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Buen Camino 2022 あなたも巡礼に出かけてみませんか? ⑪

(11)「マメに苦しむ」
 
8/25(木) 第7日、晴れ 
 ちぎれた小枝が道に落ちていた。昨夜の嵐のせいだろう。こちらでは雨が降っても長く続かないので、舗装していない道には小さな水たまりができ、少し濡れている程度である。これではすぐに乾くだろう。

 午前中はカスティージャ運河沿いをずっと歩いた。こんな乾いた土地で水はどこから来るのだろうかと周りを見渡しても、高い山など、どこにも見えない。「運河canal」とあるが、運河としては未完成で、今は灌漑用水として使用されているようだ。水を見ながら歩く道は何かホッとする。

巡礼路沿いの運河

 丁度、太陽が昇る時間で、地平線が赤く染まって、そこから光の筋が何本も出て美しい。これも巡礼だからこそ、経験できることである。

日の出

 さらに進んでいくと観光船が係留してあった。

運河の観光船

 また水の量を調整して船を通す閘門式の水門があった。高低差がある日本ではなかなか見ることができないものである。
 ここからがフロミスタFromistaの町で、ゴールまであと424kmの表示があったが、まだ遠過ぎて、全く実感が湧かない。

閘門式の運河

 鉄道のガードをくぐって町の中に入る。

 足のマメが両足に及んでおり、朝方はどうにか歩けていていたが、どんどん痛みが増してひどくなるばかりだ。スピードも遅くなってきた。第三者が見たら、ずいぶん不格好な姿に見えるに違いない。

 もう、これ以上は我慢の限界であった。立ち止まるとその間は痛みは止むのだが、歩き出すと再びびっこ状態になる。いつもよりは2時間ほど早い時間であるが、この日はビリャルカサル・デ・シルガVillalcazar de Sirgaで行動を終了した。連日の長い距離と10kgの荷の重さが原因である。

 アルベルゲの受付時間は13:30からだったので、しばらく木陰で休んでから行くと、案の定、私が一番乗りだった。受付にパスポートを見せると、私の年齢を見て驚いたようだった。料金をクレジット・カードで払えるかと聞いたら、ダメだという。理由はドネーションであった。 

アルベルゲの2段ベッド

 宿でもドネーションがあることは知っていたが、まさかそれに当たるとは!私は10€を箱に投じた。ちなみに今回の旅では、現金は急場のために確保しておきたいので、できるだけカードを使用することにしていた。

 シャワーで汗を流し、しばらくの休憩の後に、時間があったので宿の前にある古びた大きな聖堂に行ってみた。小さな町にしては不釣り合いなほど立派な教会で、巡礼だということで割引をしてくれた。何でもない石段の登り下りが辛く、情けなかった。こんな調子で、明日はどうなるのだろうか?

 宿には食事はついていないので、開店していると思われる7時頃にレストランに行くと、9時からだと追い返された。スペインでは昼ごはんがメインの食事で、それが夕方まで続くので、夕食が遅くなるのだ。だが、それにしても遅すぎる。

コーラとリンゴ、そしてマカロニ

 小さな村なので、近くにはレストランはなく、そこで仕方なく、隣の雑貨店に行って探すと、電子レンジで調理できるマカロニを見つけた。量は少な目だったが、結構美味しかった。しかし、それにしても質素だ。
なお、このシリーズには、この後2回お世話になった。
 
 この辺りから、暑さに加えて、マメとの格闘が始まる。これは巡礼の誰もが経験することで、いよいよ旅も正念場に差し掛かったと言える。

 同じ巡礼でも、四国「八十八ヶ所」とカミーノ巡礼との違いは、前者が「札所巡り」で、タクシーやバスなど交通機関の利用も可能であるのに対して、後者は歩くこと自体に意味があり、手段としては自転車までが可能である。どちらも、何回かに区切って歩くことができる。歩く以上、マメができるのは当然である。
 それにしても、暑さといい、食事といい、またマメといい、これが「巡礼」の苦行なのだろうか。(13.1km、33,161歩)

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