スプリット・ミルク 第一話 (小説)
冬は溶け、しかし、コーヒーはホットがいい3月末の早朝は、薄着のコートに身を包み、新宿を歩く。ぱっと閃いたように鳩の群れが散り、中空を遊ぶ。お土産に買ったコーヒー豆を無印良品で買ったエコバックに入れて、湘南新宿ラインを目指す。飲み歩いた朝は、コーヒーにレモンを入れるような違和感がある。どこかちぐはぐで、罪悪感もある。彼はまだ寝ているだろう。始発の湘南新宿ラインは、南へと下っていく。上りと違って、閑散とした車内は、朝帰りを共有して、罪を運ぶ。私は川崎へと帰っていく。武蔵小杉につい