Buen Camino 2022 あなたも巡礼に出かけてみませんか? ㉓
(23)「峠の一軒宿」
9/6(火)第19日、曇り後にわか雨
朝からアップダウンを繰り返しながら、村の牧場や森を抜けて登っていく。牛の鳴き声とベルの音が風に乗って聞こえてくる。まさに牧歌的な風景である。道の脇には(コロナで?)廃業に追い込まれた宿の姿が見える。
途中から雨が降ってきたので傘をさした。汗を拭いながらなので、まるで登山である。
標高が上がるに連れて景色も広がり、飽きることがない。しばらく行くと峠になり、ここには宿や土産物を売る店が数件あって、賑わいがあった。
この辺りまで来ると標高は1200mを超えており、うすら寒くダウンを着込んだ。止んでいた雨もまた降り出し、気分も冴えない。
そこから人気がない緩やかな下り坂になり、再び登ると開けた場所に出て、風が強い丘に大きな巡礼の像があった。帽子が飛ばないように手で押さえている。この日は寒く、天気が良くないので、この像の雰囲気にぴったりである。
そういう中で、米国人の祖母と孫娘と思われる二人連れがいて、彼女らと前後しながら歩いた。娘が先行し、写真を撮りながら年寄りが来るのを待っている。
再び急坂を登ると峠に出て国道と交わり、トラックが音を立てて走っていた。標高1300mを超え、レストランが一軒あった。ここにアルベルゲが併設されており、13:00と少し早い時間であったが、ここアルト・ド・ポイオAlto do Poioに宿泊することにした。この日はアップダウンが多かったので疲れていた。
後から考えると、時間も早かったので、頑張って次の村まで行くべきであったが、途中で一緒になった二人連れのフランス人たちが、ここに宿泊すると勘違いして、彼らが泊まるのであれば、自分もそのペースでよかろうと思って宿泊を申し込んだ。ところが、彼らはしばらく休んで出発していた。
結局、このアルベルゲに宿泊したのは私だけで、他に誰もいない。後にも先にも一人で泊まったのは、この時だけであった。大きな部屋に一人で寂しかったが、気楽に過ごせたし、雨も強く降って来たので、結果的にそう悪い判断ではなかったと思われる。この日は寒かったので、湯冷めをする可能性があったので、シャワーを使わなかった。
夕食の時間になったので食堂に入ると、二匹の大型犬の歓迎を受けた。逃げ場がなく、顔を舐めまくられた。食事は、塩がきいたガリシア風スープ、牛肉とポテトの煮物、ヨーグルトであった。寒かったので暖かいスープが嬉しかった。これは海の味なのだろうか。ガリシアという地名に、この旅の終わりが近づいたことを感じさせた。
宿泊費は6€、夕食はビール込みで10€とめちゃ安かった。カードで支払おうとすると、現金の方が安いと言われた。カード会社に支払う手数料が加味されるからであろう。(17.7km、36,862歩)