三日月鬼雷舞~第一章~(松山一族物語)
文治五年。
出羽・陸奥での奥州合戦終了後も続く混乱は越後の国にも深く及んでいた。
人々の暮らしは困窮し、土地は荒れ果て、
厳しい冬を前に文字通りの暗雲が立ち込める。
そんなこの地で貧しい農民の長男として育った善吉は、
近在の集落では少々知られた存在であった。
貧困と少ない食糧事情故、
摂取した栄養は全て無駄なく取り込もうとする体質。
それに加えての日々の重労働が彼の肉体を鍛え上げ、
齢十二歳にして大人顔負けの膂力(りょりょく)と子供ならではの
敏捷性を備えていたのだ。
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ナニハトモアレ世知辛い時代でございましてねぇ。拙者の思想妄想幻想世界の具現化にも先立つモノをお許しください。ここで頂きましたサポートは全て当一座の舞台への糧となります。「オダイハミテノオカエリニ」ササ、オキモチテイドデモ、ドウゾドウゾ