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「定年・子育て後の30年をどう生きるか?」―家族形態の変化に合わせて― ⑤

5.自立したパートナー関係へ

 私は子育て後の夫婦像には、3つのパターンがあると考えている。
①これまで通りの関係を維持・継続するが、これは両者が「依存」しながらも、「自立」した関係であること。これまで少しづつ夫婦の役割や関係を見直しながら、こういう形に変化してきた恵まれた形だと考えられる。

②次は、いわゆる「熟年離婚」の形である。
結婚したカップルの1/3が離婚するという。新聞の「人生相談」の投書の多くは妻の側からのもので、離婚後の生活を考えると、踏み出すのに躊躇するというものである。前段階として精神的「家庭内離婚」のような状態を経て、子育てや夫の定年が節目となって、離婚という形に至るケースであろう。
その際、生活の問題が出てくるが、専業主婦であった妻には、年金分割制度によって、夫が婚姻期間中に支払った厚生年金の半分を受け取ることができる。それに、自分の基礎年金、夫の退職金と預貯金の半分も得られる。先の銀行の支店長の場合は、このケースではなかろうか。年金事務所等で確認して欲しい。
しかし、問題はその後を「どう生きるか?」である。

③3番目は、①の変形で、緩やかな夫婦の関係への移行である。これまでのように、相手を一方的に拘束するようなあり方ではなく、結婚という形は維持しながらも、互いが自立する緩やかな関係への移行である。②を避けるためにも、早い段階でこの形への移行の話し合いが持たれることが望ましいが、簡単ではないだろう。
同居していても「所帯」を別にするものから、家庭内での分業体制をすすめるなど、様々の形が考えられる。また、①のケースの場合でも、残された30年を考えると、③に移行する場合もあるのではないだろうか。
 
 私の友人にドイツ人と結婚した女性がいる。彼女が住んでいる集合住宅、まあ日本のマンションのようなところだろうか、そこでは高齢者になると離婚する人が多いという。夫婦のテーマが変わるからだろう。しがらみから離れて、自由に生きたいということだろうか。
そして離婚後をひとりで自由気ままに生きる人もいるし、改めて別の人と一緒になるケースもあるようだ。その相手は異性の場合もあれば、同性の場合もあるという。さすが、ヨーロッパだと、その時は思ったが、最近、日本でもLGBTQの問題が指摘され、性同一性障害の人の存在が知られるようになってきた。日本でもドイツと同じような状態になっていくのではないだろうか。米国に住む友人に尋ねたら、米国でも似たようなものだと言っていた。
で、私の友人の女性はどうなのか、聞いてみた。彼女は、かなり前に夫を亡くしており、今は別の男性と「パートナー」の関係にあるという。具体的には、晩ごはんを一緒に食べることが、2人の形であるという。あとは何をしようと拘束は一切無い、自由だそうだ。
これを聞いて皆さんはどう思うだろうか。ずいぶんと楽だなあと思われたのでは?日本でも、そういう感じになっていくのではないかと思った。
本来的な意味で、夫婦の役割の多くを終えた男女が過ごすこれからの人生は、当然、互いにとって負担がより軽いものへと変わっていく筈である。

 以上は子育てを終えた夫婦のありかたの話である。ではこれから何をするのか。「趣味」か「旅行」か、最近はやりの「推し活」か・・・?
ここからは相手に依存するのではなく、また相手に干渉することなく、それぞれが自分の「世界」を生きるのではないだろうか。

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