私に影響を与えたゲームたち

 突然だが、私はゲームが大好きである。自他ともに認めるところであるし、社会人となった今では他人に胸を張って言えるかはさておき最大の趣味だ。
 幼いころ難しく感じて途中でプレイを止めてしまったゲームを含めれば、かなり多くのゲームを触ってきたと思う。勿論、今でも買いはしたものの手をつけられていない、いわゆる積みゲーも部屋にたくさんあるのだが…。
 今回は、今まで遊んできたなかで私の転機となったり新しい経験となったゲームを紹介しようと思う。

■人生で初めてのゲーム「ポケットモンスター 緑」

 これが人生で初めてのゲームとなると、私のおおよその年齢がわかってしまうだろうか。しかし実のところ、このゲーム発売当時私はまだ生まれていなかった。
 「ポケットモンスター 赤・緑」は、現在まで世界中で根強い人気を誇るポケットモンスター(以下ポケモン)シリーズの第一作目である。そんなポケモンの人気に火が点いたのは、おそらくゲーム発売からおよそ一年後のアニメ放送の開始によるところが大きいだろう。幼い私は大いにポケモンにハマり、アニメを欠かさず見て、我が家にはポケモンアニメのビデオ(DVDではなく!)が数本あった。表情ゆたかに動くピカチュウの可愛さや、トレーナーであるサトシのいうことを聞かずに自由にふるまうリザードンの格好良さは今でも私の中に残っている。
 母親によると、私はポケモンの名前によってカタカナを習得したようだ。たしかにおもちゃのポケモン図鑑もあったし、アニメの中でもポケモン図鑑が表示されることも多かったように思う。そのように私はカタカナを覚えていったらしい。
 こうしてポケモンのとりこになった私は、数個離れた姉とともにポケモン赤・緑を買ってもらったのだ。私は緑をプレイすることになった。残念ながら幼年期のため定かではないのだが、二人揃って買ってもらっていることを考えるとクリスマスプレゼントだったのではないかと思う。そしてさらに残念なことに、私は最初のポケモンに大好きなヒトカゲを選んだのだ。これは実際にプレイしたことがある人には理解してもらえると思うが、赤・緑でのヒトカゲスタートはなかなか厳しいものがあるのだ。プレイするうえで小目標となるジムのタイプが、二連続で不利属性のためだ。そうでなくとも入り組んでいるうえに少々不気味なトキワの森のBGM、初めてのゲームによるレベル上げへの不理解もあり、私の初めてのゲームは早々に詰まってしまったのであった。
 しかしながら、ポケモン緑が私にゲームの楽しさを与えたことは確かである。私は今でも新しいゲームを手に取るたびにわくわくしているのだから。


■最も印象に残っているゲーム
「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」

 GBであったポケモン緑から世代は飛んで、こちらはWii(あるいはGC)のソフトである。私がこのゲームに触れたのはWiiの発売からずいぶん経ったころのことなので、発売当時のことではない旨を注意しておく。
 ゼルダの伝説(以下ゼル伝)シリーズはポケモンと同じく(厳密にはポケモンはゲームフリークだが)、任天堂で展開されている人気タイトルである。ゲームジャンルとしては謎解きアクションといったところだろうか。しかしながら、私はゼル伝というシリーズを知ったのは同じく任天堂が発売した「大乱闘スマッシュブラザーズDX」をプレイしてのことである。これはいわゆるお祭りゲーで、任天堂作品に登場するキャラクター達での格闘ゲーム、といった作品だ。マリオ、ピカチュウ、カービィといったキャラクターのなかに、ゼル伝シリーズの主人公であるリンクもいたのである。
 「マリオやポケモンは実際に遊んだことがあり、カービィも学校の友人がしているのを見たことがある。では、このリンクという格好良い青年の出てくる作品とは?」と調べ、行き当たったのが当時まだ動画ジャンルとしては今ほどメジャーではなかった「ゲーム実況動画」だった。実際の動画はこちらである。

 この動画は私のゲーム人生を大きく変えるものとなった。初めて見るゲームジャンルなのに、とても面白そうに見えたのだ。しかし実際に動画になっているシリーズは64で展開された「時のオカリナ」であり、当時はそこからGCを経てさらにWiiまで世代が進んでしまっている。さらに調べてみると、Wiiでもゼル伝シリーズは出ているらしい。そのタイトルこそが「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」だ。これはやってみるしかないと、ソフトを購入してきたのだった。
 実際にプレイしてみての最初の感想は、「グラフィックがリアル!」である。動画でみた時のオカリナも綺麗ではあったが少しポリゴンチックであったし、トワイライトプリンセスよりも先にプレイしていた「大乱闘スマッシュブラザーズX」は美しかったが、リアルという表現には合わない気がした。そんななかで、トワイライトプリンセスはリンクの来ている服の質感、木の模様、風で揺れる草、そんな細かい部分がリアルに描かれているように感じたのだ。
 夢中でプレイした。じっくりいろんなことを気にしながら進め、エンディングにたどり着いた。エンディングを見た後、セーブデータの横にマークがついたのが嬉しかった。そして、今までゲームは「クリアしたら終わり」だった私が、収集要素に手を出したのだ。ハートのかけらを集め、世界各地の宝箱を開け、金の虫集めに奔走し、夜になればゴーストを求めて駆け回る。どうしても見つけられない部分は調べつつも、すべてを集めきった。さらに大妖精の洞窟(一方通行形式の50階ダンジョン)に挑戦した。これは惜しくも最終層でのタートナック二体に勝てずにクリアは成らなかったものの、私は初めてここまで一つのゲームをやりこんだのである。
 その後もしばらくしては起動して新しいセーブデータでやり直したため、おそらく3周はプレイしているであろうと思う。このソフトをきっかけに、私はゼル伝シリーズの大ファンになった。
 Wiiの後継機として誕生したWiiUには、トワイライトプリンセスのHD版が発売された。もうストーリーはわかっているというのに、また一から冒険を楽しみ、Wii時代には果たせなかった大妖精の洞窟のクリア、追加要素である獣の試練のクリアを果たしたのである。
 今でも最も好きなゲームシリーズであるゼル伝シリーズに出会わせてくれた、私にとって最も印象深い作品だ。

