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【推しの子】漫画160話感想 その2

こっちは原作漫画の感想です
アニメ勢にはネタバレになるので注意
少しスペースを空けます






感想その1

今週はヤンジャンが休載
ジャンプ+勢の人は先に感想その1をどうぞ

イチゴ元社長、アイとカミキの関係知らなかったの?

ニノと良介が付き合っていたことを知っていたイチゴ元社長
それなりに勘がいいようだ
ならばアイとカミキの関係をなぜ知らなかったのか?
そこを掘り下げてみよう

まずはアイとカミキが出会った場所
劇団ララライのワークショップの話から

劇団ララライのワークショップが失敗したという話

最近アニメでやった回、原作67話
かなちゃんがジンジャーエールで酔っ払う回
劇団ララライ代表の金田一は「ワークショップが失敗だった」と言った
その理由をアクアは聞き出そうとするが、金田一が酔いつぶれてしまいうやむやに
未だにしっかり語られていない「ワークショップの失敗」とは何か?

金田一は「欠けてる奴は良い」と言ってる
原作96話 白薔薇
カミキヒカルの名前が登場した回
金田一は「人を騙す眼 嘘を真実だと思わせる力 役者にとって最高の資質」を持つものとして、カミキヒカルの存在をあかねに教えた
姫川大輝やアクアという「欠けてる奴」に魅力を感じたように、カミキヒカルという存在に「欠けてる奴」を感じていたのだろう
カミキヒカルは劇団ララライの秘蔵っ子
役者として今後成功することが約束された宝石の原石のような魅力があったのだろうな

そんなカミキヒカルは16歳でララライから抜けている
ちょうどアイに子供、アクアとルビーが生まれた時期にカミキは劇団をやめた
劇団ララライにとって大きな損失
金田一はかなりの衝撃をうけたことだろう

アイはララライワークショップでカミキと出会い変わっていった
大人たちはそれが恋だと思った
つまり、大人たちはカミキとアイが付き合っていたと認識していたことになる
金田一は、カミキがアイと付き合っていたと思っていたはずだ

アイがララライワークショップを辞めた
カミキの元から離れた
その後カミキがおかしくなってララライを抜けた
ワークショップでカミキとアイを合わせてしまったせいで、才能ある役者であるカミキを失った
カミキが恋に狂わされて役者の道から離れてしまった
若いもの同士のつながりから刺激を吸収するはずが、壊れてしまう結果になった
それが「ワークショップは失敗だった」ということだろう

つまり、アクアがもう少し金田一の話を真剣に引き出していたら、この話を聞けたはずだ
アイの事は伏せられていたとしてもワークショップにあらわれた女と、ララライにいたカミキが恋に落ちた(と金田一は思っている)ことで、役者を失ってしまったという話を聞けたはずだ
アクアならその話を聞いて、ワークショップの女がアイのことで、カミキが父親の可能性があることを察したはず

姫川大輝に話を聞いて父親が死んでると思わなければ、金田一が起きるのを待って話を聞けたはず
姫川大輝に父親の話を聞くか、金田一にワークショップ失敗の話を聞くか
この二択をミスってなければ、カミキの存在にこの時点でたどり着けたはずだった
手に届くところに答えがあったのに取れなかったんだな

どうして大人はカミキとアイの関係を話さなかったか

アイは若くして暴漢に襲われ亡くなった悲劇的な伝説のアイドル
そのアイドルに男がいた
カミキと付き合っていたということを話してしまうと大スキャンダルになる
アイという存在に泥を塗る行為
それはやりたくない
亡くなった子が誹謗中傷にさらされるのは好ましくない
だからララライ関係者の大人たちはアイとカミキの関係を話さなかったのだろう
基本的に大人は子供を守るもの
週刊誌記者のように醜悪なネタを求める人じゃない限り、アイとカミキの恋愛話を口にしようとしないだろう

イチゴ元社長やミヤコさんはララライでのアイに密着していたわけではない
アイとカミキの関係を知らなかったんだろうな

ララライの大人からみたら、付き合ってるように見えたアイとカミキ
実際は付き合ってなかったはず
アイはイチゴやミヤコさんには男に惚れているような様子は見せなかったのだろう
実際惚れていないわけだから当然といえば当然
そのためイチゴやミヤコさんはアイの変化はワークショップでの学習だと思ったはず
イチゴとミヤコさんはアイとの付き合いが長いがゆえに、アイのことが分かりすぎてしまったということだろう

