続・Buen Camino 2023 あなたも巡礼に出かけてみませんか? ⑩
10)ベロラード Beloradoへ
6/9(金)
強い西風が終日吹き付け、風邪気味の身体には辛い1日となった。時間が経つに従って気温は上昇するが、きついことには変わりはない。
今日は、日本では見ることができない風景の中を一日中歩いた。それは麦畑の中の一本道で、両側の畑が褶曲した傾斜地になっている。巡礼は黙々と麦畑の間を歩く。日本で普通に見る水田の風景は平らなので、斜面状になった農地は馴染みが少ない。こういう斜面は山の麓でもない限り、お目にかからない風景である。
日本の水田もかつてはこういう傾斜地であった筈である。それを祖先たちが何代にもわたって土地を平らにならして、水を張る事ができるようにしたのだ。そう考えると昔からあると思っている風景も、人々の営為の努力の結果なのだ。
今日の宿はベロラードで、11:30頃に着いた。この時間になるともう暑くなる。宿に入るのは、まだ少し早いと思うが・・・。町に着くと、巡礼たちはそれぞれが目指す宿に散っていく。私の宿の受付は13時からなので、荷物を預かってもらい食事に出た。と言っても、小さな町の人もまばらなレストランでパンを食べただけ。
ここの人たちはこのパンを毎日食べるようだが、それが飽きないのだろうか。日本ではご飯に相当するのだろうが。そのパンに何かを挟んだり、半分に切った上にハムやチーズなどが乗っているのだが、それでも選択肢が少ない。
それに比べて、日本食のバリエーションの豊富さが懐かしい。洋食に中華、そして和食。麺類もうどんにそば、ラーメン、スパゲッティなど種類が豊富である。
おまけにこちらでは開店していない店が多く、選ぶという前に食べられないのだ。マクドナルドすらもない。ただ、ボカディージョと冷たいコーラで3€と安くはある。
この2回目の旅では、日本食の豊かさを切実に感じた。こちらで食べたものが美味しくないというのではない。何百年も食べられてきたものだから、それなりに美味しくはある。問題は、先に書いたようにメニューが貧困なのだ。そして、日本ではどの店に入っても、あるレベルに達している。
この町は小さいと思ったが、以外に大きかった。夕食はスーパーでヌードルを買い、宿の電子レンジで温めて食べたが、味は今一つ。他にクロワッサンとヨーグルトで7€。そのお釣りで、明日の搬送料6€ができた。
隣のベッドのポーランド人の男性が寄って来て、何も聞かないのに、自分はいろいろな巡礼路をこれだけ歩いたと自慢気に喋った。何を言ったのか内容は全くわからず、ありがた迷惑な話だ。
ノートに記録をしていたら、再び彼がやって来て、何か話したそうにするので、アプリのグーグル翻訳を使って40分くらい話をした。日本語には3種類の文字があって、縦にも横にも書けるというような話をした。彼は英語が全く話せなかったので、私よりもひどい語学オンチだ。こういう人でも旅をしているのだと思うと、気が楽になった。私よりも年上だと思ったが、なんと10歳も若かった。最後は「サムライ」で終わった。
こちらの家の玄関や窓は頑丈に作られており、窓枠には鉄格子が入っている。だから、中がどうなっているのか外側からは全く窺い知ることはできない。
日本の家だと、レースのカーテン越しに中がチラチラと見えることがあるのだが・・・。しかし、スペインでは視界が全く遮られているのだ。自分の中に他者を踏み込ませないという強い意志を感じる。これが「個人主義」というものだろうか。庭のスペースがない場合、家の壁に花を飾っている。
今回の旅のゴールであるブルゴスまであと2日となった。そこで、ブルゴスからマドリードまでの鉄道の切符を予約した。OMIOで簡単に取れた。
予備日が風邪のためになくなったので、マドリードは1泊だけの滞在になった。翌日は空港に向かうので、スペイン滞在も残り少なくなった。(22.9km、 39767歩)
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