やクリームなどは塗らないでください。消毒剤の種類によっては、キズ修復のためにはたらく細胞にダメージを与え、治りを悪くする場合があります。消毒剤を使用する場合には、なるべく少量にし、水で洗い流すといいでしょう。(キズパワーパッド使い方HPより)

消毒するなと書かれている。細胞にダメージを与えるから。


大人が悪気があって、子どもをだまそうとしていたのではない。大人達もまた、自分の周りの大人が言っていることを「そうなんだ。覚えておこう」と思い、実践していたにすぎない。そしてそれを、子どもの幸せにつながる知恵として、一生懸命教えてくれたのだ。

だけど、それは間違っている可能性がある。

また、時代に合わなくなっている可能性もある。

そう短くはない人生の時間をかけて、私はそれをおそらく学んだ。

たくさんの本を読んで。そんなにたくさんじゃないけど、自分の考え方とは違う人達と出会って。


今は、完全にエビデンス主義、というわけではないのだが、「ああ、これこの人のお母さんの価値観で言っているんだな」というような、無根拠あるいは前時代の価値観は、まず信じなくなった。そして、まあまあ信ぴょう性のありそうな事を見聞きした時「本当かな?」と思うようになった。どんなに権威のある人が言っていることでも。

ただ、「本当だったんだ」にはなかなか出会いにくい。だから、「本当かな?」と思ったら、『調べる』『本を読む』をして、「なるほどね」とか「こういうことかもしれない」までもっていく。

ただし、それも「本当だった」訳ではないから、覆されるかもしれないという気持ちはいつも持ちつつも、いったんは「こういうことだと思う」と、自分の考えとして持っておく。


私が子どもの頃は、母子手帳にも「赤ちゃんには日光浴をさせなさい」と書いてあったそうだが、今はその文言はないらしい。紫外線の危険性が分かってきたからだそうだ。今、子育ての世界では、公園で子供を遊ばせる時にも日焼け止めクリームを塗ることが推奨されている。

しかし「今は子どもに日光を当てなさ過ぎて、ビタミンDが不足しているせいで、インフルエンザの発症が増えているのではないか」という説もある。なので、『子どもに日焼け止めクリーム』も、将来は覆る可能性がある。

最終的には、日焼け止めクリームを塗るか、塗らないかは自分で決めるしかないのだと思う(私はわが子には塗らなかった)。


相手を信じないわけじゃない。その『説』を『考え方』を「本当かな?」と思うことは、今後も続けていきたいと思う。









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