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続・Buen Camino 2023 あなたも巡礼に出かけてみませんか? ⑧

8) ナヘラ Najera

 6/7(水)
 今日は急ぐ必要はないので、いつもよりはゆっくりして6:20に宿を出発した。周囲は平坦な葡萄畑で、風を遮るものが何もなく肌寒い。風邪気味の身体には応える。

下が運んでもらったもので、上が担いだ分

それでも荷物が少ないのは何と楽なことか。
昨日、宿で一緒だった日本人男性が快調なペースで私を追い越し、あっという間に見えなくなった。

避難用の施設

 そのとき突然、携帯が鳴り出した。不安を覚えながら出ると、日本にいる妹からで、長く入院していた姉が亡くなったという知らせであった。巡礼中に起こらなければいいと思ってはいたが、いざ現実になると受け入れがたい出来事であった。幼いころから何かと面倒を見てもらった姉であった。お礼や別れの言葉もかけたかったが、この状況ではどうしようもない。葬儀の準備など何も手伝えず、ただよろしくと伝え、しばらく黙祷をした。子供達に連絡のメールを送る。
 小さなレストランがあり、温かいミルク入りのコーヒーで朝食を取る。店主は無愛想な夫婦であった。

朝食のパンとコーヒー

 本日のゴールのナヘラの町に入り、川沿いの遊歩道を歩く。レストランが並んだ快適な散歩道である。アルベルゲには11時に到着したが、誰もいないのだ。間違っているかも知れないので周囲を確認したが、それらしきものはこれしかない。まだオープンしていないので、そこが目的の宿なのかも確信が持てない。アルベルゲという看板の一枚もない。こういう不親切さはどうにかならないものか? 
 そうしたら、女性の巡礼がやって来たが彼女も同じで、途方に暮れていた。私に尋ねられても答えようがなく、うろうろしていたが、別の宿を探すと言ってどこかに行ってしまった。
 一時間ほどして、車が来て荷物を下ろし始めた。よく見たら私の赤いザックが建物の中に運び込まれていたので、ここで大丈夫だと確信をもてた。宿は14時にオープンだという。これでホッとして、昼食にスパゲッティを食べて戻ったら、大勢の人が待っていた。受付が始まり、宿代は6€、入り口に近い下段を確保できた。
 並んでいる時に、列を無視して中国系の女性が割り込んで、さっさと受付を済ませた。その彼女は私の上段であった。彼女のお陰で私は下を確保することができたのだ。弱っている身体にはベッドの上がり下がりも負担であり、ラッキーであった。他者に対して無作法を働く者は、その他者に対しては不寛容であった。

二段ベッドが並んだアルベルゲの内部

 この旅でいつも問題になるのが、夕食である。スペインでは7時からなので、早く寝て翌日に備えたい巡礼には遅すぎるのだ。また、二人だと相談の仕様もあるが、一人ではなかなか決めかねる。何度か同じ道を行き来して、ようやく決めたのが小さなレストランであった。
 スペイン語だけでほとんどわからなかったが、対応してくれた男性ウエイターは親切だった。昨日の料理のことがあったので心配したが、ここは美味しかった。しかも14€と安い。柔らかく煮込んだ豆料理、それに牛肉、そしてアイス。
姉を偲んでワインを飲んだ。
(16.0km、33,315歩)

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