「後医は名医」という言葉
聞いたことありますでしょうか?
後医とは、あとから診察した医師です。
そして、はじめに診察した医師は前医です。
例えば体調が悪くなり、医療機関に行くと、まず一人目の医師(前医)を受診することになります。
そして、前医自身の判断あるいは患者さんの希望で、別の医師に紹介や交代となり、後医を受診します。
この場合、「前医で試みた診断や治療の結果」を後医はすでに知ることができるので、診察において前医よりも後医は有利になります。
ですので、前医と後医の医師としての能力が同等であった場合には、後医の方が優れたように見えます。
この事を表した言葉が「後医は名医」です。
一つ目の病院(前医)で治らなかったけど、二つ目の病院(後医)で治ったという場合、「後医の方が前医より優れて見えるけど、そうとは限らない」という事です。
私がまだ大学病院に所属していた若い頃、出張先の病院の上司がよく「これだから、○○病院の医者はダメだよな~」と言っていました。
その頃は私も経験が浅かったので「そういうものかな?」と何となく思っていましたが、その後「他の病院で違う治療を受けて良くなった」という話を耳にする事が時々ありました。
その時に知ったのが「後医は名医」という言葉で、なるほどと思いました。
今は自分が後医となって患者さんを治せた時も「前医での結果があったからこそ、治ったんですよ」と患者さんに伝えるようにしています。
決して「自分は名医」と勘違いしない様に自らを戒めて診療しております。