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狂気の芽生え

己の中に「狂気」という引き出しが
備わったのを最初に自覚したのは、
拙者が幼稚園から小学校に上がるぐらいだったと記憶している。
そこに「残酷」や「猟奇」といった要素が追加されて行くのは
もっとずっと後の事で、
「狂気」の引き出しに最初に収納されたのは
意外にも「おそ松くん」だった。
アニメもリアルタイム視聴者だった拙者だが原作の漫画本の方ね。
タイトルこそ「おそ松くん」であるが後半の主役の座はすっかり
イヤミに奪われてしまっていた印象が強い。

拙者が幼少の頃初めて目にしたエピソードも
ご多分に漏れずイヤミがメインの回で、
幸せな一般家庭に気狂いのフリをしたイヤミが入り込んでメチャクチャにしてしまうという内容だった。
別のエピソードでは
夏の暑さに頭をやられたイヤミが
今がお正月だと思い込み「お雑煮」と称して
鍋で煮込んだスイカにかぶりつく様を見て
幼い拙者は戦慄したのである。

江戸川乱歩の
少年探偵団シリーズと出会うよりも、
小学館入門百科シリーズで
八大地獄の全貌を見るよりも以前に、
拙者の中に小さいながらも狂気のレイヤーは着実に追加されていったのだ。
時に拡大され、時に他のレイヤーの影に隠れ、
中学生の頃に赤塚先生の自伝を読んでそれらのレイヤーは全て統合された気がした。

そんな場面たちを時たま思い出しては一人でニヤリとするような子供だった拙者にとっては、作品との出会いには心から感謝している。
皆さんにも、そのような物が一つや二つ、必ずあるハズだ。

「キッカケ」を振り返るのも楽しいものだ。
そしてソレが手を伸ばせば届く所に
今でもある。
こうして拙者はまた一人でニヤリと
不気味な笑みを浮かべてしまうのだ。

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松山勘十郎【大衆プロレス松山座・座長】
ナニハトモアレ世知辛い時代でございましてねぇ。拙者の思想妄想幻想世界の具現化にも先立つモノをお許しください。ここで頂きましたサポートは全て当一座の舞台への糧となります。「オダイハミテノオカエリニ」ササ、オキモチテイドデモ、ドウゾドウゾ