弱み
会社の先輩と二人で職場のゴミ捨てのために歩いていたとき。
先輩から、
「かに味噌ちゃんは、あんまり自分からプライベートの話しないよな?人間嫌いなんか?」
と聞かれた。
本音を言えば、人間は嫌いだが社会の一員として
「はい!私は人間が嫌いです!!できれば関わりたくないし、見たくもない時もあります!!」
とは言えないので、
「え!?そんなことはないですけどね!」
とヘラヘラぎこちなく笑うしか無かった。
すると先輩から
「そうだよな!じゃあ、弱み掴まれないようにしてるんだな!」
と言われた。
私は感動した。
私の人間嫌いの要因が少しわかった気がしたからだ。
先輩は竹を割ったような性格をしているので、この言葉に嫌味が無いことはよくわかっている。
自分のことを知られすぎることは、時として弱みを握られることと同意なのだということを本能的に察知していて、人は人を知りすぎようとしている。
それを気づかせてくれたこの言葉は、
五年経った今も忘れていない。
そして私はいまだに弱みを掴まれないようにしている。