Buen Camino 2022 あなたも巡礼に出かけてみませんか? ㉚
以上で、私の600km弱の巡礼の旅は終わった。
なお、私の旅はこれで終わったのではなく、まだ続く。9/13から9/24まで、長めの観光が残った。マドリード(2泊)、グラナダ(2泊)、バルセロナ(5泊)、パリ(1泊)である。
以下、そのエピソードを添える。
その前に、これまで書くことができなかったもので、やや重なるが、これから巡礼を始めてみようと思っている人には参考になると思う。
① アルベルゲ・寝袋・洗剤
アルベルゲ(宿)は巡礼者用の最低限の便宜を備えた宿泊施設で、施設によって費用は異なるが10€(1400円)前後と安い。公営と民営、修道会の経営などがある。
受付の際、パスポートとクレデンシャル(巡礼手帳)の提示が求められる。クレデンシャルにスタンプを押してくれる。これが後に歩いた証明書を発行してもらう時の証拠となる。
宿は、ほとんどが2段ベッドで、私が利用した施設の多くでは男女が同室であった。受付で不織布の簡易シーツを渡されるので、それをベッドに被せ、使用後は外してバケツに捨てる。寝袋は持参で、最近は小さくて高機能のものが出ている。季節によってどの程度のものにするか選べば良い。アルベルゲのいいところは顔見知りができることだ。
ただし、全泊ホテルを使えば、寝袋は不要となるので軽くなるし、プライバシーも保たれる。私はほとんどアルベルゲを使ったが、予約はしなかった。それは、現地の状況がわからない中では、予約によって行動が制約され、そちらの方が問題が多いと考えたからである。同じ理由で、荷物の搬送も依頼しなかった。
結果的には、到着時間が早かったので、予約なしでも大丈夫だったようだ。早い到着が鉄則だ。仮にダメでも対処の仕様はある。これまでの投稿を読んでいただいたらわかるように、その時の体調や天候の具合で宿を決めていたので、もし予約していたら逆に困ったことになったのではないかと思う。ただし、巡礼が多い季節は予約が必要かも?
私の行動は、朝、暗いうちに出発して、午後2-3時頃の到着を目安にした。午後は暑くなるので、早い時間の到着を勧める。そして、シャワー、洗濯、仮眠、若干の散歩と食事などを済ませ、8時過ぎには就寝した。シャワーに関しては、温度が低かったり、湯が出なかったりすることはなかった。洗剤やシャンプーなどは全て持ち込みである。私は毎日洗濯をしたので、石鹸は身体用と洗濯用を持参した。洗濯機もあるが、少ないので手洗いで済ませた。乾燥しているので、化繊であれば寝るまでには乾く。また、Wi-Fiは携帯用のルーターをレンタルした。
② 食事・水
素泊まりが基本である。そこに調理器具・設備があるので、外のスーパーで食材を買って調理するか、あるいはレストランでの外食となる。ただ一人なので、調理はしなかった。電子レンジで温めて食べる料理は何度か食べた。民営の場合、レストランを併設していることがあり、あまり高くない料金で食事ができる。夕食は7時からで、味も悪くはないが、満足度はやや落ちる。
私の場合、朝7時前に出発するので、宿では朝食は取らなかった。途中のレストランで軽食を取れるといいが、レストランがないこともあって、昼食と兼用になる事もあった。そのため、朝・昼食に関しては不規則となるので、行動食を携帯しておくといい。水問題は道路脇に「飲用」Agua potableと書いた水道があるが、それを利用するかどうかは個人の判断。ペットボトルなら、1日最低2-3本は必要か。私はテルモスの水筒と、大きめのペットボトルを使った。水は前の晩か朝出発時に入れて貰った。
③ 靴・室内ばき
私が履いたのは、靴底が丈夫な防水のスニーカータイプの靴で、トレッキングにも利用できるものである。夏なので、ハイカットのものは避けた。また靴は、受付の横にある靴箱に入れるので、室内履きが必要である。旅の終わり頃には靴の内部が相当臭くなった。
④ 傘と杖
モンベルの折りたたみ傘を使用し、場合によってはこれを日傘としても利用したので重宝した。しかし、スペインで傘をさしている人は誰も見なかった。ましてや日傘は。帽子すら被っていない。峠越えがあるので、杖はあった方が便利。
⑤ ヘッドランプ
ちょっとしたことであれば、スマホで代用できるが、バッテリーは節約した方がいいので、早朝に歩くとなるとヘッドランプは必要品である。夏場は7:30くらいに明るくなるので、それ迄の時間帯の行動には必要な装備である。また、出発準備の際には、まだ寝ている人もいるので、部屋の照明はつけられない。手元を照らすために必要である。
⑥薬
常備薬のほか、便秘用、整腸剤、抗生剤、鎮痛・解熱剤をかかりつけ医に処方してもらったが、ほとんど使用しなかった。足のマメ用に大きいサイズのバンドエイドは必需品である。
⑦トイレ
途中でのトイレであるが、ガイド本にはこの情報が欠落している。私は巡礼中に公衆トイレを一度も見なかった(町なかでも同様)。女性も突然草むらに消えていく。距離が長いので、覚悟しておく必要がある。もちろん、レストランがあれば借りる事も可能だが。映画『星の巡礼者たち』で、道端で男女が用を足す場面があるが、あの通りである。なお、携帯用のウォシュレットを持参したが、あまり使わなかった。
⑧ ATM
現金を下ろすATMは大きな町であれば、日本よりも多い。ただし、操作が難しくて困った。ネットで検索すると簡単にできそうだが、機械(銀行)によって操作の仕方が異なる。私は銀行に機械があるところを探して、職員に手伝ってもらった。これが一番確実であった。
⑨言葉
私はスペイン語はおろか英語も満足には話せない。しかし、相手が巡礼なので、大体は分かってもらえる。ただ、正確に伝えないといけない場合や、込み入った内容の場合はスマホの「Google翻訳」に助けてもらった。予め日本語で入れておいて、相手に画面をかざすことで、こちらの要望がほぼ正確に伝わる。同時に、こちらがスペイン語が話せない事も伝わるので、後は、英語での簡単なやりとりでどうにかなった。私は駅で切符を買う際にこの手法でやった。また、宿や店、空港などでも何回か用いた。さらに、これにはカメラ機能がついているので、レストランのメニューを読む助けになった。ただし、正確ではないので、そこから先は推測するしかない。