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金時山に登って

2023年5月3日、全国的に憲法記念日のその日、私は小田原駅に降り立った。
新横浜駅から新幹線なんちゃらに乗り、なんと15分の地。

レンタカーに意気揚々と乗り込み、向かうは金時山。
「まさかり担いだ金太郎」の金太郎が遊びまわったと言われている山だとか。

金時山の登山コースは3つ。今回は、初心者向けの金時登山口コースで頂上へ。
初心者コースは大半が階段。きつさはあるものの、難易度はそこそこ。
来た道を振り返れば、芦ノ湖と空に広がる蒸気が目に入る。姿こそ見えないが、大涌谷があるらしい。
ところどころに咲く小さな花たちを眺めつつ、笹林を抜けると、立派な木々が生い茂る登り道に。
頂上に近づくにつれて、ハイカーが増えていく。
本格的な装備の登山家、孫を連れたおじいさん、赤ちゃんを背負った若い夫婦、健脚の外国人観光客——。

お先にどうぞ、を繰り返しながら、ようやく頂上にたどり着けば目の前に雄大な富士の姿が広がっていた。
幸いにも、空には薄い空もが少しかかっているだけ。頂上に残った雪も、青い裾野もはっきりと見えていた。

富士を写真に収めている間にも、金時茶屋のカレーうどんの香りが食欲を刺激する。
とはいえ、小田原駅で仕入れた押しずし弁当があるので、カレーうどんは諦めるしかなかった。

食事をすまし、金時山神社コースで下ることに。
初心者コースよりも岩がゴロゴロとあり、歩きにくい印象。
大人でも手をつきながら慎重に降りなければならない段差も数が多い。
山道のすぐ脇に太い木々が生え、根が手摺のようにお誂え向きに地中から伸びている。
多くの登山客がつかんだのだろう。野生の木の根が、人の手によって研磨され、艶々としていた。


突如巨大な岩が現れた。金太郎が母の山姥と暮らしていたといわれる「金時宿り石」だ。
半分に割れて、割れた岩を支えるように枝がおかれている。
後から知ったが、昭和初期、突如轟音とともに2つに割れ、以来登山客が枝を置くようになったとかなんとか。

巨岩を後にずんずん下っていく。標高が低くなると木々の背が高くなり、枝葉が深緑色に透けている。
緑のトンネルを抜け、見えてきたのは公時神社。
お参りをして、金時ハイキングが終了した。

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