■誰とでもできる対戦の面白さを知った「Splatoon」

 かつて、ゲームとは一人でプレイするものであった。それが発達し、対面形式でケーブルをつないだり、一つの機体で複数のコントローラ―をつないだりして複数人で楽しめるものになっていった。しかし、それらは決して手軽だったわけではない。ゲーム機あるいはケーブル、コントローラ―を友人の家に持参していく必要があったり、誰しもが通信ケーブルをもっているわけではなかったり、いつでも、どこでも、誰とでもという状況は出来上がらなかった。それがだんだんと変わっていき、私が最もその変化の恩恵を受けたのが「Splatoon」である。社会現象を巻き起こし、eスポーツとして大会も開かれているため、聞いたこと、プレイしたことのある人も多いだろう。
 Splatoonは、簡単に言えばシューティングによる陣取りゲームだ。四人対四人のチーム戦を行い、自チームの持つインクを制限時間中塗り広げていく。最終的にその面積が多かったチームの勝利、といった具合となっている。ゲームは一セット数分と短く、実際に始まってみるまでどのステージで行われるのか、どのようなチーム分けになっているのかがわからない。ブキ(インクを塗るのに使う道具)には得意・不得意があり、たとえ片方のチームが優勢であったとしても、ひとたび連携が崩れれば一気に押し返されることもあるという、ある種の競技性もあった。
 家で、どこにいるどんな人かも知らない誰かとゲームができる。そんな経験を最も強く感じさせてくれたゲームがSplatoonであった。
 また、これは後々になって感じたことなのだが、このとき感じた楽しさはSplatoonにチャット機能が無かったことも大きいと私は感じている。昨今のゲームはチャット機能の搭載が当たり前のように行われており、ゲーム上の見知らぬ誰かにプレイのコツを聞いたり、互いに健闘を称えあったりすることが可能だ。しかし、これにはデメリットも大きく、「お前のせいで自分が負けた」として暴言を吐いたり、負けた相手を馬鹿にする煽りなども発生している。Splatoonでのコミュニケーション手段はといえば、相手の近くでジャンプをしたり、定型文を送る「ナイス!」「カモン!」といったボタンくらいである。勿論、倒した相手の上で過剰に煽るような動作をする者もいるのだが、チャットというものを敢えて実装しないことによる快適さというものは大きかったのではないだろうか。

■友人と会話しながら楽しんだ
「モンスターハンターXX」

 モンスターハンター(以下モンハン)シリーズは任天堂最新ハードであるSwitchにも新作「モンスターハンターRise」を発売した、人気タイトルだ。やりこみ要素も多く、様々なゲーマーを惹きつけてやまない魅力がある。
 私自身、モンハンシリーズに手を出したのはかなり後のことで、「モンスターハンターX」からだ。始めた理由というのも、当時よく遊んでいたSNS経由で知り合った友人に誘われたからという単純な理由で、右も左もわからないモンスターだらけの世界にハンターとして降り立ったのであった。そこから発展し、Xの追加版として出された「モンスターハンターXX」を私は大いに楽しむこととなったのである。
 モンハンには大まかなストーリーはあるものの、基本的には大型の強いモンスターを倒して素材を採取して装備を作り、それを着て強くなったところでさらなる強敵を倒しに行く…というような繰り返しである。一見して単純に見えるが、武器の種類、防具に付属する効果、それらに装着して効果を発揮させる装飾品、XとXX特有の「スタイル」という技能の存在…。これらの組み合わせに無数の可能性が存在するため、初心者には何から手をつけたものかまったくもってわからないのだ。
 そこで私は友人を召喚する。これはどういう組み合わせが良いのか?と。そうすると友人は理由を含めて答えの一つを教えてくれる。そうなると、その装備を作るために素材が必要なわけで、じゃあそのクエストに付き合ってくれ!という具合に。そうしてハンターとしてのいろはを知り装備を整えた私は、友人らと難易度が高めのクエストにも挑戦ができるようになった。ボイスチャットをつないで「ナイス!」「大技来る」「回復するよ」といったコミュニケーションをとりながら強敵を倒すのは、得難い経験であったと思う。私の協力ゲームへの関心、高難易度のコンテンツに対する意欲はここから高まったのではないかと感じる。