でもその後妊娠が発覚する
となると時期的にララライワークショップで出会った相手だと推理できるはず
でもイチゴは父親が誰かを調べることができない
なぜなら「アイが妊娠した」ことは絶対に知られてはいけないからだ
アイドルとして致命的なスキャンダルは隠さなくてはならない
アイは恋愛しているように見えないことから、大人に騙されてヤラれちゃったと考えるのが最も可能性が高い
アイと関係した相手を調べようにもララライ関係者は全員容疑者になる
劇団関係者は女に手をつけるのが早いのは2.5次元編で説明したとおり
一夜の遊びレベルだったら、下手につついて妊娠していることがバレるリスクを負うわけにはいかない
だから調べることができなかったのだろう
アイもけして相手の男のことを話さない
「眠くなったらいつのまにかー」とかテキトーに答えてそう
そんなわけでイチゴは真相を調べることが出来なかったのだろう

アクアとしても同じ
金田一にアイの事を教えてもらうときに「自分はアイの子供だ」という前提を話せれば父親を探すのはもっと簡単にできたはず
でもアイの子供であることも、アイに子供がいたことも知らせるわけにはいかない
だからこそ金田一から証言を引き出せなかったのだろうな

金田一があかねにカミキの話をしたのは、あかねならカミキとアイの関係を察するだろうとわかって伝えたように思える
そこから付き合ってるアクアに話すのはあかねに任せるということだったんだろうな

カミキがサイコパスという話

感想を見るとカミキはサイコパスだと言ってる人が多い
実際そうなんだろうな
でも、サイコパスだからと言って「犯罪するのが当然」「何を考えているかわからなくて当然」と考えちゃうのは早い
逆にサイコパスだからこそ、なにを考えているかわかりやすいと思える

サイコパスとは自分の目的のために行動し、社会的な常識や他者への気配りのない人みたいな感じですね
自分の目的のためなら犯罪や他者を害することに抵抗がない
だからサイコパス=犯罪者みたいに思われるけど、最も重要なのは「自己の目的」であるはず
「犯罪」が目的ではなく
「自己の目的」のために「犯罪」する存在

たとえばサイコパスが人前で涙を流すときはどんな目的があるか?
普通の人は「反省したり悔しいんだろうな」と感じることだろう
サイコパスにとって他人の前で流す涙は「他人が自分に同情を寄せてくれる」という目的を期待した演出でしかない
自分の利益になるから行動する
普通の人はそこに勝手に意味を付与してくれる
だから「なんの涙ですか?」と聞かれるとトンチンカンな答えが返ってくる

カミキにとっての「自己の目的」とはなんだろうか
掘り下げてみよう

アイと出会う前のカミキ

愛梨の性被害にあっていたカミキ
このころのカミキの目的は「嘘の仮面を被って生きる」というところだろう
愛梨に求められるまま、求められるままの役割を演じる
そうしていたら「愛してくれる」
それが正しい生き方なんだと思っていただろう
愛梨はもちろんのこと、上原清十郎もララライの金田一もカミキの嘘に気づかない

ずっと嘘をついて生きていこうと思っていただろう
愛梨との間に子供ができた
愛梨は上原の子供と嘘をついている
上原も騙されているのに気づかない
他の大人も気づかない
カミキは思う やはりこれが正解だと
自分も嘘をついて生きるのが正解
人を騙すのが正解だと思っただろう

そんな悟ったような、世界を理解したかのようなカミキの元にあらわれたのがアイ

アイと出会ったカミキ

すぐにカミキの嘘を見破るアイ
「カミキは嘘吐き」という事実を真正面からつきつけてくる
アイといて楽しいふりをしていたり、愛梨の求めに応えたり、大人に優れた役者だと思われたりしているカミキ
その全てが「嘘」だと見破るアイ
カミキが信じていた世界が壊れる
ほかの人間とは違う
アイは他の人間と違う
そして、カミキも他の人間と違う
この世界で二人だけが違う生き物のように思えただろう
カミキがアイにそう感じたように
アイもカミキにそう感じているに違いないと思っただろう

でも、アイはカミキの嘘を吸収したら離れていく

アイが離れるのを食い止めるカミキ

アイが離れてしまう
どうしても失いたくない相手
そうしたときに、愛梨ならどうしたか?
「子供を作ればいい」
愛梨から教わった方法でアイを繋ぎ止めようとした
カット170「その方法しか知らない」

