The Most Beautiful Sound Next To Silence
みなさん、美しい音楽、聴いてますか?
心、休まっていますか?
嫌なこと、洗い流せてますか?
珍しく音楽のことを書こうと思います。
これまでノンジャンルでいろいろな音楽を好きになりましたが、結論僕の好きな音楽は高校生のときに出会ったあるレーベルの音楽に帰着します。
このレーベルの音作りのコンセプトとして"The Most Beautiful Sound Next To Silence"(「沈黙の次に美しい音」)がしばしば言及される。
同じファンならこの引用を見ただけですぐにわかるはず。ドイツ、ミュンヘンに本社を構えるECM Recordsです。
知らない方も、ここのCDジャケットはいくらか見たことがあるはず。なんとあのユニクロが2007年にコラボTシャツを発売しています。
僕の夢
高校時代僕の夢は非常に具体的でした。
ECM Recordでプロデューサーになること。
今考えればなんと世間知らずでおこがましいことか。。。でも、当時の僕にはそのくらいの衝撃があり、憧れとなり、夢でありました。
今回こんな話をしようと思ったのは、気づいてみたらGoogleMusicにもECM Recordsのアルバムがたくさん出ていることを発見したからです。
多くの人に聞いてほしい。そんな思いで記事を書いています。
僕の「衝撃アルバムヒストリー」
中でも最も僕に影響があった音楽たちを紹介させてください。
まずはこちら。
冒頭からまさに"The Most Beautiful Sound Next To Silence"の世界観。
なんとこちら、最初から最後まで、ソロピアノコンサートにも関わらず全て即興です。が、これまで400万枚も売れているそうです。
ピアニストであるKeith Jarrettはこのとき体調が最悪だったそうな。僕はPart2-B〜Part2-Cの流れが大好きで、66分もあるこのコンサートを何度聴いたことか。
特にPart2-B、後半の展開は大自然の中に放り投げられたような、早送りで人としての時間を超越して世界を見ているような、そんな感覚です。宮崎駿のもののけ姫に出てくるシシガミ、シシガミの歩から植物の生と死が時間を超越して表出しますが、それを音楽にするとこんな感じ、と僕は思っています。
聞き終わったあと放心します。
僕は今でも放心したいときにあえて聞きます。
そういうときあるじゃないですか。
さて、次はこちら。
たまたま渋谷のTSUTAYAでこれを発見して借りました。もう20年ほど前のことですね。
そのときこのECM Recordの存在感を初めて感じました。
美しいCDジャケット、"The Most Beautiful Sound Next To Silence"な音作り。
レーベルとして共通の価値観を持ちながら音楽づくりがされている。そんなレーベルがあるのか!?
僕にとってそれまでレーベルとは、音楽の総合商社みたいなイメージで、おかかえのアーティストはいても統一感があるわけじゃない、と思っていました。
でも、ここは明らかに違う。
テナーサックスからイルカの鳴き声のようなサウンドを出して世界観を作るJan Garbarek。これまで聞いてきた音楽とは明らかに違い、その神秘的な世界観に魅了されてしまいました。
そしてさらにこちら。
グレゴリオ聖歌ってみなさんご存知でしょうか。
僕は知らなかったし聴いたことなかったんですが、一瞬で心が清らかになるようなサウンドに完全に心酔してしまいました。
聖歌と即興サックスのコラボレーションという聞いたことがない組み合わせ。
この上なく美しく、来日した際、東京オペラシティのコンサートに行ったのを覚えています。
高い天井、美しく射し込む光、空間全体を響かせるような重厚かつシンプルなハーモニー。その場所をチャペルに変えてしまうような、そんな音楽でした。
音楽とは
これはとても個人的な考えですが、音楽は宗教的であると思っています。目に見えないもの、超越的な何かを感じさせたり、それによって人の心に何かしら変化を与えたり、人がその力を信じることにつながったり、そういったものだと思います。
そういう点で、定期的に美しい音楽を聴き、それに感動できることはとても幸せなことです。自分を超えて、その力に最も純粋で直接的な方法で触れることができるのですから。
最後に一枚目に紹介したケルンコンサート、ライナーノーツの中の一節を紹介します。
私は自分が創造ができるとは思わない。しかし創造の神との回路を保持することはできると思う。私は創造の神を信じる。事実この演奏は、可能な限り人為を離れようと心がけている私という媒体を通じ、創造の神からあなたに届けられた神の音楽である。
みなさんのもとに、良い音楽が届きますように。