「ユーコンを流れる」2019 ユーコン川344km、8日間一人旅⑪
9)8日目(9/4) 「コールマイン・キャンプ場にて」
翌日は、別のドイツ人男性4人グループが到着した。彼らが使っているテントは4〜5人用で、それを1人で使っている。私のソロテントとは大きさがまるで違う。
カヤックの引き取りを待っていたが、夕方になってもその気配がなかった。そこで、何も話せないことは分かっていたが、私が到着したことと、困っていることだけは伝わるだろうと思って、KP店に電話をした。女性店員が出たが、案の定、何を言っているのか全くわからない。ただ、会話の中にあったrackという単語が耳に残り、キャンプ場の隅にある棚のことだと思い、日本に観光に来たことがあるというドイツ人に手伝ってもらってカヤックをそこまで運んだ。そして、改めて、その旨を店に連絡したら、それでOKだった。これらの指示が、事前に確認できていなかったことがトラブルの原因であった。
これで、カヤックの旅は無事終了した。
旅の期間中、川の水は冷たく、身体を洗うことができなかった。そこで、キャンプ場の温水シャワーを使おうと思ったが、使用法がよく分からなかった。使用説明の最初にあったStripという言葉が分からず、掃除をしているヒスパニック系と思われる女性に、その単語の意味を指差しながら尋ねたが、彼女もわからない様子だった。帰国して辞書を引くと、「服を脱ぐ」という意味であったが、シャワーを浴びるのに、機械的な説明ではなく、こんな当たり前のことが書いてあるとは想像もしなかった。辞書くらいは用意しておくべきであったが、沈して濡れる可能性があったので、持ってこなかったのが失敗であった。洗面所で温水が出たので、頭だけは洗ってすっきりした。
キャンプ場を散策していたら、端にあった小屋の入口に、次のような言葉が書いてあったのを見つけた。
House Rules :♯1 Mom’s the Boss
♯2 See Rule ♯1
これとは、ちょっと違うが、わが家の台所にも似たものがあった。娘が海外への修学旅行の土産で買ってきたものである。その掲示板には“Mom’s Rule”とあって、妻が各主語を“We”に書き替えていた。長い間思い出すこともなかったが、その頃のことがフラッシュバックのように想い出され懐かしかった。そして思った。この旅の間、妻も一緒にいて、天国から守ってくれていたのだ!と。
夕方に30分くらい雨が降った。バラバラと大きな音がするので、よく見たらみぞれであった。こちらの雨は、日本のように長く降らない。しかし、せっかく乾いたテントがまた濡れてしまった。明日はこのテントを持たなければならない。
昼食と夕食で、残った食事をほぼ片付けた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?