■リアルタイムで更新されていくゲームたち
「Tokyo 7th Sisters」、「Fate/GrandOrder」

 世間にスマートフォンが浸透し始めたのは、私が高校生になるころだった。幸い私の母校は携帯電話禁止ではなかったため、休み時間にはスマートフォンでゲームをしたり、授業中にこっそり友人にメッセージを送ったりといったことは日常だった。
 スマートフォンのアプリには様々なゲームが公開されている。それこそ星の数ほど、というのは誇張しすぎだが、かなりの量である。そのなかで、私が一番長く続けているのが「Tokyo 7th Sisters」(以下ナナシス)である。
 ナナシスを知らない方も多いだろう。ナナシスはアイドルもののリズムゲームなのだが、このジャンルに絞っても相当数のアプリが該当してくるだろう。そのなかでなぜナナシスを続けているのかというと、これは私の主観なのだが、運営の各キャラクターへの愛情が大きいからだ。アイドルもののようないわゆる「キャラゲー」は人気商売であり、人気がある(=売れる)キャラのばかりがゲームで優遇されることが多々ある。私が他に経験してきたゲームでは、特定のキャラクターのガチャがゲーム配信から一年以上開催されなかったり(他のキャラでは二回目のガチャが開催されているにも関わらず)、ゲーム内イベントでのキャラクターの扱いが雑であったりといったことがあった。しかし、ナナシスはそういった格差が比較的少ないように感じる。ナナシスも各キャラクターの総カード数が全く同じというわけではないが、メイン格以外のキャラクターにもイベントやガチャが用意されており、それぞれがアイドルとして活躍している様子を見ることができる。
 もう一つ、私がプレイしているアプリゲームのうちの一つとして挙げるのが「Fate/GrandOrder」(以下FGO)だ。FGOユーザーにFGOの特徴を尋ねたら、大半のユーザーが「シナリオ」だと答えるだろう。それほどシナリオ面が評価されているゲームなのだ。場合によっては一章で文庫本数冊分にも及ぶ文字数は、読み込むのに時間はかかるものの壮大で満足感のあるものと言える。最新章「第二部六章アヴァロン・ル・フェ」は多くのユーザーが読み切った、やり切った達成感を感じたことだろう。シナリオ中に張り巡らされた伏線を拾い展開していくシナリオは、FGOの大きな魅力である。
 上記二タイトルをはじめ、私のスマートフォンには多くのアプリゲームが入っている。その多くが、パッケージのような買い切りではなく継続して更新がある。最近のコンシューマゲームにはアップデートやパッチ修正が入ることが当たり前になっているが、こうした「既存のゲームに更新が入り、継続して楽しめる」ということをより身近に実感させてくれたのがアプリゲームである。

■初めてのMMORPG「FINAL FANTASY XIV」

 これは私が現在一番時間を使っているゲームだと思っている。ゲームをする人であれば誰もが聞いたことがあるであろうFINAL FANTASYシリーズである。私はDSに移植された「FINAL FANTASY Ⅲ」をやったことがあるくらいで、他のシリーズタイトルも、シリーズにネットゲームがあることも知らなかった。私が「FINAL FANTASY XIV」(以下FF14)を始めたのは、これも友人の勧めから。私はあの時誘ってくれた友人に深く感謝をしている。
 FF14をプレイしてまず感動したのは、「同じフィールドに知らない誰かがいて何かをしていること」だった。なにせ初めてのMMOだったので、画面の向こうに知らない人がいる、という当然のことに驚きを覚えた(前述したSplatoonは試合ごとにマッチングする人、なので一時的であり、FF14で覚えた感動はなかった)。ほかにも、キャラクタークリエイトの絶妙な塩梅、単純なようで奥が深い戦闘、魅力的なキャラクターとストーリーと、FF14の楽しさにずぶずぶとハマっていった。
 まだまだエオルゼア(FF14の舞台)に降り立って一年も経過していない新人プレイヤーで、ストーリーも最新に追いつけていないが、これからも長く楽しめるという気持ちでいっぱいだ。プレイできるのがPS4・5、PCと少し敷居は高いが、私が楽しく冒険しているように、これからも多くの人にエオルゼアでの冒険を味わあってもらいたいと願っている。


最後に

 以上、私のゲーム体験をつらつらと書き連ねてきた。ほかにも楽しんだゲーム、別れを惜しんだゲーム、心を奪われたゲーム、頭を悩ませたゲームと、挙げていけば本当にキリがない。私は多くのゲームに出会って、様々な経験をした。ゲームによって形成された「私」の部分も決して少なくはないだろうとも思う。だからこそ、私はゲームが大好きなのだ。そしてこれからも様々なゲームに出会っていきたい。
 社会人生活も数年になり、学生時代と比べてゲームに割ける時間は格段に減ってしまった。その中で、趣味であるゲームを楽しんでいけるように工夫をしていこうと思う。

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