【1D1C】#2 『推し、燃ゆ』と IZ*ONE。
推しに出会えたことと、推しを失うことのあいだで。
第163回の芥川賞を受賞した『推し、燃ゆ』(宇佐見りん)は、周囲に馴染めず、ある男性アイドルを推しつづけることでギリギリ自分を保ちつづけている女子高生が主人公だ。たたみかけられる短文のリズムが今風だが、大学生作家としては実に端正な日本語を駆使し、主人公のヒリヒリとした心的描写をしっかりと描いている。
何かを推す、何かにハマる、ということを、この10年ほどの私は明らかに軽視していた。
もともと何かに、誰かにハマりにくい性質があるのかもしれないが、「他のものを推すなら、自分を推