子供を作った
てもアイは離れていった

アイがいなく無ったカミキ

アイに見捨てられたと思ったカミキ
これでおかしくなったのだろう
カミキを狂わせるファタール
ファム・ファタール「運命の女」

カミキはアイを求め、アイを理解しようと考える
悩みに悩んだあげく、アイは自分を騙したのだと考えたのだろう
人を騙す嘘の瞳に惑わされて、カミキは狂ってしまったと思ったのだろう

カミキを騙したアイ
でももうカミキはこの世界でアイ以外に興味がない
自分を騙したアイという存在に近づきたい
狂気と崇拝の感情が混ざった狂信者
カミキが求めるものはもうアイだけ
騙した存在だと理解しつつも、離れたり忘れたりはできない最高の価値ある存在
カミキの全て
そのため劇団ララライを辞めたのだろう

ニノや良介と知り合ったのはこの頃じゃないかと思う
ゴロー殺害時にニノと良介を操っていたかのような話はフェイクだと思う
カミキにはアイの出産を邪魔したり、ゴローを殺す理由はなさそうに思える
「命の重み」である自分の子を殺してしまうとアイとの縁が切れてしまう
カミキにはゴロー襲撃の動機がない

上原夫妻を心中させたのもカミキの意思だろう
不思議なのは姫川大輝を巻き込まなかったこと
おそらく上原に托卵のことを伝えたら大輝も心中に巻き込むことができたはず
姫川大輝を生かしたのはなぜか?
アイとの間にアクアルビーという「命の重み」のつながりができたことで、アイが「命の重み」を背負うように自分も「命の重み」を背負おうとしたのか
愛梨に対する憎悪だけではない歪んだ愛情のようなものを感じさせる

その後アイからの連絡を受けてアイ殺害を決意したカミキ
そこには多くな苦悩があっただろう
アクアルビーが生まれてからアイとは会っていないはず
会うことで関係が良くなると思えなかった
関係が壊れてしまうことを恐れた
おそらくアイから拒絶されることを恐れての犯行だと思う
拒絶されるくらいなら拒絶される前に殺してしまえホトトギス

カミキはアイがどう思っているのかを悩んで悩み抜いたと思う
147話でカミキがルビーに言ったセリフ
「そうやって悩んで出した答えなら
 それを受け入れなきゃいけない
 誰しもが・・・・
カミキが悩んで出した答えが、アイ殺害という行為になって、アイはそれを受け入れなきゃいけないということなのか

ついでにカミキと歯ブラシ

カミキの家にアイの歯ブラシがあった
でも、おそらく泊まってはいないはず
保護者のイチゴとミヤコさんが気づかなかったということはお泊りは無理
そもそも歯ブラシに名前を書くのは他の人と間違えないためのもの
おそらくアイドル活動中にどこでも歯磨きできるように持ち歩いていた歯ブラシをカミキが盗んだんじゃないかなと思う

アクアとカミキ

アクアはカミキを救うと思う

147話でカミキとあったルビー
ルビーはこのときカミキが自分の父親で、アイを殺した黒幕だと知っていたはず
それでもカミキに復讐しなかった
「私はママを超えるアイドルになる
 ママより推して貰える存在になる
 過去を見てる余裕が無いくらいに
 それだけが皆まとめて救われる方法だと思うから」
そういってカミキを見つめたルビーの瞳は、今ライブのルビーと同じく両目がアイの瞳になっている
この「皆まとめて救われる方法」の「皆」
これはアクアとルビーだけじゃない
カミキとアイも皆救われる方法を見ている瞳だと思う

カミキはアイのDVDのメッセージを見ても改心しなかった
おそらくまだ自分を騙すのかと思ったのだろう
それでこそアイだと
アイのDVDは切り札にならなかった

ならばアクアの切り札はなにか?

アクアだけが知っているアイの真実
アイは死の直前に「愛」を知ったという事実
そして自分たちも「愛」を持てるよと伝えたい相手がいた
最期の瞬間まで、カミキに愛を伝えたいと思っていたアイ
それが切り札だと思う

そんなわけでアクアはやってくれますよ
カミキをガチで泣かせてアイを殺したことを心底後悔するように理解わからせてくれますよ

そう信じてますよ私は


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