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ビジュアルノベルの衰退について思うこと

こんにちは! かにまろです。

先日、フロントウィング制作のビジュアルノベル『GINKA』をプレイしました。

『GINKA』をプレイしてみて、

「ビジュアルノベルって現代人の暮らしに合わないなぁ」
「衰退は免れないのかな」

などと考えさせられました。

今回は、ビジュアルノベルの衰退に関する私の考えをまとめてみました。お付き合いいただけると幸いです🙇‍♀️



ビジュアルノベルの問題点

まず、この記事内で言及するビジュアルノベルとは、ゲーム内の操作が(セーブ等のシステム系を除き)セリフ送りと選択肢選択のみの、ストーリーを追うゲームを差します。

そのビジュアルノベルについて、現代人の暮らしに合わないなぁと感じる理由は、大きく分けて3つあります。

  • タイパが悪い

  • ゲーム性が低い

  • 訴求力が弱い

それぞれ、詳細化していきます。

タイパが悪い

昨今、エンタメは可処分時間の奪い合いだと言われています。

その中で、物語に触れる媒体としてのビジュアルノベルは、可処分時間に対して得られる体験が少ないと感じています。

例えば、本は通勤時間やちょっとした休憩時間に取り出して読むことができます。アニメも同様で、スマホやタブレットがあればいつでも見ることができます。テンポが合わなければ、倍速にすることも可能です。映画も同様、スマホでいつでも見られますし倍速にもできる上、2時間程度で1本の物語に触れられると考えれば、本やアニメよりも圧倒的に時間に対して得られる体験が凝縮されています。

かたやビジュアルノベルはというと……。

ゲームのボリュームに大きく左右されますが、おおむね10~20時間で、多いものだと100時間近いものもあります。

コスパはいい。でもタイパは圧倒的に悪い。

これだけの時間PCの前に張り付くのは、現代人にとってなかなかハードルが高いのではでしょうか。

もちろん、PCだけでなくスマホでできるゲームもあります。スマホでプレイ可能であればややタイパ(時間効率)は上がりますが、それでも数十時間で一本しか話が読めないのは、より多くの作品に触れたい人間としては非効率に感じてしまいます。

物語はゲームシステムと異なり、一本通さないとその良さがわかりません。

『スーパーマリオ』であればステージ1-1をやれば、概ねどんなゲームかは想像がつきますし、面白さもわかります。昨今、冒頭で面白く感じないゲームはすぐに離脱されていまうので、冒頭でユーザーを引き込むのは必須条件です。

しかし、冒頭10分で良さがわかるビジュアルノベルはかなり稀かと思います。わかるのは、舞台設定、絵が綺麗かどうか、声がかわいいかどうかくらい……。

わかりやすい面白さを手軽に感じたい現代人にとって、ビジュアルノベルはやや購入ハードルが高いのではと感じます。

ゲーム性が低い

ビジュアルノベルに大してユーザーができることは、基本的に選択肢を選ぶことくらい。

ゲームなのに圧倒的にできることが少ない!

なお、いわゆるビジュアルノベルとは異なりますが、『Detroit: Become Human』のように選択肢が膨大だったり、『428 封鎖された渋谷で』のように時系列が複雑に絡み合っている、『逆転裁判』のように推理要素が強い、といった特徴があれば話は別です。

あるいは、『ペルソナ』のように、PRG要素に加えてキャラクターとの恋愛を楽しめる、『牧場物語』のように、牧場経営と並列でキャラクターとの恋愛や結婚生活を楽しめる、『ウマ娘 プリティーダービー』のように、育てたキャラクターの物語を楽しめる……。これらのビジュアルノベル的な要素に加えて、主軸となるゲーム要素があるゲームも別です。

そういったゲームと比べて、インタラクティブ要素が少なすぎます。

あえて、ゲームとしてやる必要があるのか。

いちユーザーとして、そう感じてしまいます。

訴求力が弱い

「ゲームとしてやる必要があるのか」

ビジュアルノベルの企画書を書いたときに、個人的に会社に言われることNo.1はこれです。

「本が良いのでは?」
「オーディオブックという選択肢もある」
「物語と絵と声を魅せたいならアニメが最適」

これを言われると、ぐうの音が出ないと思います。

エロシーンに力を入れるのであればビジュアルノベルでやる意味はありますが、その場合ユーザーのパイが小さすぎる……。

ゲーム要素があるというのは、それだけユーザーを楽しませる機会が多いということです。RPGであれば、物語以外に、「戦闘での面白さ」「ビジュアル」、「演出」、「UI」など、ユーザーの琴線に触れる可能性のある要素がたくさんあります。

一方のビジュアルノベルは、正直「物語の面白さ」頼みです。ビジュアルもなくはないのですが、基本的に2Dの背景と立ち絵のみ。背景と立ち絵だけなので、できる演出も限られてきます。

ユーザーに刺さる可能性のある要素が少ない。なのに、開発コストは一丁前にかかる。

正直、企業が投資してビジュアルノベルを作ろうと思える状況にないと思います。

ビジュアルノベルの今後

とはいえ、ゲームを作りたい人の入り口として、ビジュアルノベルはアリだと思います。複雑なシステムは不要ですし、ティラノビルダーのようなビジュアルノベルを作るツールの他、素材も充実しています。

企業がコストをかけて作るものは減ったとしても、インディーズゲームであればビジュアルノベルをつくる人は一定数いそうです。インディーズゲームを積極的にやる層は、あまりタイパは求めていないでしょうしね。それでも、ビジュアルノベルであれば処理負荷もそんなにシビアではありませんし、パイの大きさを考えてもスマホ対応したほうが良いとは思います。

企業が作るゲームとしては、選択肢を選ぶだけのゲームは減り、推理ゲーム、育成ゲームといったゲームの一要素として組み込まれていくのだろうなと感じました。

まとめ

会社のお金でビジュアルノベルを作れたらいいなとは思いますけどね~。個人でビジュアルノベルを作ってみたいと思ったこともありましたが、見るに堪える絵を描けないのでやめました🤣

散々言いましたが、好きなビジュアルノベルもあるんですよ~。『レイジングループ』とか『徒花異譚』とか……。逆風が吹いているとは思いますが、「俺が面白いビジュアルノベルを作るんだぜ!」という方は、ガンガン挑戦していっていただきたいです。ぜひ、面白い物語を買わせてください。よろしくお願いします🙇‍♀️


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