2022年を振り返るカウンセリング


 12月13日のカウンセリングのやり取り。
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――じゃあ、今回が29回目のセッションとなります。前回、11月8日から今日にかけて、全般的にどうでしたか。
 論文が完成して、それを提出して。で、ようやくオッケーがもらえましたね。英語で書いたやつ。2回リジェクトされて、まあ、書き直しをね。出し直したところ、OKもらえました。作業に集中できるようになったと思いますね。来年はとりあえず2月に入試があるので、それに向けて。3月からは韓国なので。薬をもらいに3ヶ月に1回は帰ってこようと思ってるんですけどね。
――来年はまずその2つが一番大きな予定でしたね。
 はい。受験に必要な書類とかは全て準備して、明日提出します。そこからは何かする必要はあまりないですね。
――年末年始、どっか出かけるんですか。
 いえ、特に出かけないです。
――韓国ではどうしたいですか。
 まずは韓国語をきちんと話せるようにしたいですね。あの、今もある程度できるんですけど、やっぱり自分に自信を持ってるほどではないということか。まだ拙いところがあるので。まずはそれを自信を持って表現できるところまで。できるように。それは1年間の目標です。帰ってきたら、韓国語の講師とか、韓国語を教える仕事をしたいなって。それは今後その大学業界で仕事をしていくための準備の期間として、1年間を使えたらいいかなと思います。
――通っている韓国語学校の雰囲気はどうですか。
 楽しいですね。やっぱりまあ年配の方は多いですけど、韓国語のレベルは非常に高いですし。皆さん純粋に勉強したいから来てるというか。やっぱり若い人だと、私もそうですけど、何か目標があってとか目的があって、私の場合だったら韓国語講師になれるぐらいの実力をつけたいとか。なんかそういうのは別に、目標も別にいいですけど。若干邪なところがあるというか。でも年配の方はただ自分が知りたいとか、何か将来なんかしようっていうよりは本当に純粋に勉強したいって気持ちだけで来られてる方々なので。すごい。いい影響がありますね。ああ、こういう人たちがいるんだっていうのが、なんかすごい励まされるというか。自分も負けていられないから、一緒に勉強を頑張ろうというような気持ちになります。
――最近は眠れますか。
 よく眠れます。
――記事を書くという仕事は続けておられますか。
 そうですね。小説家の方が来てトークイベントされたんですけど、その方の記事ですね。トークイベントの様子と小説を紹介するような記事にしました。『アーモンド』という小説。脳の扁桃体、その形がアーモンド。主人公はアーモンドが小さくて、感情を読み取ることができないんですね。読み取るのは難しいですけど、人の心の動きとかみたいなのを、周りの人との出会いを通じて学んでいくようなストーリーで。すごい繊細な小説。すごい良かった。
 もう1つが『三十の反撃』っていう、30歳の主人公。それは僕も 30 歳なんで、なんか非常に共感できた。というか、それはあの主人公たちが結構恵まれない環境にいて。まあ非正規で働いてるとか。エリートじゃなくて、そういう環境にいるっていう。で、ちょっと社会に対して少しやり返す。というか復讐するっていうような話で、それがそのやり方がちょっとしたいたずらみたいなことをして。結構笑える、軽快なコメディタッチの小説なんですけど。『アーモンド』の方がすごい売れてて、日韓って何十万部出てるんですけど。でも、僕は『三十の反撃』の方が面白くて、共感もできていい小説だなと思いましたね。
――あなたも復讐というのは考えますか。
 えっとですね、なんか最近ちょっと考えてるのが、『優雅な生活が最高の復讐』であるっていう本があって。中身はまだ読んでないんですけど、なんかそのタイトル見て思ったのが、まあやり返すっていうか、なんて言うんですか。その本人に対して何かやり返すみたいなことよりも、自分の生活をすごい充実させて、達成感のある何かをしたりとか、表現したりとか。それがまあ復讐じゃないですけど、反撃じゃないですけど。それになるのかなと思って。復讐って、別にその人自身に対してする必要ないなと思って。自分の生活を充実させることが一番の復讐になるのかな。やっぱやられっぱなしはちょっと気にいらないので。確かに復讐したい気持ちになるんですけど、でもそれは別に相手にやる必要はないから。自分の人生を充実させる方法で昇華していくというか、そういう形もあるのかなと思いました。
――いまは書き物はしていますか。
 はい、日記は書いています。それと、インタビュー記録を、論文っていうよりはインタビュー原稿で載せるんですけど。こっちは日本語なんですけど、市民運動家の50年ぐらいの歴史を聞いて。その人と一緒に作ってて。それは3ヶ月ぐらいかかったんですが。一応今日提出して。まあ多分リジェクトはないかな。多少ちょっと修正とかはあると思うんですけども。
――そういうインタビュー原稿も完成させたのですね。なんか本になるんですか。
 はい、雑誌の本の一部として出版されるということですね。それも一応本として売られるので、図書館に入ったりするような学術誌なので。まあなんかその方の足跡を残すことができたので、良かったですね。
――最近、他に何か本を読まれましたか。
 先ほどちょっと読んでたのが、(精神科医の)中井久夫先生の本を読んで、それを紹介するNHKの番組が作られてて。NHK の E テレでやってる。100 分で名著。それが今月から中井久夫先生の1ヶ月で。斎藤環さん中井久夫さんの本を読んで、それをまあ優しく紹介してくれるんですが。何組の公式テキストがあって、いま、それを読んでましたね。
 中井久夫先生の本はひとつ読んだことがあったんですけど、今回その番組のテキストを読みながらすごいいい言葉を残されてるなって。電車の中で読みながら、なんかちょっと涙ぐんでしまった。なんかすごい言葉がスッと入ってきたというか。そこで言ってたのが、「治療は個人の尊厳を回復することだ」と。それは「患者自身がその個人の尊厳を回復するプロセスだ」ということを書いていて。そのことがすごい響いた。色々考えてみたんですけど、なんか多分ちょっと先生とのやりとりを思いに起こしてみると、何か先生の方から何か教えるように押し付けられたりしたことって、一度もなかった。それは斎藤環さんはそういう医者の態度を「パターナリズム」って呼んでるんですけど。中井先生自身もそういうパターナリズムは嫌いで、腕組みして見ていた研修医を厳しく叱ったりとかしたエピソードも紹介されてて。
 僕も、先生に何かこう上から押し付けられたりとかしたことは一度もなかったら。でもなんか、すごい、僕自身が気付くのを、それを待ってくださったというか、僕自身が自分の尊厳ですね。それを回復するようにしてくれてたのかなって。そのことを中井久夫先生の言葉を読みながら考えて。
 この1年間、大阪から神戸まで1時間ぐらいかかるんで、正直遠かったんですけど。
――遠かったですか。
 毎回やったんで、まあ遠いなと思います。まあ、でもそれでも通ってよかったかなと思って。なんかすごい大事なことに気づくことができたんだなって。
――昨日の番組は、中井先生の何だったかな。
 治療文化論ですか。
――いや、それは3回目。あ、分裂病と人類かな。
 そうでしたね。
――電車で1時間はやはり遠かったですか。
 でもなんか最近はその間に記事を書いたりとか、スマホでできるので。今なんか有意義に使えてるので。最初の方はなんかやっぱり、なかなか、体自体が重かったですからね。
――いまは有意義に使えているのですね。最近、映画は見ましたか。
 はい、スラムダンク見ました。小学校と中学校はバスケットボールしてましたから。
――なぜ高校で競技を変えたのですか。
 それは、バスケットしてたらとにかくファールが多くて。接触プレーとかは割と嫌いじゃなくて、でも、一応体に触れたらだめっていう建前になってるので、めっちゃファール取られてたんですけど。それだったらラグビーした方が直接的に接触プレイですしいいかなと思って。
――なるほど、それでね。
 はい。あ、そうだ。あの、東京に行ったんですよね。東京にちょっと研究のために行って、でも3日目にコロナになって、東京の隔離施設に1週間ぐらいいましたね。それがちょっと大変でしたね。微熱ですけど、37度1分ぐらい、2日ぐらいかな。ちょっとね。大変でしたね。でも軽症だしね。 施設がホテルですけど、そこが結構辛かったですね。三食のご飯が弁当で取りに行くんですけどね。なんかすごい息が詰まる。結構しんどい生活を1週間ぐらいやりましたね。なんかこの一緒にかけてないですけどね。
――それは大変でしたな。今後、東京に行く機会はありますか。
 そうですね。東京の方で人に会う機会が多くなるので、学会発表とかもあるし。頻度は、1年に2、3回ぐらいは行くんじゃないですかね。でも今回はちょっとお金をケチって、カプセルホテルタイプでやったので。それもあってちょっと感染リスク高かったかなと。来年以降はもう研究費が使えますから、ビジネスホテルで隔絶された空間の方がいいんだろうなと。来年は絶対にそうしようかなって。
――本を出版したいという計画はどうなりましたか。3年後でしたか。
 そうですね。韓国留学1年間行きますけど、それの留学記をまず載せてくれる媒体がないかなっていうのを、ちょっと今探している途中ですね。イメージとしては1ヶ月に1回ぐらい、連載みたいな形でそこに載せてもらうので。最終的にそれを集めたものを出版するイメージでできればいいかなと思います。出してくれるところは、うまくいくかわからないですけども、いかなかった場合は自分で30万出せば、出版ってできるらしいんですよ。ですから、まあ、しかもあの出版費用はおそらく研究費用として計上できるので。自分の財布を傷めないで、出版できるじゃないかと。ちょっとせこいですけども、やっぱりお金って大事だなって。そういう形で。まあ来年以降ですね。今から 2 年後ぐらいを目標に出版できればいいかなと思います。
――年末は休まれますか。
 そうですね、授業もないですし。でもコロナで強制的に休みが10日ぐらいあったので、結構休んでますね。
――韓国語は英検みたいな試験はあるんですか。
 はい。韓国語能力試験。今年受けたら5級でしたね。6級が最高級だったので。6級まではあと40点ぐらいかな。
――ちょっと1年を振り返ろうか。
 そうですね、本当にあの辛い時期はあったんですけど、頑張ってこれてよかったかなって。本当にすごく感謝してます。毎回すごい新たな発見もありましたし。自分で回復していってるっていう実感をすごく得ることもできましたし。自分のそういう研究の方向性とか、仕事の方向性みたいなことを確認できる機会になっていて。まあ、来年韓国行ったら3ヶ月に1回は帰ってこようと思って、 カウンセリングも行きたいなと思ってます。
 山登りのたとえでいったら、自分がいま何合目にいるかっていうのがわかる。そんな目印になるような機会だと思っています。来年の頻度は少なくなりますけど、行きたいなと思ってます。

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